岩稜の「阿弥陀岳」! 御小屋山尾根経由で赤岳まで縦走
威厳を放つ八ヶ岳の「阿弥陀岳」
山梨県と長野県にまたがる八ヶ岳。都心からのアクセスの良さと森の美しさで人気の山塊ですが、夏沢峠を境に北八ヶ岳と南八ヶ岳にエリアが分かれ、中でも南八ヶ岳は日本アルプスと双璧をなす岩稜の山並みが、人々を魅了しています。
八ヶ岳最高峰の「赤岳」を中心に構成される南八ヶ岳ですが、赤岳の西側に独立法的に威厳を放つ「阿弥陀岳」は、信仰の山として古来登られている山。
一般的には赤岳登山と合わせ、行者小屋や赤岳鉱泉を起点に上られることが多いようです。
今回は八ヶ岳登山のベーシックな登山口「美濃戸口」からダイレクトに「阿弥陀岳」を目指すルートでトライ!いかなる山行になるでしょうか?
美濃戸口へのアクセスは?
美濃戸口には1日¥500の一般駐車場があります。
またJR中央線茅野駅より季節運航のバスがあり、片道¥1000(往復割引料金¥1500は駅前のアルピコ交通の事務所で購入)で約40分ほど。
美濃戸口には、有料トイレ、仮眠施設、入浴施設、レストランなどもあり、登山の起点には最適。
御小屋尾根でひとまず「御小屋山」を目指す
美濃戸口を出てすぐに分岐があります。大方の登山者は左の北沢、南沢ルート方向へ行きますが、今回は右へ進路を取り、ひとまず御小屋山を目指します。
別荘地帯の舗装路を上っていくと通行止めのゲートがあります。ここから本格的な登山道になります。
緩やかな勾配を上っていきます。一般的な北沢、南沢ルートと比べると、穏やかな印象。
美濃戸口から1時間0分ほどで、「御小屋山」に到着。木々に囲まれる静かな山頂です。この御小屋山は諏訪大社の「御柱祭」に使われる大木を切り出す山として「御柱山」の別名があります。
強清水を越えて岩稜帯へ
御小屋山を過ぎ、森林の樹林帯を進んでいきます。
途中一か所「強清水」への分岐がります。阿弥陀岳までに水場はここだけ。一再び本ルートに戻った箇所に、この道標があります。
視界が広がりいよいよ岩稜帯に
強清水からの合流点を越えると、だんだん勾配もきつくなってきます。
八ヶ岳らしい森を越えていきます。
樹林が少なくなってくると、一気に視界が広がってきます。前方には八ヶ岳最前線の「編笠山」が観えます。
ここから本番!岩稜帯を行く「阿弥陀岳」登頂へ
正面に阿弥陀岳の姿を確かめられる稜線に出ます。
振り返るとそれまで辿ってきた御小屋尾根を確かめられます。
高山植物の「チンングルマ」もそこかしこに咲きだし、目の保養になりますね。
岩場も登場。箇所によってはロープもありません。しっかり三点支持を守って登るのがいいでしょう。足元はザレた路面。注意が必要!
急斜面のザレ場は落石の危険と隣り合わせ。前後にほかの登山者がいる場合は特に注意が必要!
山頂直下にはロープも設置。
吊り梯子も出てきます。
阿弥陀岳中央陵に到着。山頂はもうすぐ!
山頂まで気の抜けない岩稜帯!
長いロープの斜面を進み
ちょっとデンジャラスな鎖場の先には梯子があります。
これが越えてきた鎖場のある岩場
晴れて「阿弥陀岳」山頂を制覇!美濃戸口から阿弥陀岳までの標準時間は5時間20分ほど。踏破時間のかかる方は美濃戸口の仮眠施設などを使って、早朝出発がおすすめです。
八ヶ岳は晴天率が高く、ほかのアルプスより天候の懸念材料が少ないとはいえ、やはり午後は雲が上がりやすいので、山行は念入りに計画しましょう。
中岳のコルまで160mの急斜面を下る
阿弥陀岳からの一般的下山ルートは、来た道を折り返す、中岳のコルまで下り行者小屋へ至る、さらに中岳を越え文三郎尾根分岐から行者小屋へ下るの三つなので、今回は中岳を越えるルートを取りました。
といっても中岳のコルまでの下りは、さらに細かくザレた急斜面が続く侮れないもの。さらに行者小屋から山頂を目指す上りの登山者との往来で、気が抜けません。160mの急斜面を下っていきます。
正面には赤岳の勇猛な姿を眺めることができる。こちら側からの赤岳の姿は阿弥陀岳でないと眺めずらい位置関係!
要所には鎖が設置されているものの、足元は崩れやすく落石には十分注意が必要。
鉄棒の梯子も出てきます。
コルからさらに中岳を越え赤岳へ
中岳のコルにはベンチなどがあります。赤岳へは一旦中岳を縦走しなければなりません。行者小屋へはここから下っていきますが、山行の進捗から赤岳まで行くことにしました。目の前の中岳を上り返し、向こう側のコルまで下っていきます。
中岳は阿弥陀岳と赤岳に挟まれるピークで、この山を目指し登る方はいませんが、それでも2700mの山頂からの景色は圧倒的なもの。阿弥陀岳と赤岳を間近に眺められるのは素晴らしい!再び55mほど下り赤岳方面へ上り返します。
文三郎尾根分岐から赤岳山頂まで
反対側のコルに分岐点はありません。赤岳方面へ少し上った「文三郎尾根分岐」までは一本道。
振り返ると中岳の姿も捨てたものではなかった。堂々とした円錐形の山容は、仮にこの山がどこかにあったなら、登りたくなる衝動に駆られる美しさだ。
文三郎尾根分岐は行者小屋から赤岳へ上るメインルート!ここから岩稜と鎖場が始まります。
赤岳山頂までの文三郎尾根は、岩と鎖の峻険なもの。ただしメインルートである為安全面にはかなり配慮されている印象です。
山頂直下は梯子があります。しかし高度感はなく安心して登れるレベル!
赤岳山頂には社があって、360度のパノラマが楽しめる。森林限界を超えている標高ながら、八ヶ岳の特徴である緑が混在する景色は必見!
文三郎尾根分岐から文三郎尾根で行者小屋へ
山頂から文三郎尾根まで折り返し、行者小屋を目指します。分岐から先は階段が多いルート。分岐から山頂までの印象とは違い、なれない方への配慮がされたもの。ただし長い階段はそれまでの足の疲労に拍車を掛けます。
行者小屋は、宿泊、テント場、水場、トイレがある拠点。ランチタイムなら小屋で食事をとることも可能。ここから美濃戸口まで南沢ルートで下るのが一般的。近隣の赤岳鉱泉まで進めば、北沢ルートで下ることも可能です。
どちらかといえば南沢ルートより北沢ルートのほうが急峻な場所が少なく、疲労度も抑えめ。翌日も山行が予定されていたので、今回は赤岳鉱泉を経由して北沢ルートで下ることにしました。
赤岳鉱泉は行者小屋と同系列の山小屋で、お風呂も入れる山小屋。テント場も広く人気の拠点。ここはスルーして北沢ルートで下山します。
結局今回は、距離18.25km、累計標高差上り1553m、下り1551mとなり、踏破時間9時間19分(1時間38分の休憩含む)になりました。登り始めが4時51分と早めだったため安心して進めましたが、上り開始時間が遅めな方は別ルートか、行者小屋、赤岳頂上山荘などに一泊するのがいいでしょう。
八ヶ岳で威厳を放つ「阿弥陀岳」を踏破しよう
八ヶ岳はそれぞれ個性的な山が構成する山塊。中でも阿弥陀岳はすこしメインルートからそれているために、登る方も少ないのでしょうか?しかしその威厳を放つ姿は、やはりその足で登りたいものです。天気予報をしっかり確認し無理のない計画で楽しみましょう。そして山小屋ではマスクのマナーも忘れてはいけません。
阿弥陀岳の基本情報
住所:長野県茅野市豊平
電話:0266-73-8550 (9:00~17:00)茅野観光協会
https://navi.chinotabi.jp/feature/trekking/
アクセス:JR中央線茅野駅よりバス50分、中央自動車道諏訪IC、もしくは中部横断自動車道八千穂高原IC
2021年7月現在の情報です。詳しくはお問い合わせください。