Caroの住人たち~Caroどうぶつ病院のスタッフブログ~

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狂犬病集合注射始まるっ!

2011年04月14日 20時59分20秒 | その他のお話
今月から、狂犬病の集合注射が始まりました。

狂犬病の集合注射とは、狂犬病ウイルスの不活化ワクチンの接種で、国の法律(狂犬病予防法)で犬を飼っている人への接種義務として、各自治体が各都道府県の獣医師会に委託して接種を毎年行っているものです。


残念ながら、狂犬病は世界各国でまだまだ存在しています。
ウイルスに感染した犬は、「文字どうり」狂犬になり、物・人の区別なく所構わず噛みつきます。
狂犬になった犬の唾液には、狂犬病ウイルスがたくさん存在しているため、その犬に噛まれた人は、発症した場合ほぼ100%死亡する…という恐ろしい病気です。エイズと一緒で、世界で最も致死率の高い病気の一つと言われています。

現在、世界の中で狂犬病が発生していない国は、日本、ニュージーランド、オーストラリア、アイスランド、台湾など本当にごく少数の島国だけです。
中国やバングラディシュなどは、年間1000人(2006年)もの人が狂犬病で亡くなっているのです。

特に海外旅行などで、犬が好きだからと言って、不用意に野犬に近づいたりご飯をあげたりするのはかなり危険な行為です。自分の身を守れるのは、自分だけですから、気をつけましょう。

このように、人に対して致死率の高い病気が、日本に上陸しないようにするために、日本では犬を飼っている人に狂犬病の予防注射を義務づけているのです。

この病気のやっかいなところは、その感染する可能性があるのが、人を含む「哺乳類全て」であることです。

つまり、ハムスターも牛も馬もコウモリも野生のキツネも全て感染する可能性がある…ということです。
犬に限らず、ペットとして海外から輸入される動物には、狂犬病が潜んでいる可能性があるので、検疫をすり抜ける密輸入や海外からの船から上陸するネズミ、犬などから日本に上陸する可能性は全くないとは言い切れません。

島国である日本やオーストラリアなどが狂犬病清浄国(いない国)になっているのも陸を伝ってくる可能性が低いからです。
逆に、一度陸地に上がってくると根絶するには非常に大変ですし、必ず死者がでるといっても過言ではありません。
日本での狂犬病の発生は、1956年以降ありませんが、一方、海外から帰国し狂犬病に発症して亡くなった日本人は最近では2006年に実際にいらっしゃいます。身近な問題ではないと思っていらっしゃる方が、大勢いらっしゃいますが、みんながワクチンをうつことで日本に蔓延する可能性が少しでも減るのは間違いありません。
もちろん、犬だけうてば大丈夫という考えは間違っていますが…。



話は長~くなりましたが、埼玉県では、獣医師会に入会している開業獣医師(院長)が市から委託されて集合注射をおこなっている為、去年開業した私は今年初めて集合注射に参加することになったのです。

午前中の二時間だけで約300匹の犬に数人の獣医だけで注射を行うため、流れ作業にならざるを得ません。
単純計算でも、1分間に2~3頭の注射をしなければいけないことになります。
普段病院慣れしていない犬と飼い主さんも大勢いらっしゃいますし、着ている白衣を見て犬も敵意むき出しだったりと、踏んだり蹴ったりです…。
っとまー嘆いてるわけにもいかず、せっせとこなす感じです。

一番困るのが、飼い主さんが抑えられない犬に注射をうつ時です。当然こちらも抑えられるわけがありません。
会場で興奮してしまう犬や噛み癖のある犬をお連れする場合は、できる限り口輪をしてからいらっしゃるか、近所の動物病院で接種して頂けるようご協力をお願いいたします。

また、色々な考えもあると思いますが、狂犬病の注射は、一年中どこの動物病院でもうつことができますので体調が気になる方は、動物病院でうたれる方が良いと思います。病気を持っている子に注射をうって、具合が悪くなるのはやはり一番嫌ですからね…。
動物病院ではひとりずつしっかりと診察をして、健康であることをしっかりと確かめてから注射をうつため、料金は集合注射の代金より高く設定されている事が多いと思いますので、動物病院にお問い合わせください。

ちなみに集合注射の案内はがきに書いてあるチェック項目にしっかりとチェックしてから集合場所にいらっしゃってください。チェックしていない場合、集合注射場所で獣医さんに直接問診を取られますのであしからず…。