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行司千絵『服のはなし』と『ソーイング・ビー』

2021年03月24日 | 折々の読書



『服のはなし』を読みました。
この本の帯にある「服を買うのにくたびれている、あなたに」というフレーズに思わず誘われました(笑)。
私も服選びには疲れます。だから、差し迫らないと服を買いに行くことはありません。自分に合うサイズや色(柄)がない(笑)ということもあるし、試着も面倒くさい。それに、着たいと思う服がない!

身体に合った衣服は気持ちがよく、気が付けば長く着ています。それは流行とか見た目とは関係がないようです。しかし、そういう服は滅多にありません。滅多に服を買いに行くことはないのですが、逆にあきらめムードで安易に選択してしまうこともしばしば。

しかし、家庭でお裁縫ができれば、好みのぴったりの服が着られます。アパレルによる大量廃棄も少しはましになるかも知れません。しかし、どれだけの人が自分で縫えるでしょうか。私も針すら持ったことがありません。無理でしょ(笑)。

せめて自分の好みの色を着たいと思っています。この本にも「歳をとったら明るい色」とあります。私も、若い頃は仕事柄もあって暗い色を好みましたが、この頃は明るい服を選ぶようになってきました。

行司千絵『服のはなし;着たり、縫ったり、考えたり』岩波書店、2020年12月刊.



* * *



裁縫といえば、今、NHK教育で放映されている『ソーイング・ビー(現在はソーイング・ビー2*)』です。 *2021年3月25日最終回。次週からソーイング・ビー3を放映。
私は裁縫とは無縁なのですが、実は、子供の頃は縁がありました。
両親が内職で縫物をやっていて、ミシンのカタカタいう音やアイロンのジュっという音、その時の独特の匂いや湿気を覚えています。主に母が縫い付け、父がミシン担当だったように記憶しています。母は洋裁ができたので私たち子供の服も作ってくれました。しかし、私は縫うことには興味がなく、家庭科の雑巾ですら半分以上は母の作だったように思います。

そういった雰囲気を『ソーイング・ビー』が思い出させてくれました。
『ソーイング・ビー』はBBC制作のドラマで、一言で言えばイギリスの全国裁縫腕自慢コンクールというような内容です。
60年代っぽい"What a little moonlight can do" のテーマ曲で始まり、数人の出場者が与えられた課題の仕上がりを競い、不出来な者が脱落していきます。いくつもの試練を乗り越えて最後に優勝者が決まるという趣向です。

テーマも内容も地味でドラマチックではないうえに、毎回同じ枠で異なった顔ぶれの出場者の勝ち残りを見守っていくという、マンネリすれすれなドラマなのですが、人気があるようです。落ちた者も爽やかに去っていきますし、残った者も謙虚です。それは道を同じくする者同士の連帯があるからでしょう。
腕自慢の挑戦者たちは、女性や男性、主婦や元教師、兵士にスポーツ選手など多種多様なところも面白いです。また、審査員二人の辛辣でありながら情のあるコメントも面白い。


このドラマを見ていて、ソーイングは音楽と似ていると思いました。楽譜は型紙であり、それを基に縫い手が縫い上げるように演奏者は楽譜から音を立ち上げていきます。型紙に従っていても、生地の断ち方、縫い方の相違、色や素材の選択の違い、細部の個性もでてくるでしょう。演奏するということは、音楽を縫っているということか。どうりで難しいわけだ、と(笑)。


日本でも少し前までは和裁、洋裁をやる人がいました。用品店も一般的ではなく、普段着は家で作るのが多かったと思います。『ソーイング・ビー』同様、ミシンを使い、型紙を使い縫い上げていました。テレビを見ているとその頃が重なります。昔のことですからあか抜けた着物はできなかったのですが、大量消費もなかったでしょう。

少し前のことですが、ショッピングモールの中で偶然裁縫用品の店に迷い込んだことがありました。生地や小間物を見ていると不思議と心が落ち着いたのでした。子供の頃を思い出したからでしょうか。


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