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勢古浩爾著『続 定年バカ』を読んで

2020年06月12日 | 折々の読書
 
昨年、「正編」の感想を書いて間もなく「続編」が出ていたのですね。前作が同感できる点が多かったので読んでみることにしました。


続編も正編同様、いわゆる定年本をバッサバッサと斬りまくります。その口上はますます冴えわたっているように思えます。著者は定年本を斬っていると同時に背景になっている世相をも斬っています。それが小気味よい。

やはり、読み始めると「そうだ、そうだ」と引き込まれています。自分自身読んだことがない本について書いてあるのにその気になって応援してしまう点は前作のときと同じなのですが、今回は同意がより多くなったように思います。それだけ、「定年バカ」の類型も増殖してしまったのでしょうか。世の中の老後の経済的、心理的な不安が大きくなっているのだろうか。

急浮上した(今は消えてしまった)「2000万円必要問題」や夢物語のような「人生100年時代」の他に、「すぐ死ぬんだから」、「あんたはいいよ」、「死ぬまで言ってろ」などの章におけるバカまで、バカも増えたものです。これからも、もっと細分化されて増殖を続けるのかも知れません。そうなると、もう「ほとんどビョーキ」ですね。

定年本が出版され続けているのは、定年後マーケットとでも言うべきものが活況を呈しているのと関係がないわけはないでしょう。週刊誌も毎週のように特集を組んだり別冊を出したり。その他、関連商品やサービスも然り。
人生の「出口市場」は急成長することもないけれど消滅することもないでしょうから確実に売れるものなのでしょう。そういう私も真摯に週刊誌を買っていた時期がありました(笑)。
人生の入り口はハッピーだけれど出口は不安だから煽りやすいし。前作が、定年後までだったのに、老後、死後までを追加して対応しているのはさすがです。


人生100年なんて、あ、そうなの、と思っていましたが、この本を読んでやはり胡乱だったなあと反省しています。幻想的風景を見せられてふわふわと生きていないか、とこれからも注意しながら生きようと思います。

とは言ったものの、定年過ぎても仕事がなくなった以外は特段変わったことはありません。好きなことをして一秒一秒、一日、一年とお迎えが来るまで生きていくだけ。なのだろうなあ。

勢古浩爾著『続 定年バカ』(SB新書495)SBクリエイティブ、2019年11月刊.


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