考えてみると、犬を連れてカフェでお茶することに憧れていた気がする。
パリあたりのオープンテラスのあるカフェ。
道行く人々をのんびり眺めながらまったりとお茶を飲んでいる私の足元には、やはりまったりとうずくまっている愛犬がいるという景色。
それが最近実現した。
ここはプラハ。
有名な橋のたもとにある小さなカフェ。
他にも多くのお客さんがいたけれど、私たちがコーヒーとケーキを楽しんでいるあいだじゅうずっと、Grisuは落ち着いていて座っていた。
ハイデルベルクのカフェでも。
となりのテーブルに座った学生さんも、私たちにニッコリ。
Eにとっても、愛犬Grisuとこれまでカフェはおろか、人の多い街歩きはしたことがなかったという。
「Grisuがこんなに良い子にしてくれているなんて正直ビックリだよ。これなら、もっと色々なところに一緒に行けるね!」
欧州は日本に比べて、犬に対して規制が緩い。
一部の食品販売店以外は、犬も入店可能。
規制が緩い分、躾もきちんとされている犬が多いという印象がある。
もちろんGrisuだって、お行儀のよい子に育てられていた。
居心地のいい欧州に居住している犬であるわけだから、とうぜんカフェライフもあっていいはずなのである。
それなのになぜだか、Eは、Grisuは他の犬にすぐ飛びかかろうとするとか、人混みはストレスになるとか、車酔いするとかいう理由を並べたてて、自宅近所の森以外にGrisuを連れて行かないまま、9年がたっていた。
「さっきすれ違った人が、Grisuのことかわいいって言ってたよ!」
「あのおばさんがGrisuのプルオーバーのこと、エレガントだってさw」
「今すれ違った人は、Grisuに無表情で一瞥しただけだった。かんじわるー!」
いちいち反応しすぎな子煩悩オヤジみたいであるけれど、世界が広がって、彼自身もハッピーなのである。
日本でドッグカフェというと、飼い主同士の交流の場という意味合いが強いのだと思う。
犬用に特別に作られたケーキなども提供されていたりもするようだ。
でも私は、ちょっと違和感がある。
欧州のように、もっと自然に人間と犬が共存している社会様式のほうが居心地がいい。
フランクフルト空港のカフェテリア。
日本に帰国するとき、これまでは家でGrisuとお別れしてお留守番させていた。
でも、それよりも、空港まで一緒にきて、ゲートでお別れしたほうが、ずっと寂しさ度合いが減っていた。
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