銃と刀

先日、小児のワクチン接種の際に、ちょっと怖い思いをした。

8歳くらいの男の子で、２回目の接種だったかと思う。

ショックで正確なことは忘れてしまった。

動揺して、確認し忘れたのかもしれない。

右手に銃、左手には大きな刀を持っていて、診察室に入ってきて、いきなり銃を乱射された。

もちろん彼が持っていたのはおもちゃ。

でも、刀は５０ｃｍ以上もあって、振り回されたらケガをしそうなもので、手元のスイッチを押すと、刀が光ってうるさい音が出る。

「痛かったら、これで殺す！」

彼と会うのは初めてだったが、前回の注射は痛かったので、今日は武装してきたということらしい。

お母様がやんわりと「やめなさい」とたしなめていたが、それに対して彼は強く、「だって俺は痛いことされるんだぜ！」と反発して、武器を離そうとしない。

看護師さんがなだめて、注射するときだけは、左手に持っていた刀を置いてくれたが、右手には銃を持ったまま。

私が痛くないように注射しても、そのあと何発も撃たれた。

不安を感じたのは、案外その子が注射を怖がってワーワー騒ぐのではなく、冷静な態度でいたこと。

子供のやることだからと、自分をなだめ、落ち着いて対処するようにしたが、内心は怖くてドキドキしていた。

心療内科クリニックの殺人放火事件が頭をよぎった。

もしも彼が、人を攻撃することでしか自分を守る方法はないと、このまま信じて疑わないまま成長してしまったら、この子の将来は一体どうなってしまうのだろうか？