街の商店街の入り口にある洋服屋さん。
中高年の女性向け。
以前、着付けの先生が「掘り出しものが時々あるのよ」と教えてくれて、ごくたまにのぞいている。
店のウィンドウに飾られている服がしょっちゅう変わり、遠くからでも気になるコーデだったりする。
先日はめずらしく、男性店主が在店していた。
「しわがよっているのは、今日蔵出ししたばかりなんで」
この店の服は、ビックリするくらい、とにかく安い。
中国製が中心で、仕入れ方に工夫があるのだろう。
気になったものがいくつかあったので、あれこれ試着。
そのあいだにも、女性客が「去年ここで買ったパンツがぐあいよかったから、おなじようなのが欲しいんだけど」とやってきていた。
「茶色にブルーを合わせるっていうお客さん(私のこと)の好みは、イタリアですよ」
たしかに、フランスものより、イタリアものの色づかいのほうが好きである。
服を見ると、仏製か伊製か、大抵当たる。
その時私は、カーキ色のシャツにイタリア製ジーンズ、スネーク柄の茶色のスニーカーを履いていた。
「日本人は茶色の洋服には黒の靴をもってきますからね。私のこの靴はブルー、イタリア製です」
見ると、深いブルーのスウェードと表側のコンビのしゃれた靴をお履きになっている。
どこでお求めに?と尋ねると、「ミラノです。20年くらい前ですけど」と店主。
そこから欧州の話に花が咲いた。
店主殿はパリのバスティーユに5年間住んでいたことがあり、ミラノにも仕事で何度も足を運んだのだそう。
激安メイド・イン・チャイナの洋装店店主の夢は、ウィーンのニューイヤーコンサートへ行くことだそうである。
久しぶりに楽しい話ができた。
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