追悼小澤征爾さま

小澤征爾氏が他界された。

彼について書いた過去記事　拝啓小澤征爾さま - かりんとう日記　が検索にヒットするようで、多く読まれている。

最後に彼の指揮で演奏を聴いたのは、２０１６年10月２日のサントリーホール·ガラコンサートで、ウィーンフィルだった。

この日の記事を見返すと、シューベルトの「未完成」だった。

レッドカーペットでおめでとう - かりんとう日記

指揮者はズービン・メータと小澤征爾のダブルキャストという、前代未聞、夢のようなプログラムであったけれど、おそらく、小澤さんの体調がかなり不安定だったからなのだと察する。

初めて小澤征爾の名前を知ったのは、小学校の道徳の教科書だった。

若くして海外で修行していた頃の話「ボクの音楽武者修行」からの文章が載っていて、小澤さんがスクーターに乗っている挿し絵も覚えている。

初めて彼の演奏をナマで聴いたのは、小学高学年か中学生の時。

山本直純の「オーケストラがやってきた」というテレビ番組の収録が地元の市民会館でおこなわれたのを聴きに行ったのだった。

おそらく新日フィルを小澤さんが振ったのだと思う。

ひょっとしたら、チェロの師匠Y先生がまだトップで弾いていた頃かもしれない。

忘れられないのは、山本直純と小澤征爾がおしゃべりをしたあと、曲の演奏に移るとき、私が拍手をしたら、指揮台にあがった小澤さんが笑顔で振り向いて、お辞儀をしてくれたのだった。

まだあの頃は、クラシック音楽の演奏会に慣れていない人がほとんどで、その時も私につられてパラパラと少数の人だけが拍手をしたのだったけれど、小澤さんがそれに応えてくれて、となりに座っていた母がびっくり、喜んで、子供ながらに感動したことを覚えている。

何十年もたった今、彼の訃報とともに思い出した。

プロの音楽家のみならず、私のようなアマチュアの端くれの端くれにも、影響を与えてくれたことは、すごい功績だと思う。

ご冥福をお祈りいたします。