風のたより #102 千葉甫 2019-10-20 14:55:23 | 短歌 似通った日々の過ぎつつ太陽は屋根から上って屋根へと沈む 振り向いて見つめる猫の眼差しが過去の誰かを思い出させる タクシーで帰るところは右折して点滅信号過ぎてあの家
風のたより #101 千葉甫 2019-10-18 14:59:09 | 短歌 眼が覚めて寝返りうって窓高く赤味を帯びた満月を見る 口々に主張続けているような鴉ら去った朝の静寂 通じたか通じなかったか曖昧な笑顔を返事に代わって貰う
風のたより #100 千葉甫 2019-10-16 14:53:43 | 短歌 懐かしい記憶辿ってゆきながら不意に出てくる忘れたいこと 七年が過ぎたけれどもあのことはついこの前の記憶で残る 断りの言葉ようやく定まれど今日は電話の鳴らずに終る
風のたより #99 千葉甫 2019-10-14 14:43:31 | 短歌 大股に赤いパンツの人が行く小走り続けて従く白い犬 ベビーカーに一人と抱いている一人颯爽と行く若い母親 喉過ぎる空気の温度を意識する思い途切れて立ち上がるとき
風のたより #98 千葉甫 2019-10-12 14:46:51 | 短歌 寝転んでものを思っていた筈が自分自身の鼾に覚める めっきりと動きの遅くなってきたこのコンピューターと過ごした五年 漸くに兆す眠りを吹き飛ばすくしゃみが一つくしゃみが二つ