風のたより #97 千葉甫 2019-10-10 13:44:13 | 短歌 暁に近い時間に眼が覚めて耳を澄ませて何にも聞かず 内臓のソフトの多くは使わないままに寿命の来たコンピューター 日曜は定休の店 月曜もシャッター下りたまま暮れてくる
風のたより #96 千葉甫 2019-10-08 14:37:21 | 短歌 三日ほど誰とも会わずに過ぎていてつい髭を剃ることを忘れる 考える前に出てきたこの言葉削除できないままに漂う 一週間前の夕餉は忘れたと答えた後にふと思い出す
風のたより #95 千葉甫 2019-10-06 13:36:43 | 短歌 窓開けてタイミングよく鳴きだしたつくつくぼうしの声聞き終える シェーバーの電池の切れて剃り残る髭のまんまの顔の半日 眼をやった屋根はいつしか濡れていてひっそり降っている秋の雨
風のたより #94 千葉甫 2019-10-04 14:52:35 | 短歌 印画紙に画像の浮き出てくるように聞いた名前に顔が出てくる 現在の時間の中に嵌るまで少し間があるうたた寝覚めて 今日はもう眠りは来ないと思わせる時間の過ぎて行く熱帯夜
風のたより #93 千葉甫 2019-10-02 14:52:57 | 短歌 金属の何かが落ちて響く音続いた声も絶えての真昼 まとまらぬ思いと共にカーテンに揺れる葉影を見つめ続ける カーテンが部屋に揺れては戻っては網戸に張り付く時間の過ぎる