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Pigの肉がPorkである理由

英語で、豚を指す言葉はPigもしくはHogでありますが、お肉は何故かPork。

最近は日本でも、豚肉と呼ばずにレストランでは普通にポークといい、ポークカツなどとも?。牛OxとCawの肉即ち牛肉もBeefとなります。まあ、料理の素材としてOx Tealという言い方はあるにせよ、牛肉は一般的にBeef。羊はSheepなのに、マトンとかラム。まあジンギスカンという料理もございますが。

ご注意戴きたいのは、フランス語では豚はPorc、牛はBoeuf、羊がMoutonであることです。

この動物と肉の呼び方が異なるという現象は、11世紀のノルマン・コンクエストと呼ばれる、フランス北部ノルマンデーに住居を構えていたノルマン人のイングランド征服に端を発します。現在の英国王室の直接の先祖である、ノルマン人のウィリアム1世が、1066年にイングランド征服王として12月25日に戴冠式を行ったのが、そもそもの始まりとなります。

元々、現英国(正式国名は グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国、略称はUK:United Kingdoms)を形成するGreat Britain島の語源は、前ローマ時代のイングランドの先住民であるケルト系ブリトン人に由来しますが、409年のローマ帝国のブリテン放棄により、ゲルマン民族である、ドイツのホルシュタイン州アンゲル半島辺りに住んでいた、アングル人がブリテン島南部に侵入し、アングル人の土地という意味のアングリアから、イングランドという名称になります。

同時にこのアングル人、ジュート人、サクソン人の3部族の総称である、アングロ・サクソンと、デンマーク周辺に居住していたデーン人がイングランドから先住民であるケルト系ブリトン人を駆逐、アングロ・サクソン系の貴族が支配するようになります。彼らの言葉が、所謂現英語の基礎となった訳です。

イングランドはその後、変遷を重ね、1066年イングランドのエドワード懺悔王(1002頃~66)が実子を残さぬまま病没。翌日、当時イングランド最大実力者のウェセックス伯ハロルド・ゴドウィンソン(1002頃~66)が貴族たちに推戴され、ハロルド2世としてイングランド王に即位。

ハロルド2世はエドワード懺悔王が死の床で自分を後継者に指名したと主張しましたが、彼以外にもイングランド王位の継承権を主張する者たちがいました。現フランスのノルマンディー地方(先の大戦で所謂連合軍が上陸したことでも有名ですね。)に割拠していたノルマンディー公ギヨーム(1027?~87:エドワードの従甥)とノルウェー王ハーラル・ハルドラーダ(1015~66)の後押しを受けた、ハロルド2世の弟トスティ・ゴドウィンソンです。

ヨークに上陸したハーラルは、ロンドンから4日で急行してきたハロルド2世に陣を急襲され、トスティともども討ち死にし、ノルウェー軍は壊滅しました(スタンフォード・ブリッジの戦い)。

 

スタンフォード・ブリッジの戦いの頃、ギヨームは船団を率いてノルマンディを出港、ヘイスティングに上陸。10月14日このへイスティングズの戦いにて、午後4時頃、ハロルド2世が流れ矢に右目を射抜かれたのを機にイングランド軍は総崩れとなり、ハロルド2世とその弟のギルスとレオフウィンは戦死。

最終的にこのノルマンディー公ギヨームがウイリアム1世として即位するわけです。

その後外国人征服王に対してイングランド各地では散発的に反乱が起こりますが、装備に勝るノルマン軍はそれらを情け容赦なく鎮圧し、ウィリアム1世は没収した領地に従軍してきたノルマン人の家臣たちを分封し、イングランドに強固な封建体制を築くことになりました。

このノルマン人は元々は北方系のゲルマン人で、殆どヴァイキングと同義語で、フランス北部のノルマンディ地方に居住しておりました。その関係で、これら北方フランス語が英語に(支配者の言語として)混じってきて、生産者であるアングロ・サクソン系はそのままPig、Ox、Sheepを使い続け、食卓に並んだそれらの肉であるPorkや、Beefをノルマン系貴族が賞味するという、不思議な状況が現在まで英語として続くことになりました。

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