黄泉の国へ

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詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-11-28 17:23:00 | 日記
(空に2つの虹、本日4時44分ごろ)

父が生きている元気な姿を
親類に見せたのは
結局
この日が最後になった


振り返れば
会館の駐車場で
「また、みんな元気で会いましょう」
父が丁寧に挨拶をする姿が
今でも目に浮かぶ



それが皆様との
別れの言葉にも
なってしまうのだ



帰りの車中も
楽しげで
次にまた一緒に来るときのためにと
ナビを無視して
裏道だ
近道だと
ちょこまか細かい道ばかり走らせた



あんなにお酒を呑んだのに
決して私を迷わせることない



頭の中がスマートすぎて
かっこいい
その父が
度々
「わしもまだまだ長生きせにゃーいけんよ」
とか
「長生きする責任があるよのー」
口にする前向きな言葉も
力強いもので
ワタシも一緒に来てよかったと
つくづく思った



山陽自動車道へ入り
下り宮島のサービスエリアの
スターバックスで
コーヒータイム



コーヒーを飲みながら
ポケットからスマホを出して
ひょいっとワタシに見せて
電源を入れた



そういえば
父はこの時まで1度もスマホに触れなかった


女性からの電話もないはずだ

そして
ワタシの顔を見て
にーーーっと
イタズラな顔をした


ワタシは父のこの顔が
1番大好きだ


つづく
















詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-11-25 18:56:00 | 日記
行きの車中でも
ワタシを退屈させない父

叔父の法事に集まられた方々は
叔父の人柄と
父への信頼度の高さもあって


どなたもが
父の所へ来て
久しく会えて嬉しいと
挨拶をしてくださり
とても歓迎をしてくださった


父と仲の良い姉(おば)も来てくださり
何かと面白がって話をする


すると
すぐに周りに人が自然と集まり
2人がスターにも見えてくる


会食が始まると
ひとたびお酒が入る
父と姉が
呑む勢いに加えて
ますます会話が弾み


やはり
別の席から1人
また1人と
親類が来られては
話を盛り上げ
笑いの渦が巻き起こる


父の足元を見ると
空になったビール瓶が
ボーリングのピンのように並べてあり
もう焼酎をダブルで頼んでいた



どんどん饒舌になる父は
昔話にも花が咲き
伯母は
ワタシの知らない父の話を
いろいろ聞かせてくれた


その時に思ったのは
普段あまりに
会話らしい会話をしていないことが
どんなに父を淋しくさせていたのだろうかと


悲しい気持ちになる
冷静なワタシがいた


運転手だから
ワタシはノンアル
時々ワタシに
「かわいそうに、かわいそうに」
って
ノンアルコールビールをグラスに注いでくれる父の顔に
「あーたのしい、うれしい」と
書いてあるようにみえるのだから
ノンアルの力やいかに





故郷で
大好きなお酒をしっかり呑んで
懐かしい誰ともの再会を
喜んでいる姿が
いとおしかった


つづく


詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-11-22 17:22:00 | 日記
春になり
父の妹の主人で
ワタシの叔父の
3回忌の法要の案内が来ると

一緒にどうかという
父の誘いに二つ返事のワタシは
実家にいるあの女性ではなく
ワタシに同行を求めることも嬉しかった

女性を一応誘ったかもしれないが
もし断ってくれたなら
ワタシには有難い


当日の朝
約束の8時にはは実家に着いた
外で待っていた父は
スタスタ歩いてきて
さっと車に乗り込み
バンッと思いっきりドアを閉めると同時に
「ほれほれ、行け行けー」
元気よく私に号令をかけた


早くから待っていたのがすぐにわかった



高速道路へ入り
途中の
サービスエリアで
お供え用のお土産を買いに行くワタシに
「のんびり選ぶ暇はないんでーわしは車で待っとくよー」

トイレを済ませた父は
車に戻って行った


早く広島入りしたいのだ


そして
広島に予定より
かなり早く着いた

父の道案内が
ワタシを一切不安がらぜず
迷わせなかったためでもあり

頭の中に地図が出来上がっているのだろう
父はナビより正確だった

スーッと横目で会館を見ながら通り過ぎ


「ちょっと、早すぎたか」と
父はそう言い

急に
「ンググエ、ウェウエッグェグェーッングェッ、べべッエエウェッウエッー」

奇妙な声を出して
ワタシを脅かした

え?
なに?なに?
なんなん?
怖い怖い怖い

目をギロつかせて
ワタシが見た父は
ニヤリと笑顔


余計に怖い


そして
また変な声で
「グエッ、ウエッ」と
道の先を指した



……… Mの看板だ


マクドナルド

そうか
ドナルドダックの真似だ

ワタシは子供の頃
父がドナルドダックの声真似をするのが
大好きだった

「もーーーもおーーー!」
というと

父はニヤニヤするばかり

パニックと頭が
一瞬で楽になったワタシは

「ボケたかと思ったぢゃん」

そういうと
「わしはボケたんじゃが、コーヒーでも飲んで行ったら丁度ええじゃ」


呑気なことをいう
面白可笑しな父は健在だった


つづく



















詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-11-19 16:24:00 | 日記
2018年
年明けすぐの頃
父が前に買ったワインを
ワタシにくれるといい


実家に取りに行った


叔父の49日の帰りに
三次のワイナリーへ寄って
買って帰ったやつだ


そういえば
ワインをそんなに呑まない父は
女性に買ってあげたらしい


ワインなら少し呑むと
言っていた女性だけども
日本のワインはいらない
ってことだ



実家に着いて
門の外から父の携帯に電話をして


「着いたよ」
「そうか、そうか」

父がワインを外まで持ってきてくれた


女性がまだ眠っているようなので
ワタシも実家には上がらず



ワタシは父に
「御無礼やけど、ここでバイバイするね」
といえば
父がワタシに
「すまんが、ここで御無礼しよっ」
そう言って

ワタシは
父が玄関を入るのを見送った


車に乗ろうとしたら
「Sちゃんっ」
声を聞いて振り返ると

2年前も
こうして声をかけてくれた
Kのおばちゃんだ


「どうしたん?入らんのかね」
「うん、もう帰るんよ」


「泥棒は捕まらんねえ」
Kのおばちゃんがいうのに


ワタシはつい
「寝とってぢゃけー.....」


やばいと思ったけど
この時
おばちゃんが
ワタシの肩をポンポン
そしてにっこり笑って


「私ら(K)、NさんもMさんも
Sちゃんのお母さんと思うて、いつでも
頼りにしんさいよ」


この言葉に
すがりついて、泣いてしまいたかったけど



家の中の女性が
いつ起きて外へ出てくるかわからないから
はらはらして
何もいえなかった



Kのおばちゃんは
父が女性と仲の良い暮らしは出来ていないといい


ドアノブを持って
くるくるっと手を回す仕草をしながら

「お父さん、こればっかりで、大変じゃー
いうちゃったよ」


心配そうに言われた


父が家のことなど
買い物、家事、ゴミ捨て
庭の手入れなどをしていることを
ワタシも知っていたけど



女性がパチンコ三昧まで
ご近所皆んな
知っていてくれて



恥ずかしさ
より

何故かワタシは
ほっとした気持ちになった


これが
年始の出来事だった




つづく

















詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-11-17 11:57:00 | 日記
(写真は、ワタシに肩揉みしてもらう父)

この年の年末には
兄がワタシの家に帰省をしたので
父を誘って焼き肉を食べに行き


我が家で呑み直しをした


父は
いつもワタシにマッサージをさせたがる
うちに来れば定位置の場所に座り
「Sちゃん、ここホレ」

すれば
ワタシは父が喜ぶので
随分長いマッサージ


この写真が
父とワタシの2人で写る
最後のものになってしまう



しっかり呑んで
タクシーで
父は実家へ帰って行った



帰って直ぐに
「今日は、ご馳走さん、無事に帰りましたよー、ありがと、ありがと、ありがとさんよー」

上機嫌に電話をしてきた



つづく