黄泉の国へ

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詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-22 16:49:00 | 日記
夜は兄の提案で
父を焼き肉屋さんへ招待した

父のお気に入りの精肉店が営む
我が家近くにある焼肉屋さんだ

ワタシの元夫も一緒に
4人でテーブルを囲んだ



脂身の多い肉が好きな父は
変わらぬ食欲だったし

ワタシの家で
また呑み直そうかと
コンビニで焼酎やビール
つまみを買い込んで
二次会を開催



呑みながら
カープのテレビ中継に盛り上がって
ワイワイ賑わって
面白可笑しく話をする父は
ご機嫌よく



お酒を酌み交わすのは
この夜が最後になってしまった



パチンコ屋さんが
閉まる時間くらいに
女性が迎えにやってきた


「Sちゃん、下まで来て挨拶してくれんかあ、角が立たんように」


父の頼みだ
イヤでも笑顔で挨拶だけはせねば
街灯下に停めた車へ行き
父が座る助手席のドアを開けて
「こんばんは、お世話になります」
気乗りしないワタシの精一杯の笑顔で
運転席に座る女性に向けて
声をかけた



女性は
こちらを見ることもなく
表情も変えない


身の毛もよだつ
鬼の形相とは
こういうときに使うのかと思うほど


ぞっとするものを
感じた



車に乗った父が
手を振り
「ほいじゃ、またな!おごっそさんよー」
と窓を閉めた


ワタシは車が消えるまで
見送り


心に不安と
心配を抱えた



車の中で
パチンコに負けて不機嫌な女性が
父をつねったり
小突いたりしていないだろうか
いや
父がそんなことをされる訳がない



お金をよこせ
ポケットから
財布が引き抜かれやしないか


とか



女性の
あの鬼の形相が


ワタシを心配させている



つづく

詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-18 15:27:00 | 日記
楽しい時間が過ぎていき
さてそろそろ....という時
父が兄を墓掃除に誘った


なかなかお墓に行く機会を
作れずにいる兄の
それを気にかけていたのだ


ワタシが気にかかったことは
父がこの短い間で
2度もお墓掃除を?
こんなことが
今まであったろうか
ということだ


でも
ワタシが1人で掃除をするより
助かるし
お盆前に綺麗になるのはよいことだ




3人で
翌朝
お墓掃除に行った


やはり父は噴射係

伸び切った草を抜き
お墓を磨く
奮闘するワタシ達に
ポットに入れた冷たい氷水を
紙コップに入れて
振る舞ってくれた


父は
幸せそうな笑顔で
別のポットから
アイスコーヒーを入れて
優雅に飲みながら
小枝を持ち
あっち、こっちと指しながら
草一本も残さぬように指導する


「王様みたいぢゃ」
ぶつくさ言うワタシに


「はあ?なんて?なんいうた?」


聞こえてないのか
喜んでいるのか



ずっと笑顔で
ワタシ達を見張る姿が


今もお墓へ行くたびに
脳裏に浮かぶほどだ




つづく

 

詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-15 15:58:00 | 日記
さあパーティだ
父はよく食べ
よく呑んだ

終始楽しそうであるも
いつになく咳き込み方がひどく

ワタシが
「お父さん、喘息じゃないん?」

前々から
いつもそう言うのにも

やはり
この時も
「いや、わしゃあ喘息じゃあない、気管支炎じゃ」
という


「気管支炎喘息じゃないん?」


「いや違う」


父は喘息を否定するも
女性がヘビースモーカーなのは知っているので

「奥さん、離れてタバコ吸ってくれとる?」

そう聞けば
「はなれもせんー、やめもせんよ、ちんじゃらホイホイ、やりたい放題じゃ」
と笑う父の横顔を


ワタシはギロリと睨んだ



つづく







詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-12 16:53:00 | 日記
昨日12月11日は
24回目の母の命日だ


普段連絡をよこさない
下の兄からの
生存のわかるLINE

息子からは
近況を知らせるLINE

律儀な
上の兄からは
年末の帰省のときに
世話になるからと
命日に合わせてわざわざ電話をくれた



母の命日に
家族の様子がわかり
天国の母は喜んでいることだろう


特に上の兄は
毎年必ず2度帰省をする


母との約束だ


母が他界しても
父が他界しても
ずっと続いている



そして
2018年の夏が
父とワタシ達の
最後の夏になった


8月に入ってすぐ
兄が我が家に2泊するので
父も喜んでやってきた


つづく




詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-09 16:02:00 | 日記
その3ヶ月後には
父は人生最後の入院

そして
その数日後には
天国へ行ってしまうのだ

少し記事を書き進めるのに
ためらいがちになるけれど
それでも、続けよう


義理堅い父や母の性格を
多少なりとも繋がせてもらっているのか
使命感がある
だから続けなければいけない



父が生きているうちの
あの女性の所業なども
大したうちには
入らないことも


父が他界してから
わかるのだ


生前の父が
あの女性に渡すお金も
父が働いて得た収入だ

女性のお金の使い方には
好ましくないばかりでありながらも


ワタシが
どうこう口を出すこともない


態度が悪くても
父が不満を言わないのだから
仕方がない


そんなことを気にかけるより
ワタシと時々でも
楽しく過ごせればいいと
思うようになっていた


時々食事に誘えば
喜んでおめかしをして
来てくれる
父の幸せそうな笑顔が
ずっと見ていたかっただけだ


この頃になると
耳の聞こえもずいぶん悪くなり
言葉のやりとりも
聞き間違いを良くするようになった


おしゃれをする父に
「このブランド、どこの?」
と聞けば
「なに?なに?は?はあ?」
毎度のリアクションに
耳のそばに口を持っていって
「どーこーの、ブーラーンードー?」
すると
父はなぜか
「どこのブランドン?誰かそりゃ」
というし

「今日は垢抜けとるね!」
といえば
「カサカサしとるか?わしの肌が」

垢がとれすぎて
かさついてると
勘違いもして
ローションを取りに行くし

「プチプラ」なんて
流行りの言葉なんていおうもんなら
外では言えない返しがくる
「ぺちゃんこブラ」だなんていうのだ

プチプラが
プチブラに聞こえて
ちいさなお胸のおブラさんに変換される



ワタシをいちいち笑い倒し
見上げると
いつも父は
ニーーっとイタズラな
あの笑顔を見せる

こんな面白い父ネタは
山ほどある



まさか
一歩一歩
あの世に近づいているとは
とても思えない


つづく