黄泉の国へ

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詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2025-02-27 14:12:00 | 日記
30分おきぐらいに
看護師が痰を取りにやってくる


のどちんこでも引きちぎられているのかと
思わんばかりの痛がりに痙攣


それが正しいのかは
ワタシにはわからないが
辛そうに見ているワタシに
看護師さんから
部屋から離れているように言われたが


父と手を握り合ったまま離れなかった



一度、同じ看護師さんが
痰を吸引しているとき
やはり父は痙攣をし
別のベテラン看護師さんのような人が
吸引の手を止めさせ
カーテンの外で
指示だか指導だかしているのを見たときは
怖くなった



同じように
この日
尿管から管で尿をためる袋に血尿が少したまっていたので
医師を呼んでもらい
腎臓なのか、膀胱なのか
尿道なのか
問題が起きているのでは、と
色々尋ねると


女性研修医は
別の当直医師を呼び
相談をしながら
少し様子を見ようということになり
結局原因はわからなかった



肺炎では
よくあることなのか
専門的なことはわからないし


ワタシが納得がいかないからといって
記事にしても仕方がない



父も生き還りはしないのだから。。。



そして
午後8時をすぎ
「お兄ちゃんが、そろそろ帰るよ」
そういうと

父は笑顔で頷いた





父には
「下まで、お兄ちゃんを迎えに行ってくるね」
父は消えそうな声で
「ビールを、買って、一緒にっ、、、帰る」
ワタシは
「後で一緒にビールを買いに行こうね」


そう言っているときに


また看護師さんに
静かにするように
注意を受けてしまった


お互い手をギュッギュッと
握り合って合図を送り合い



看護師さんには
「兄を連れてくるまで、父をよろしくお願いします」

そう言って
兄を迎えに行き


戻ったときには


父は手の力もなく
呼んでも返事はなく


看護師さんに
「父が動かないんですけど、さっきまで指も動いてたのに、手がブランってなってて」

慌てて言うワタシに
看護師さんは
「眠ってらっしゃるだけですよ」



そう言ったのだ



でも
そのまま意識は戻らず
朝には医師から
人工的に呼吸ををしていても
いずれか止まる


その説明どおり



9月3日4時56分


父は息をひきとった



悪魔のような女性のもとを去り
慈愛に満ちた優しい母のもとに
旅立って行ってしまった




看護師さんに
「はじめに来ておられた娘さんは?」
そう聞かれたので
「娘はワタシですが」


ワタシは5日間で
見た目がすっかり変わってしまっていたのだ



兄もワタシを見て
本当に心配をした



あの女性はといえば
夜は
睡眠薬を飲んで
ぐっすり眠り
日中は長く病室にいないのだ



父につきっきりだった為
ワタシは女性が何をしていたのか
気づけなかったが


通夜
葬儀が済み


色々なことが
発覚することになる



つづき


詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2025-02-26 21:15:00 | 日記
父はワタシのの手を握って離さない

指先を使って自らの気持ちを持ち上げるためだろうか
眠らないように意識を保つためだろうか
三三七拍子のリズムをとるのだ
握った私の手も一緒にリズムをとるほどに
力強かった



カープの話をするときは
目がキラキラして
指先をかちゃかちゃ動かせたりもする










兄はスペインから
香港経由で
向かってくれていて
不安な中
メールをみると
少しだけほっとした



買い物へ出たり
タバコを吸いに行って
病室の出入りが激しい女性には
うまく言って帰ってもらった


父の目が
あの女性を探しているようなので
買い物に行ったのだと伝えた




自分の足がついているのかと訊いてくるので
足の感覚がないのだろうかと
心配をするワタシに
父は爪切りで爪を切って欲しいという


爪切りはないと言えば
買ってきてくれ、という


だから足の指の爪は
短くてとってもきれいだと
そう言い


父は安心したのか
少し眠りはじめた


父の穏やかな顔を見ていて
ワタシは
母のその時と重なることがあった


母が天国に行ってしまう
2日ほど前の病室で
母は髪を整えたいから
明日でも櫛を買って持ってきて欲しいと
そう言ったのに

翌日櫛を買い忘れて
病室へ行ってしまい
明日は必ず持ってくると
約束したのに


渡せぬまま


母は天国へ行ってしまったのだ



その後悔が
今度はワタシの心を不安がらせ


「お父さんを、まだ行かせんといて、お母さん」

そう母に心の声で叫んだ


母はいつもワタシの味方なのだから
ワタシの声が届くはず。。。




少し眠っただけで
また父は直ぐ目を覚ました



父は痛みに恐怖を
ワタシも耐え難く悲しい
父の姿


看護師さんが
痰をチューブで吸引するといい
眠っている父の口の中にチューブを入れ


その時、悲鳴をあげて
痛がり
痙攣を起こしたのだ



つづく
















詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2025-02-24 17:10:00 | 日記
担当が一時的に変わった
若い女性の研修医は
あまり回診には来られなかった

看護師の報告から
処方の指示などを出されているようだ

CCUでワタシが覚えがある看護師さんは
4名
その中の1人の看護師さんが


父に寄り添って話を聞いたり
喋りかけたりするワタシを呼んで


おとなしく静かにしていないと
父の体に負担がかかる
カーテンの向こう隣にも
患者さんがいて迷惑にもなる

そう注意を受けた


それでも父は眠らず
話をしたり
体を起こそうとしたかったりするので
11時近くなり
ワタシはまた
同じ看護師さんに呼ばれた



睡眠導入剤(鎮静剤)で
少し眠ってもらったほうがいい
このままでは
また状態が悪化しかねないからだ、と
0時までに了解をもらわないと
処方はできないのだ
ともいわれた


ワタシの一存では決められない
父は眠りたくないと言うし 
どうしていいかわからない


兄はフライト中で
連絡が取れない



相談ができないのだ



看護師さんは
続けてこう言った

8月31日の夜中に
睡眠導入剤を入れたことで
父が暴れて
意識を失ったと聞かされた


それを
この時はじめて知ったのだ


暴れたから睡眠導入剤を入れて
意識を失ったのではなく?
睡眠導入剤を入れてから
暴れた?

何故暴れたのだろう
何故今まで教えてもらえなかったのか
何故0時まで?
その時は
誰の許可取ったんだろうか


ワタシは夜中を過ぎても
父の側にいたのに.....



ほんの少し自宅へ戻ってる間なのか



ワタシはとても混乱した


それに
看護師の言葉の中にあった
「状態が悪化」
「意識を失う」
これが頭の中でぐるぐる回る



11時50分
看護師さんが
あと10分の猶予だと言わんばかりに
待ち構えておられ


もう数分で0時


睡眠導入剤(鎮静剤)が処方された



眠ると死んでしまいそうだと
目を閉じない父のそばから
ワタシは離れなかった


「まだまだ生きられるー生きるー生きるー」
「水はまだか、まだかっ」
何度も言い
ワタシも適当な相槌をうち


そのうち
2時から4時ぐらいまで
父は少し眠りについた



ワタシも椅子に座って
父の手をさすりながら
ウトウトどころか
椅子から落ちそうな程
頭がコックーンと揺れる度に
目を覚ますと


父もワタシをギョロリと見ている



そして互いにまた目をゆっくり閉じた



夜が明け
午前8時ごろ
あの女性がやってきた



父の手を握り
父の喜ぶ話をしたい、と
パチンコの話で盛り上がった


父はパチンコなどしないのだから
自分の喜ぶ話だ


そして女性は急に泣き出した


こんなときに泣いたら
まるで父が助からないみたいじゃないか
ワタシだって父に涙を見せないように
胸の真ん中のところがギュッと詰まって
苦しくなるほど
我慢してるって言うのに
廊下にでも出て泣いたらいいじゃないか


そう思うワタシの気持ちを
知ってか知らずなのか


父は
括られた手の人差し指を
ひょいっと女性に向けて
「な、泣き虫ー!泣き虫ー」
声を振り絞り出しながら
笑っていった



つづく





詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2025-02-21 15:07:00 | 日記
父はベッド起こしてもらい
看護師さんを呼んで
話を始めた

自分を花に例えて
「どうか、水をやってくれんかね」
と看護師さんにお願いをした

駄目だと言われれば
「わしが枯れてしまうじゃ」
こう言うも
駄目なものはダメなのだ

看護師さん達は
とても困られたようで
この時は
ワタシも少し申し訳なく思ったりもした


ベッドを起こしてもらったのは
これが最後だった


なだめようとするワタシは
看護師さんの目を盗んで
こそこそ父にスマホを見せた


まだこの時も
口元にティッシュを持っていけば
父は自分で痰も出せる



だが
時々起きようとしては
動けないわけだから
「束縛するなよ、外せ外せ」
括られた紐から手足をガチャガチャ動かした


器用で賢い父は
手足をゴソゴソ動かし
少し緩んだところで
するんと手を抜いて
してやったぞと言わんばかりの
イタズラな顔もする


看護師さんには
その度に紐を強く絞められてしまい




「わしは明日死ぬんか?」
「私を殺すん?」
「殺人じゃ」
そんなことをいうのだ



なす術がわからないワタシは
父がご機嫌が良くなるような話ばかり
話した



消灯過ぎても
父は眠らない



つづく




詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2025-02-18 15:35:00 | 日記



9月1日の
朝の担当医の説明のとき
その医師から
3日の朝まで病院を離れることになり
不在であること


その間は
研修医に電話で指示を送り
状態もわかるようにするといい
チューブを挿入するときには
若い研修医と看護師で行われた



本当に昏睡状態だったのだろうか


眠っていただけではなかったのか


朝まで無理かもしれないと
言われた父は
叫び声もあげていたし
イヤホンで聞くだけでいいから
大好きなカープの情報を
見聞きしたがった


CCUでは
また両手足を紐で固定されてしまい
ワタシの手がまた代わりになり
禁止されているスマホの画面を
こっそり見せた



水を飲みたがっても
あげられない
看護師さんに止められているので
口を拭いてあげることしかできず
身体を起こそうとしても
身動きできないのだから


時々はワタシを叱った


叱り方も父らしさは変わらず
「あんた誰?いうこと聞かんからSちゃんか」

そんな風にいえる父が
まだワタシの前に存在していて



この時はきっと持ち直して
回復すると思うワタシがいた



つづく