黄泉の国へ

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詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-09 16:02:00 | 日記
その3ヶ月後には
父は人生最後の入院

そして
その数日後には
天国へ行ってしまうのだ

少し記事を書き進めるのに
ためらいがちになるけれど
それでも、続けよう


義理堅い父や母の性格を
多少なりとも繋がせてもらっているのか
使命感がある
だから続けなければいけない



父が生きているうちの
あの女性の所業なども
大したうちには
入らないことも


父が他界してから
わかるのだ


生前の父が
あの女性に渡すお金も
父が働いて得た収入だ

女性のお金の使い方には
好ましくないばかりでありながらも


ワタシが
どうこう口を出すこともない


態度が悪くても
父が不満を言わないのだから
仕方がない


そんなことを気にかけるより
ワタシと時々でも
楽しく過ごせればいいと
思うようになっていた


時々食事に誘えば
喜んでおめかしをして
来てくれる
父の幸せそうな笑顔が
ずっと見ていたかっただけだ


この頃になると
耳の聞こえもずいぶん悪くなり
言葉のやりとりも
聞き間違いを良くするようになった


おしゃれをする父に
「このブランド、どこの?」
と聞けば
「なに?なに?は?はあ?」
毎度のリアクションに
耳のそばに口を持っていって
「どーこーの、ブーラーンードー?」
すると
父はなぜか
「どこのブランドン?誰かそりゃ」
というし

「今日は垢抜けとるね!」
といえば
「カサカサしとるか?わしの肌が」

垢がとれすぎて
かさついてると
勘違いもして
ローションを取りに行くし

「プチプラ」なんて
流行りの言葉なんていおうもんなら
外では言えない返しがくる
「ぺちゃんこブラ」だなんていうのだ

プチプラが
プチブラに聞こえて
ちいさなお胸のおブラさんに変換される



ワタシをいちいち笑い倒し
見上げると
いつも父は
ニーーっとイタズラな
あの笑顔を見せる

こんな面白い父ネタは
山ほどある



まさか
一歩一歩
あの世に近づいているとは
とても思えない


つづく













詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-06 15:52:00 | 日記
5月の終わり頃
梅雨に入る前にと

ワタシはしきみを用意して
父はお墓用の掃除道具一式を持ち
お墓へ行った


車中で父は
「わしは、噴射係をするからのー」
というのだ

噴射?って何やろか
とは思ったが
あえて聞かず
気にもせず


山の麓にあるお墓は
少し坂になっているものの
そろそろ重い父の足は
杖なども必要とせず
「よしっよしっ」と
いいながら
踏ん張って上がっていった



お墓へつくと
小さな自分用の椅子をちょこんと置いて
そこに腰掛けた

ごそごそお道具入れに手を入れると
左手に体用の虫除けスプレーを
右手にジェットスプレーを持ち


「はい、Sちゃん目えつむってー」

立ち上がって
ワタシの頭のてっぺんから
足元まで
むせるぶる程に
スプレーを振りかけた

そして
またちょこんと座る父の左手は
虫除けスプレーから
小枝になり


ここじゃ、あそこじゃ
今度はここ
いやこっち
とワタシに指図をしながら


ワタシがしゃがむとこに
ジェットスプレーを
楽しそうに
シューッ、シューッと撒き散らす


これが噴射係なのだ


時々振り返るワタシに
「なんかいうたか?」
ニーッと笑顔で
吹きかける


本当に面白がって
遊んでいるように見えた



一通りお墓の周りもきれいになると
「よし、唱えて帰ろう」

「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏〜南無大師遍照金剛〜南無大師遍照金剛〜」

しゃがれた声で唱えながら
手を合わせた父は

「足が悪うなりゃー来られんでーの」


そういうのには
少し訳を含む父も
年齢が年齢なだけに
あの女性が
車を占領しているのは
まぁ、良いとしても


女性に
連れて行ってくれとは
言えないようだった


国も違えば
宗教も違う


毎朝
お仏壇にご飯とお茶をお供えする
父の姿が
女性には良しとは見えていないからだ




また
お墓に行きたくなったら
いつでも言ってと
ワタシがといえば



「ほうじゃのう、そうしよう」
そう言う父を


実家へ送った



つづく







詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-12-02 16:23:00 | 日記
父は
法事の席で
先に逝かれた父の兄弟や妹の
家はどうしてるのか
お墓はどこに建てたんだか

とか
しきりに気にして聞いていた


実家へ着くと
女性はお留守なので
あがって少しマッサージをしてくれと
頼む父が
何か他にも頼みがあるようだなと
思えたので


お茶を入れて
肩を揉んでいると


暑くなるまでに
お墓の掃除に行こうかという



この頃の
数年は
年に一度でもお墓に行っているだろうか
くらいに父はお墓参りに行っておらず


たまに電話してきたときに
「墓はきれいにしてくれたか?」
と確認をする
すると、私は、心の中で
「家(実家)の近くにお墓を作ったのに、ワタシに任せてばっかりぢゃ」
思うこともあった

けれど
ワタシの大切な母が眠るお墓なのだから
そんな不満を心に持つのは良くないと
すぐに心が気持ち悪くなる



だから
お墓へ行って
生い茂る草をせっせせっせ抜きながら
「お父さんは来ちょらんね、お母さん」
やら
「あの女性がおるから、来られんのかね、お母さん」
など
ぶつくさと
返事のないお墓の母に話しかけながら
お墓を綺麗にする
そうすると
すごく気持ちよくなって
すっきり心が晴れたりする



能天気なワタシは
ご機嫌よく
父に「お墓行ってきたよ」
と電話をかける

父は
「そうか、すまんのう、ありがとう、ありがとう、ありがとさんよー」
3度丁寧にお礼を言ってくれる



この流れが常になっていたのに



きっと
続けて近しい弟達が亡くなってしまったことで
思うところがあるのだろう



つづく