竹林亭白房

八代目小燕枝「転宅」★落語

□本日落語一席。
◆八代目柳亭小燕枝「転宅」(衛星劇場『衛星落語招待席』)。
東京玉川せせらぎホール、令和5(2023)年12月16日(第四回「せせらぎ寄席」よるの会)。
この落語には穴があるんじゃないかと、いつも思って聴くのが落げに至る最後のプロット。盗人が、翌日になって女のもとへ戻ってきたところで、女の家から入ってもよいという合図の三味線が聞えてこない。そこで時間つぶしに、近所のたばこ屋へ入るのだが、そこで、女は転宅してすでにいなくなっていることを知り、近所の者たちが盗人が戻って来るのをおもしろおかしく見張っていると知る。

で、そのたばこ屋をはじめとして、近所の者たちが心待ちにしていた盗人がまさに来たではないかということになぜ気づかないのかと思わせてしまう展開が穴である。ある意味、「紙入れ」の貸本屋の新さんと旦那のやりとりにも似ている。

演者によっては、盗人とたばこ屋の軽妙なやりとりでその穴もまあいいかと思わせてくれる場合もあるけれど、今日聽いた小燕枝の語り口だとちょっとゆるくて、嗚呼、穴だなあと気づかされてしまう。
なかなかやっかいな落語だと思う。もういっそのこと誰かあの最後のプロットを明解にアレンジしてくれないかなと思ったりする。
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