竹林亭白房

織音「藤原実方」★演芸(講談)

□本日落語一席。
◆桂文五郎「二人癖」(NHK大阪放送局『とっておき!朝から笑タイム』)。
NHK大阪ホール、令和6(2024)年5月9日収録(第445回「NHK上方落語の会」)。

■本日講談一席。
◇神田織音「藤原実方」(NHK-Eテレ『講談大会』)。
東京霞ヶ関イイノホール、令和6(2024)年6月16日(第53回「講談大会」)。
大河ドラマ『光る君へ』の時流にあわせて作られたものかどうかわからぬが、平安時代中期の貴族藤原実方を主人公にした創作講談である由。

実方は百人一首にも採られた中古三十六歌仙の一人だが、いくつかの説話にも逸話が残された人物である。今回、織音はその説話に語られたエピソードをつないで一席に仕立てたという趣である。

発端を「桜狩雨は降りきぬ同じくは濡るとも花のかげにやどらむ」と実方が詠んだ和歌の逸話を材にとり、それを地下人の藤原行成が難じた結果、実方が行成を恨みに思って、後の諍いに発展したという内容で語りは進む。
織音は、この確執が、中将という殿上人である実方が地下人行成に難じられたという身分差に着目していたようだが、この逸話を収載する『撰集抄』では、行成が蔵人頭だったと記されている。

説話が示す官職はかならずしもエピソード当時のものでないから、後に蔵人頭になった行成がという意味で、蔵人頭行成と記した可能性はあるけれど、確執の本質が身分差でないのではないかという気はしている。
実際、行成がどう難じたかについては、説話に記された「歌はおもしろし、実方はをこなり」という(内容の)言葉が、確執の軸なんじゃないだろうか。

それにしても、藤原実方を一席の講談にするとはおもしろい。実方と清少納言の会話場面といったくふうも織り込まれていておもしろい。このシリーズがもっと増えるといいかも。
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