えんじゃけん

藪原検校(やぶはらけんぎょう)

昨日は藪原検校をシアターコクーン(渋谷)に見に行きました。
古田新太が杉の市役です。
古田さんとは、「贋作・罪と罰」つながりですね、松さんと。

この「藪原検校」の話って何かで聞いたことがあるんですけど、
気のせいかなぁ。
でも、平日の夜は眠くて仕方ありませんでした。
というか、寝てしまいました。
7時開演で10時15分終了という長めの舞台。
1時間10分たつと休憩が15分入ります。
最初の出だしは、暗転の中、三味線のような音で始まります・・・
かっこいいなぁと思っていると右手にスポットライトがたってる!
そっちを見るとなんとギターの音でした。
とにかく手の動きが早くてびっくり!
あんな音も出るんですね、ギターって・・・びっくりです。

そして、ほかの松さんつながりで、壤 晴彦さん。
「ひばり」ではとっても威厳のある役をやっていた譲さんなんですが、
今回は最初から最後まででずっぱりなのは前回と一緒ですが、
今回は語り手という位置で常に舞台右手のギターの前にいます。
たまに、かわいい(?)ギャグ(??)もしながら、
あの「ひばり」での威厳は役作りでの威厳なんだなぁって、
改めてすごい役者さんだなぁと思いました。
語りは「ひばり」を見ている人ならわかるだろうけど、
とっても聞き取りやすい語りでした。
もう、ほとんど終始話している感じでした。

んで、あとは梅沢昌代さんも出ていましたよ。
彼女とは松さん、「嵐が丘」で一緒でしたよね。
私の知り合いが梅沢さんと知り合いなので、
今回のチケットをとってもらっていい席で見せていただくことができました。
ありがたいことです。

そして、今度「ロマンス」でご一緒する段田安則さん。
いろいろな役をやっていたんですけど、どれも魅力のある役作りで、
とってもよかったですよ!
「ロマンス」ではどんな役を見せてくれるのか、とっても楽しみです。

そして、なんたって、古田さん。
いや、いい味だしていましたよ。
ほかの方の感想などを読んでいると、
「今回は脱がなかった」なんて、感想がよく見られますが、
(って、新感線の芝居以外ではそんなに脱がないのでは・・・?)
でも、脱がなくても満足に思っている方が多く、
すごみのあるとき、無邪気なときと、本当に切り替えがすばらしいんですよね。
でも、役としてきちんとつながっていて違和感がない。
うまいですよね、古田さん。
なんていうんだろう、色気がありますよね。
テレビでだと出ない色気が。
古田さんは舞台人だなぁと舞台やテレビで見るたびに思います。

私の席の後ろは何故か外人の方がズラッと並んでいました。
英語圏の白人の方々だったんですけど、日本人とは反応が違うんですよね。
それも結構面白かったです。
特に、びっくりしたのが、最後、松の市が、後もう少しで藪原検校の
地位につけるというときに、悪事がばれ、処刑されるシーンがあるんです。
そのときに、三段切りといって、縄釣りにされて、首と胴を一揆に切り落とされ
るんですよね・・・。
それで、処刑の前に、いやでも蕎麦を腹いっぱいくわせろって支持があって。
三段切りすると、胴体の首の切り口からそばがダラーンと出て、血の滝のように
なるんだけど、それを見て私なんかは衝撃的で、一瞬何も考えられなかった
んですけど、後ろの外人の女の人は声を出して笑っていました。
・・・笑うところなのか?
文化の違いなんでしょうか?
カルチャーショックでした。
感覚がずいぶん違うんでしょうね。
(といいつつ、私、あのダラーンがそばとはわかってなかったんですよね。
ちょうど、その処刑の仕方を相談しているシーンをうつらうつらしていて。
血が流れ出ているのを表現しているのかなぁと思ってました)

あと、この芝居、やけに歌を歌うんですよね。
最後も杉の市が処刑されたあとも、陽気な歌をみんなが歌って終わります。
(このとき、外人さんは一緒になって鼻歌を歌っていたらしい)
それとロープをうまくつかって、いろいろなものを表現していました。
坐頭のための山の道知るべをあらわしていたり、
峠を表していたり、日本橋をあらわしていたり、
・・・・そういえば、最後の処刑のときも、ロープが関係しますね。
ロープはつなぐもの、道しるべになるもの、ひっぱるもの、
縛るもの・・・いろいろな使い方がありますよね、
その分、いろいろな意味を含んでいるように思います。

最後の処刑のときは人形が使用されたんだけど、
「人形だから、話したり動いたりしないから、それに対して、
騒ぐ人々がなんだかおかしく見えた。あれが、古田さんがつるされて、
最後に慈悲を請うようなことをすれば、もっと違ってみえたかも」
と、一緒にいった友人が言ったんだけど、
松の市ももともとは目の見えないという弱者であるんですよね。
弱者ゆえ生み出された悪かもしれない。
けれど、人々は、そういった弱者を差別したりすることが、
気づかないうちにされていることもあるんですよね。
そういったことをあらわすためにも、最後は人形(といっても
リアルな蝋人形のような人形でしたが)のほうが効果的だったのでは
ないだろうか?と私は思いました。
人形=動かない=何もできない=弱者って気がして。

ある感想に「人は他人を見下すことが好き」という表現をしている人がいた。
たしかに、人は自分より下のものを見て安心する生き物なのかもしれない。
だから、昔はとっても身分のひくい「えた・」をつくることで、
民衆の不満をおさえるようにしたっていわれますよね。
それは江戸時代の話ですが・・・今はどうなんでしょうね。
今も、そういった政府の思惑に知らずのうちに乗せられているってことは
ないんだろうか・・・と思ってしまいます。
そして、自分が人を見下すことで安心感を得たりはしてはないだろうか
とも思います。
見下すことでの安心感は本当の安心感ではないですよね。
常になにかに追われる安心感のように思います。
つまりは、一種の幻。
そうではない安心感はやはり、人と比べるものではないですよね・・・。
と、いいつつも、やはり私も知らずのうちに差別をしたり、
人を見下したりしているんだろうなぁ・・・
マスコミと同じようなことを、同じような言葉を使ってしまっているんだろうなぁ・・・。
何が真実かを見極める目は、イコール、幸せが何かを見極めれる目だと
思います。
他人に流されず、世間に流されず・・っていうのは本当に難しいことだけど、
そんな人になれるといいなぁと思います。


あ、そうそう。
松さんつながりで、この芝居の脚本は井上ひさしさんです。
今度の「ロマンス」の脚本家ですね。




■「薮原検校」

蜷川幸雄が新演出で挑む
『天保十二年のシェイクスピア』に続く
井上ひさし×蜷川幸雄 第二弾!
夢の最強キャストがここに実現する!!
因果な生い立ち、非業の最期
稀代の大悪党藪原検校一代記

スタッフ 作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
音楽:宇崎竜童
出 演 古田新太
田中裕子
段田安則
六平直政
梅沢昌代
山本龍二
神保共子
松田洋治
景山仁美
壤 晴彦

ギター演奏:赤崎郁洋
公演日程 2007年5月8日(火)~31日(木) 全28回公演
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