映画「三島由紀夫vs東大全共闘
~50年目の真実~」を観た。
1969年5月13日に東大駒場
キャンパス900番教室で行われ
た三島由紀夫と1000人を超す
東大全共闘との討論会について
のドキュメンタリー。
2020年公開の日本映画。
監督は豊島圭介。
TBSが撮影していた映像を復元し
たものを中心に、元東大全共闘、
元盾の会、現代の識者のコメント
で構成される。
面白かった。
百聞は一見に如かず、だ。
三島由紀夫ってこんな人だったか。
著書を数点読んだだけでよく知ら
なかったが。意外に温厚な語り口
で時折ユーモアも交える。相手を
頭から否定することもなく、同意
する点は同意し、自分の主張を述
べる。その姿勢には若者に対する
愛も感じられるようだ。
全共闘側も意外に穏当だ。ともす
ると、有名知識人を招いた学祭の
ようにも見える。論議は時に高度
で難解だ。こんな抽象度の高い言
葉でよく行動できたものだと感心
する。
最後部のナレーションで「熱と敬
意と言葉」というフレーズがある。
ピンと来なかったが、三島由紀夫
の姿を見てこう思った。
相手を否定したり、論破したりす
ることに意味はない。自分の考え
を相手に伝えたい、相手に理解し
てもらいたいと願って言葉を発し
話している。それは共に生きよう、
共に行動しよう、という考えから
なのだろう。