2020年3月1日(日)
「スーパーシティ」法案個人情報一元化進む恐れ
安倍政権が今国会での成立を目指す「スーパーシティ」法案(国家戦略特区法改定案)。人工知能(AI)やビッグデータなど最先端の技術を活用し、未来の暮らしを先行実現する「まるごと未来都市」をつくるといいます。しかし、取材を進めると深刻な問題点が見えてきました。(藤原直)
域内の完全キャッシュレス化や
マイナンバーカードへの決済機能のひもづけ、
ネットを通じた遠隔医療、
ドローンによる薬の配送、
地域交通の自動走行化、
習熟度に応じた遠隔教育の本格的導入…。
内閣府の資料に示されたスーパーシティでの取り組み案です。
政府は、スーパーシティとは、複数の先端的サービスを域内で同時に実現し、「社会的課題の解決を図る生活実装実験」だと説明しています。
やりたい放題に 内田聖子さん
住民を巻き込んだ「実験」に問題はないのでしょうか。
「大いにあります」。アジア太平洋資料センターの共同代表・内田聖子さんは強調します。なかでも、複数の主体からデータを収集し、先端的サービスの実現を支える「データ連携基盤」の整備事業がスーパーシティ構想の「核」だと指摘します。
「国や自治体、警察、病院、企業が、いまは別々に持っている情報がありますよね。例えば、納税の状態や既往症、位置・移動情報や商品の購買歴といった個人情報です。これらの情報の垣根が壊され、一元化が進む恐れが強いと思います」
法案には、基盤整備事業の実施主体となった民間企業などが、国や自治体に、それらの機関が保有するデータの提供を求めることができるという規定も盛り込まれています。
「あらゆる行動が追跡できてしまう時代です。『安全に管理するから大丈夫』と政府は言いますが、それ以前の問題として、あらゆるデータが一元的に収集されること自体を問題とすべきです。市民の側もよく議論を深めておかないと企業や権力のやりたい放題になってしまいます」(内田さん)
日本共産党の清水忠史衆院議員も「大量の個人情報と顔認証、マイナンバーとの結びつきが強化されれば、住民に対する管理・監視にもつながり、プライバシーや人権の視点から非常に問題があります」と指摘。「官民から漏えいが相次いでいる個人情報も、保護の強化こそ求められます」と話します。
総理案件で緩和
内田さんが法案に盛り込まれた、もう一つの危険な仕組みとしてあげるのが、首相のトップダウンで包括的な規制緩和を進める仕組みです。
国の選定を受けた自治体が民間企業や内閣府と「区域会議」を設け、構想の実現に必要な規制緩和などの計画案を策定。提案を受け取った首相が、関係省庁に特例措置の検討を要請したり、首相が議長を務める特区諮問会議からも勧告を行ったりします。
「『総理案件』として各省にまとめてプレッシャーをかけるわけです。計画には住民の意向を踏まえるとしていますが、それをどう保障するのかはまったく示されていません」(内田さん)
昨年6月、内閣府が大阪市で開いたスーパーシティ関連フォーラムには200社を超える企業が参加。竹中平蔵・パソナグループ会長が基調講演に立ちました。同氏は2018年10月、座長を務める政府の有識者懇談会で、スーパーシティでは「国・自治体・企業で構成するミニ独立政府」を運営主体とすべきだとする「原則」を示しています。そこでは、主権者である住民は「参画」の機会が与えられるにすぎない存在におとしめられています。
本質から目そらす幻想
自治体政策に詳しい奈良女子大学の中山徹教授の話 スーパーシティは、国際競争の中での先端技術での遅れに焦る日本の財界と政府が新たな収益源の開発を狙って推進している都市戦略です。そこでは、住民が自治能力のある市民としてではなく、企業と行政から生活を管理され、消費を引き出される対象と位置付けられています。政府は、先端技術の発達だけで人口減少や少子高齢化などの社会的課題が解決するかのように描いていますが、問題の本質から目をそらす幻想です。まずは第1次産業の振興や子育て支援など当たり前の政策を進める中で、先端技術は、市民生活に役立つよう使うべきです。
>問題の本質から目をそらす幻想です
そりゃ、警察監視対象である共産党からは都合の悪い法案でしょう。お金の動き、警察情報も個人情報に紐づけされれば監視強化になりますし。
住民の情報がしっかり守られるのか、とか、企業や行政に生活を管理される、などと言う事こそ、問題の本質から目をそらす幻想ですよ。
こんな自己都合を公益にすり替えて提言するから、どこまでも信頼されない。また、それを自己客観視できないのが日本の野党です。
「スーパーシティ」法案個人情報一元化進む恐れ
安倍政権が今国会での成立を目指す「スーパーシティ」法案(国家戦略特区法改定案)。人工知能(AI)やビッグデータなど最先端の技術を活用し、未来の暮らしを先行実現する「まるごと未来都市」をつくるといいます。しかし、取材を進めると深刻な問題点が見えてきました。(藤原直)
域内の完全キャッシュレス化や
マイナンバーカードへの決済機能のひもづけ、
ネットを通じた遠隔医療、
ドローンによる薬の配送、
地域交通の自動走行化、
習熟度に応じた遠隔教育の本格的導入…。
内閣府の資料に示されたスーパーシティでの取り組み案です。
政府は、スーパーシティとは、複数の先端的サービスを域内で同時に実現し、「社会的課題の解決を図る生活実装実験」だと説明しています。
やりたい放題に 内田聖子さん
住民を巻き込んだ「実験」に問題はないのでしょうか。
「大いにあります」。アジア太平洋資料センターの共同代表・内田聖子さんは強調します。なかでも、複数の主体からデータを収集し、先端的サービスの実現を支える「データ連携基盤」の整備事業がスーパーシティ構想の「核」だと指摘します。
「国や自治体、警察、病院、企業が、いまは別々に持っている情報がありますよね。例えば、納税の状態や既往症、位置・移動情報や商品の購買歴といった個人情報です。これらの情報の垣根が壊され、一元化が進む恐れが強いと思います」
法案には、基盤整備事業の実施主体となった民間企業などが、国や自治体に、それらの機関が保有するデータの提供を求めることができるという規定も盛り込まれています。
「あらゆる行動が追跡できてしまう時代です。『安全に管理するから大丈夫』と政府は言いますが、それ以前の問題として、あらゆるデータが一元的に収集されること自体を問題とすべきです。市民の側もよく議論を深めておかないと企業や権力のやりたい放題になってしまいます」(内田さん)
日本共産党の清水忠史衆院議員も「大量の個人情報と顔認証、マイナンバーとの結びつきが強化されれば、住民に対する管理・監視にもつながり、プライバシーや人権の視点から非常に問題があります」と指摘。「官民から漏えいが相次いでいる個人情報も、保護の強化こそ求められます」と話します。
総理案件で緩和
内田さんが法案に盛り込まれた、もう一つの危険な仕組みとしてあげるのが、首相のトップダウンで包括的な規制緩和を進める仕組みです。
国の選定を受けた自治体が民間企業や内閣府と「区域会議」を設け、構想の実現に必要な規制緩和などの計画案を策定。提案を受け取った首相が、関係省庁に特例措置の検討を要請したり、首相が議長を務める特区諮問会議からも勧告を行ったりします。
「『総理案件』として各省にまとめてプレッシャーをかけるわけです。計画には住民の意向を踏まえるとしていますが、それをどう保障するのかはまったく示されていません」(内田さん)
昨年6月、内閣府が大阪市で開いたスーパーシティ関連フォーラムには200社を超える企業が参加。竹中平蔵・パソナグループ会長が基調講演に立ちました。同氏は2018年10月、座長を務める政府の有識者懇談会で、スーパーシティでは「国・自治体・企業で構成するミニ独立政府」を運営主体とすべきだとする「原則」を示しています。そこでは、主権者である住民は「参画」の機会が与えられるにすぎない存在におとしめられています。
本質から目そらす幻想
自治体政策に詳しい奈良女子大学の中山徹教授の話 スーパーシティは、国際競争の中での先端技術での遅れに焦る日本の財界と政府が新たな収益源の開発を狙って推進している都市戦略です。そこでは、住民が自治能力のある市民としてではなく、企業と行政から生活を管理され、消費を引き出される対象と位置付けられています。政府は、先端技術の発達だけで人口減少や少子高齢化などの社会的課題が解決するかのように描いていますが、問題の本質から目をそらす幻想です。まずは第1次産業の振興や子育て支援など当たり前の政策を進める中で、先端技術は、市民生活に役立つよう使うべきです。
>問題の本質から目をそらす幻想です
そりゃ、警察監視対象である共産党からは都合の悪い法案でしょう。お金の動き、警察情報も個人情報に紐づけされれば監視強化になりますし。
住民の情報がしっかり守られるのか、とか、企業や行政に生活を管理される、などと言う事こそ、問題の本質から目をそらす幻想ですよ。
こんな自己都合を公益にすり替えて提言するから、どこまでも信頼されない。また、それを自己客観視できないのが日本の野党です。