韓国の負け犬たちが日本に群がる…「ここは仕事、金、女、全て手に入る」
7/6(月) 9:16配信
■韓国ではエリート以外は全てダメ、だから日本に来る
「日本に来るのは頭の悪い韓国人です」
新宿、歌舞伎町の取材を続ける中、深夜のコンビニで出会ったのがキムさん(仮名)だった。韓国からの留学生で時給がいいのでコンビニの夜勤に入っているという。新宿に限らず、東京のコンビニ店員は外国人が多い。
「留学したいので、一番頭いいのがアメリカ行きます。次がヨーロッパ、そして頭の悪い韓国人が日本です。私は頭が悪いから、日本」
キムさんが自嘲する。韓国ではソウル大学や高麗、延世、梨花女子といった名門大学に入れなかった者は留学で箔(はく)をつける。日本より学歴社会で、留学にも積極的だ。キムさんは日本の某マイナー私大の大学生、よほど大学に詳しくなければ、誰も知らないような大学だ。
「韓国では一流大学に入れなかったらエリートにはなれません。あとは兵役で特殊部隊とか配属されると親が喜びます。スポーツ選手も成功したらエリートです。そうでないのは全部だめ」
断っておくが、キムさんの日本語力は私たちよりは当然劣る。語彙も不足しているので乱暴な言葉に聞こえてしまうかもしれないことは了承していただきたい。私たちだって海外でその国の言葉を話せば、話せるようになるほどに現地の人から嫌がられることがある。また今回はキムさんの言いたいこと、言っていることを曲解しないように気をつけながら、こんな感じだろうと私が補足している部分も多い。重ねて誤解なきようご容赦を。
■日本の大学に入るには日本語はいらない?
「だから日本は残念な韓国人の行くとこです。私がまさにそう」
つまり、韓国の若者にとって、アメリカやヨーロッパ(といっても多くが旧西側の先進国だろう)の残念賞が日本ということだ。そして韓国は超学歴社会、超エリート社会なので、成績上位者や特別な英雄(成功したスポーツ選手だったり、特別な軍人だったり)以外は価値がない。キムさんの言葉すべてには同意できないが、韓国という国にそういう面があるのは事実だ。キムさんは韓国の受験競争に敗北し、いろいろな事情があって日本に来たという。
「日本を選んだ理由は成績でここしか来れなかったから。日本の大学はどこでもいいなら誰でも入れます。学生ビザも取れるし、こうして働ける」
留学に至る試験形態はさまざまなのでおくが、日本留学試験(EJU)にせよ日本語能力試験(日能試)にせよ、大学によっては抜け道が用意されている。
日本の大学は選ばなければ日本語のあやしい外国人すら大学生になれる。無名大学の別科や研究生、専門学校に至っては学費さえ納めれば日本語が出来なくても受け入れる。実際、出稼ぎ目的の学生による集団失踪が問題になっている。これが中曽根内閣の留学生10万人計画から受け継がれてきた、日本の受け入れ政策の現実である。そして万年定員割れの無名大学は彼ら外国人で食いつないでいる。もちろん、日本にいる留学生全員がそうだとは言わないが――。
■韓国人にとって日本人男性は弱いし幼稚
「私は兵役も終わってます。いい経験でした。軍隊生活をした私からすれば、日本人男性は弱いし幼稚ですね」
本国で無職の期間もあり、兵役も終えているキムさんは、学生というには少し年齢が高い。日本人男性のどこがどう弱くて幼稚なのだろう。キムさんの言い方に引っかかるものがあったので問いただした。すると韓国語でまくしたてて笑ったあと、
「あなたも日本人、怒るのはあたりまえです。でも私は強いしコンビニでバカな日本人の泥棒を捕まえたこともあります。軍隊行った人には勝てないよ」
そう言って、私の肩を強く叩いた。韓国の人の親しみというか、近くなった証拠なのかもしれないが気分のよいものではない。まくしたてた韓国語の内容もわからないし、その時のキムさんの半笑いに決して良い印象は抱かなかった。キムさんは強がっているが、このコロナ禍の異国で相当ストレスがたまっているのだろう。そうでも思わないと私も気分が悪い。しかし、それならなぜ「残念」な日本に来たのか?
■来てみたら日本は大したことない
「仕事ですね、韓国は仕事がありません。仕事だけなら日本のほうがいっぱいある。韓国はバイトもない。放射能もコロナも怖い、でも日本は仕事だけはあるし、大学も簡単。大学出たら外国人の就職先もいっぱいある。日本の会社は韓国人を欲しがってます」
コロナ禍でかなり状況は変わったが、昨今の日本企業は積極的に留学生を採用してきた。少子化の穴埋めに若い人材を求める。本来は団塊ジュニア、氷河期世代の採用でも構わないはずだが、日本企業は年食った日本人より若い外国人の新卒者を望んでいる。
「日本はもっとすごい国だと思ってました。韓国人は日本が嫌いですが、日本のすごさは認めてました。でも来てみたら大したことない」
こんなふうに言われるのは心外だが、最近はこういう韓国の若者が増えたように感じる。私がオタクカルチャーの仕事をしていた90年代、韓国企業の若者は日本のアニメやゲームのすごさを語り、日本の出版社に提携や商品化のお願いに来たものだ。冷戦期、そもそも韓国のことなど日本人の多くは興味がなかった。相手にもしていなかったはずなのに。時代と世代が移る中、恨日から反日、そしていまは侮る意味の侮日となったということなのか。
■仕事、金、女、日本では全て手に入る
「コンビニは韓国にもありますが、時給は日本がいいです。日本のコンビニと韓国のコンビニに違いはないです。あ、韓国はコピー機がないです。それと日本は挨拶にうるさいですね、韓国のコンビニは挨拶ないです」
コンビニの内容は日本と韓国に違いがないことは私も知っている。違いはサービスくらいか。韓国のコンビニは箸やスプーンを入れてくれないし、キムさんの言うとおり挨拶なんかまずしない。あと立ちっぱなしもない。客の前で椅子に座りながらスマホをいじっていることも。
「ほんとはコンビニなんか働きたくないですが仕方ないですね」
生活費のためには仕方がない。ただ学費はご両親が出してくれたそうで、それなりの家庭環境ではあるのだろう。日本に来たのは、仕事と金のためだそうだが、キムさんにとって日本のいいところはないのか。
「女の子は日本のほうがいいですね。優しいし言うこと聞くし、韓国女は怖いし反抗的です」
キムさんによれば、日本の女の子は韓国人男性に人気だという。日本のことが嫌いな親も、日本人の女性を嫁に連れて帰ると喜ぶというくらい価値があるそうだ。もちろんキムさんが言っているだけで、どれだけ本当かは知らないが。
「私も日本人女性と何人も付き合ってます。なんでもしてくれるし最高ですよ」
薄笑いでうなずくキムさん。なるほど、長身で細身のキムさんは確かにモテるだろう。片言の日本語も母性をくすぐるのかもしれない。何人もとっかえひっかえだそうで、文句タラタラながら日本を満喫しているようだ。キムさんの印象は、昔の生真面目な外国人留学生のイメージとは違う。まあ、今どきの韓国の男性なのだろう。
「日本では大学生でモテるしお金も入る。日本の韓国人の男って仕事と、金と、日本の女の子目当て、これは学歴ない私には韓国で難しいです」
■日本のコロナ対策で失望の念が増した
先にも述べたとおりキムさんの語彙力は低い。誤解されるような言い方に聞こえてしまうのは仕方がないだろう。変に自信家なのもお国柄か。それでも私は韓国人の普通の男子の本音が聞けてよかった。日本でよく聞くのはどうしても日韓友好だの、文化交流だのと上っ面の意見になる。外国人だって日本人と同様に欲望や邪心があるのは当たり前。外国人だから、ましてや韓国人だからと遠慮することはないと私は思う。だから日本人も言いたいことは言うべきだし、我慢する必要も変に気を使う必要はないだろう。それほどまでに日本社会に外国人、とくに外国人労働者や留学生は浸透している。
「コロナでは日本にイライラです。韓国は抑え込んだのに、日本は全然です。10万円もまだもらってません。遅いです。韓国は2週間でもらえました」
そう言われるとなんだか恥ずかしい気持ちになる。とくに新宿区はクラスター多発な上に給付金も遅れている。キムさんは、シェアハウスに住んでいるそうだが、他の外国人も多くは給付金をもらえていないそうだ。またコロナで母国に帰れず不機嫌な人もいるらしい。
■もはや日韓の政治問題は話題にも上らない
キムさんは休憩が終わるとコンビニに戻っていった。バックヤードでもっと話そうよと言われたが、仕事中にそれはさすがにまずいだろう。そんなことしたら怒られると言ったが日本人は怒んないから大丈夫と言っていた。日本人がオーナーなのか店長なのかはわからないが、この大胆なケンチャナヨ(大丈夫)精神はなかなか理解しづらい。
それでも私たちは彼らと付き合っていかなければならない。コロナ禍の東京で働く外国人留学生という体で話を聞いてみたが、それ以外の部分でいろいろと考えさせられた。予定どおりにうまくいかないのもルポの妙味と言うべきか。それにしても、これまでの韓国人留学生といえば「日本はあやまれ」とか歴史問題、政治問題を盾にあれこれ言うのが常だったが、キムさんはもちろん、最近の留学生からはそんな話はあまり聞かない。もうそんなことを言う必要がないほどに韓国は自信をつけたのか。もう日本はそこまで歯向かうような大国でなくなったということなのか。
■卑屈なインバウンド政策が結局分断を生んでいる
ともあれ、コロナによる世界変動は私たちの身近にも起こるだろう。インバウンド事業に固執した日本はコロナで外国人観光客を失い、回復のめども立たないまま倒産や人員整理にあえいでいる。国力の衰退は優秀な外国人労働者からもそっぽを向かれてしまうだろう。キムさんには申し訳ない言い方だが、かつて韓国からの留学生といえばキムさんの言うような「残念な韓国人」ではなく、優秀な国費留学生が多かった。私の学問の師である韓国人教授も1970年代に高麗大学校から同志社、そして東大で社会福祉学を学んだ人だった。近年の日本は韓国でしくじった若者の受け皿になってしまっている。外国人に対してなんてひどい言い方だと非難する人もいるだろうが、私はそういう意見には賛同できない。外国の方だから、ましてや韓国の方だからと特別扱いする必要はないし、日本にもうその余裕はないと思っている。日本人の若者と同様に、普通の若者として接するべきだし厳しいことも言うべきだ。それは嫌韓でも外国人差別でもない。むしろお互いの対等な姿勢である。
卑屈なインバウンド政策の失敗の果てに迎えたコロナ禍における在日外国人との共生は、日本人がへりくだり、おもてなしをしていればいい段階を終えている。むしろその日本人の外国人に対する卑屈さが軋轢(あつれき)を生んでいることを、一部リベラルは猛省すべきである。アメリカのような分断の不幸に陥らないために。
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日野 百草(ひの・ひゃくそう)
ノンフィクション作家/ルポライター
本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。近刊『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)。
韓国人留学生「日本人は日本が好きな外人を見つけて喜んでる」「学びが少ない」
7/23(木) 9:16配信 プレジデントオンライン
■夢のために我慢して嫌いな日本に来る
「私も本音のところ、日本は好きではありません。でも国と私は別問題、仕事と夢のために我慢です」
かつての韓国人留学生、ユンさん。韓国の準難関大学を卒業後、母国の専門学校を経て日本の大学へ。数年前から都内のIT系ベンチャーに勤めている。ユンさんには夢がある。そのために日本で我慢している。夢とは何だろう。
「アメリカの大学院に進むことです。世界的な企業はもちろんですが、韓国の財閥大手に入れれば最高ですね」
なるほど、ここでもアメリカだ。私が以前コロナ禍の新宿を取材中に知り合った韓国人留学生も成績が良ければアメリカに行くと言っていた。それかフランスやイギリスなどのヨーロッパ先進国、日本組は残念賞と。
「それに、韓国の財閥に入社すれば親も喜びます。一族の誇りです」
ユンさんによれば、親を喜ばすことは最高の孝行であり、それは何にも勝るという。ユンさんの親との信頼関係と育ちの良さがうかがえるが、韓国ではそれが普通だという。大手財閥企業に入りでもしたら一族郎党でお祝い、末代まで語り継がれるとは大げさなようで事実。憧れの韓国大財閥の求人はごくわずか、それもSKY(ソウル大、高麗大、延世大)をしのぐコネ組にも勝たなければならない。そのための留学、これもまた韓国のリアルだ。
■本当の「負け犬」は留学すらできない
「韓国にもそんな価値観はやめるべきだなんて人たちがいますけど、あきらめた人たちですね。あなたの記事には『負け犬』とありましたが、本当の負け犬は留学すらできずに安い給料のままです。とくに田舎は悲惨ですね」
韓国語で負け犬は「チジリ」だと教えられた。スラングらしいが、なんだか底辺大学や専門学校に留学する韓国人も高卒や就職浪人で国内にくすぶっている韓国人もみんなチジリ、若者は負け犬だらけに聞こえる。地域格差も日本のそれとは比べ物にならない。
「たぶんそのコンビニの彼は地方の高卒じゃないですか? だから一緒にしてほしくないですね。私はもっと上です。もっと上を目指します」
韓国人エリートやそれを自負する人たちのプライドの高さと上昇志向は日本人に受け入れ難いほどに強烈だ。2000年代、私が仕事で付き合った韓国の商社の若者は、反日デモについて「反日で暴れているのは学歴の低い人たちです」「一緒にしないでください」と同じようなことを流暢な日本語でまくし立てた。「あいつら(デモの団体)はヤクザ」とも言っていたがその真意はわからない。その人だけかと思ったが、意外と韓国人は口にする。それほどまでの学歴社会、エリート絶対主義だ。
■留学生に優しいのは韓国人が要求したわけじゃない
しかし不思議なのは、あまりよく思われていない日本に留学して大丈夫なのかということだ。経歴に傷はつかないのか。素朴な疑問を問いかけると、それは大丈夫なのだという。日本人にはよくわからない考え方だ。
「そうですか? 気持ちと現実を分けるのが韓国人です。日本人は一緒にするから子どもっぽいです」
また新宿で出会った留学生の彼と同じようなことを言う。彼は「幼稚」と言っていた。たった2人とはいえ、この韓国人留学生と元留学生の日本人に対する印象としての一致性は興味深い。結局のところ、エリートも非エリートも変わらないような気がする。
「留学生に優しいのは日本の方針ですし、私たちが要求したわけではないですから。」
文部科学省がコロナ真っただ中に発表した「外国人留学生在籍状況調査」によれば、2019年5月1日時点で韓国人留学生は1万8338人と、中国の12万4436人、ベトナムの7万3389人に比べれば決して多くはないが増えている。日本への就職に関してはそれ以上だ。
文科省は政府目標の「留学生受入れ30万人計画」を達成したと意気込むが、肝心の中身はどうなのか。
■オタク文化はそんなに受け入れられてない
韓国人にとってはもはや「踏み台」「残念賞」扱いの日本、選ばなければ大学に入れてしまう日本、よく考えれば誰でも大学に入れて学位を取得、卒業できてしまう国というのもすごい。そんな日本に、それまでの留学生とは違う、ある意味で「普通」のやんちゃな若者までが学歴と仕事、そしてキャリアを求めて日本にやってくる。他国の留学生は日本に興味があったり好きだったりだが、韓国人留学生の場合そうとは限らない現実。仕方なく来るという韓国人留学生とどう共生して行けばいいのか。私は最後に韓国人にも日本のアニメが好きなオタクがいるから、そういう人は親日で日本に来ているのではと尋ねた。
「大きな勘違いです。韓国でオタクは最底辺ですし、そもそも少ない。ジブリとかポケモンは韓国でも有名です。eスポーツが強いのも国家戦略です。そういうのは韓国ではオタクじゃない。日本独特の萌えアニメとか、そういうのが好きなのは特殊でパオフと呼ばれます。韓国では居場所のない連中です。それに連中も日本が好きと日本のアニメキャラが好きなのは別ですから。日本人はそういう人を見つけて喜ぶことが好きですね、テレビもそんなのばかり」
パオフとはスラングで日本なら「キモオタ」だろうか。確かに、日本の文化が好きで日本に来る外国人を扱った番組が人気だったりする。そこではたまに日本の深夜アニメや萌えキャラが好きな外国人が登場するが、それは韓国に限らず特殊も特殊な人である。別にそういう外国人を大切にすることは悪いことではないが、まるで日本のオタク文化が受け入れられていると考えるのは短絡に過ぎるし、日本でも大多数に受け入れられているかと言えば否だろう。私としては、昔に比べれば市民権を得たほうだとは思っているが。
「学ぶところは少ないけど、仕事はあるのが日本です。政治的な話は別にして私も日本で働いています。大人ですから。アメリカ留学の資金を貯めるまでの辛抱です」
■日本はもはや「踏み台」「残念賞」にすぎない
ユンさんとはその後、互いに仕事上の愚痴とコロナの話題をひとしきりして別れた。ユンさんもまたごく普通の青年、真面目で努力家、趣味より勉強と自己啓発といった少し前の韓国人留学生のイメージそのままであった。「こちらも遠慮なく聞くし書くけどいいですか? 」と断りを入れたが「そのほうがスッキリします」とのことだった。コロナ禍で鬱積したものもあるのだろう。
ユンさんは、日本は街中にハングルが溢れていて便利であること、日本人は親切で余計な波風は立てないこと、他国に比べれば韓国人にとって暮らしやすいことは認めていた。ユンさんに反日という印象はない、ただ日本を侮る意味での「侮日」ではあった。日本は踏み台にすぎなかった。
もう韓国人留学生を他の途上国の留学生と同じ扱いにすることは失礼なのかもしれない。とするなら、これからは当たり前の毅然(きぜん)とした対応と、言うべきことは言う姿勢が日本人に求められるのではないか。言い方は悪いが韓国の「下位層」までが就職難を背景に留学して来る現状で、「めざせ留学生30万人」という数値目標だけで満足している段階は終えている。対等な関係とは迎える側がへりくだることではない。日本に住む外国人というだけで弱者扱いする一部リベラルの姿勢こそむしろ差別的だ。外国人には優しく氷河期世代は自己責任、前者の若さのみが優先されている実態も、要らぬヘイトを生む要因となっている。
■「おもてなし」こそがアメリカのような分断を生む
また、定員割れの常態化した大学や短大、専門学校の存在も問題だ。日本人がほとんど入学しないために外国人で無理やり穴埋め、その結果ほぼ外国人留学生しかいない大学も存在する。試験すらない専門学校に至っては日本語のあやしい留学生ばかり。
「嫌いな国に来る留学生」という、韓国特有の留学事情と真っ向から対峙するには、この国はあまりにピュアで、その裏返しは彼らの言うとおりの「幼稚」なのかもしれない。ある意味、したたかで強い人たちだ。しかしこのコロナ禍、緊急事態の再宣言も取り沙汰される日本にそのような余裕はないし、お人好しも限界だ。
過度の特別扱いは「おもてなし」とは違う。分断とヘイトはこうした安易な受け入れ政策から生まれる。自民党の外国人労働者等特別委員会による外国人コンビニ店員の特定技能化と新たな在留資格の提言(2020年6月17日)もそうだが、留学生に対する若年労働力欲しさのあやまった「おもてなし」を続けるならば、政府の推し進める「留学生の移民化」は新たなレイシズムを生み、アメリカと同様の分断と悲劇の轍を踏むことになるだろう。
7/6(月) 9:16配信
■韓国ではエリート以外は全てダメ、だから日本に来る
「日本に来るのは頭の悪い韓国人です」
新宿、歌舞伎町の取材を続ける中、深夜のコンビニで出会ったのがキムさん(仮名)だった。韓国からの留学生で時給がいいのでコンビニの夜勤に入っているという。新宿に限らず、東京のコンビニ店員は外国人が多い。
「留学したいので、一番頭いいのがアメリカ行きます。次がヨーロッパ、そして頭の悪い韓国人が日本です。私は頭が悪いから、日本」
キムさんが自嘲する。韓国ではソウル大学や高麗、延世、梨花女子といった名門大学に入れなかった者は留学で箔(はく)をつける。日本より学歴社会で、留学にも積極的だ。キムさんは日本の某マイナー私大の大学生、よほど大学に詳しくなければ、誰も知らないような大学だ。
「韓国では一流大学に入れなかったらエリートにはなれません。あとは兵役で特殊部隊とか配属されると親が喜びます。スポーツ選手も成功したらエリートです。そうでないのは全部だめ」
断っておくが、キムさんの日本語力は私たちよりは当然劣る。語彙も不足しているので乱暴な言葉に聞こえてしまうかもしれないことは了承していただきたい。私たちだって海外でその国の言葉を話せば、話せるようになるほどに現地の人から嫌がられることがある。また今回はキムさんの言いたいこと、言っていることを曲解しないように気をつけながら、こんな感じだろうと私が補足している部分も多い。重ねて誤解なきようご容赦を。
■日本の大学に入るには日本語はいらない?
「だから日本は残念な韓国人の行くとこです。私がまさにそう」
つまり、韓国の若者にとって、アメリカやヨーロッパ(といっても多くが旧西側の先進国だろう)の残念賞が日本ということだ。そして韓国は超学歴社会、超エリート社会なので、成績上位者や特別な英雄(成功したスポーツ選手だったり、特別な軍人だったり)以外は価値がない。キムさんの言葉すべてには同意できないが、韓国という国にそういう面があるのは事実だ。キムさんは韓国の受験競争に敗北し、いろいろな事情があって日本に来たという。
「日本を選んだ理由は成績でここしか来れなかったから。日本の大学はどこでもいいなら誰でも入れます。学生ビザも取れるし、こうして働ける」
留学に至る試験形態はさまざまなのでおくが、日本留学試験(EJU)にせよ日本語能力試験(日能試)にせよ、大学によっては抜け道が用意されている。
日本の大学は選ばなければ日本語のあやしい外国人すら大学生になれる。無名大学の別科や研究生、専門学校に至っては学費さえ納めれば日本語が出来なくても受け入れる。実際、出稼ぎ目的の学生による集団失踪が問題になっている。これが中曽根内閣の留学生10万人計画から受け継がれてきた、日本の受け入れ政策の現実である。そして万年定員割れの無名大学は彼ら外国人で食いつないでいる。もちろん、日本にいる留学生全員がそうだとは言わないが――。
■韓国人にとって日本人男性は弱いし幼稚
「私は兵役も終わってます。いい経験でした。軍隊生活をした私からすれば、日本人男性は弱いし幼稚ですね」
本国で無職の期間もあり、兵役も終えているキムさんは、学生というには少し年齢が高い。日本人男性のどこがどう弱くて幼稚なのだろう。キムさんの言い方に引っかかるものがあったので問いただした。すると韓国語でまくしたてて笑ったあと、
「あなたも日本人、怒るのはあたりまえです。でも私は強いしコンビニでバカな日本人の泥棒を捕まえたこともあります。軍隊行った人には勝てないよ」
そう言って、私の肩を強く叩いた。韓国の人の親しみというか、近くなった証拠なのかもしれないが気分のよいものではない。まくしたてた韓国語の内容もわからないし、その時のキムさんの半笑いに決して良い印象は抱かなかった。キムさんは強がっているが、このコロナ禍の異国で相当ストレスがたまっているのだろう。そうでも思わないと私も気分が悪い。しかし、それならなぜ「残念」な日本に来たのか?
■来てみたら日本は大したことない
「仕事ですね、韓国は仕事がありません。仕事だけなら日本のほうがいっぱいある。韓国はバイトもない。放射能もコロナも怖い、でも日本は仕事だけはあるし、大学も簡単。大学出たら外国人の就職先もいっぱいある。日本の会社は韓国人を欲しがってます」
コロナ禍でかなり状況は変わったが、昨今の日本企業は積極的に留学生を採用してきた。少子化の穴埋めに若い人材を求める。本来は団塊ジュニア、氷河期世代の採用でも構わないはずだが、日本企業は年食った日本人より若い外国人の新卒者を望んでいる。
「日本はもっとすごい国だと思ってました。韓国人は日本が嫌いですが、日本のすごさは認めてました。でも来てみたら大したことない」
こんなふうに言われるのは心外だが、最近はこういう韓国の若者が増えたように感じる。私がオタクカルチャーの仕事をしていた90年代、韓国企業の若者は日本のアニメやゲームのすごさを語り、日本の出版社に提携や商品化のお願いに来たものだ。冷戦期、そもそも韓国のことなど日本人の多くは興味がなかった。相手にもしていなかったはずなのに。時代と世代が移る中、恨日から反日、そしていまは侮る意味の侮日となったということなのか。
■仕事、金、女、日本では全て手に入る
「コンビニは韓国にもありますが、時給は日本がいいです。日本のコンビニと韓国のコンビニに違いはないです。あ、韓国はコピー機がないです。それと日本は挨拶にうるさいですね、韓国のコンビニは挨拶ないです」
コンビニの内容は日本と韓国に違いがないことは私も知っている。違いはサービスくらいか。韓国のコンビニは箸やスプーンを入れてくれないし、キムさんの言うとおり挨拶なんかまずしない。あと立ちっぱなしもない。客の前で椅子に座りながらスマホをいじっていることも。
「ほんとはコンビニなんか働きたくないですが仕方ないですね」
生活費のためには仕方がない。ただ学費はご両親が出してくれたそうで、それなりの家庭環境ではあるのだろう。日本に来たのは、仕事と金のためだそうだが、キムさんにとって日本のいいところはないのか。
「女の子は日本のほうがいいですね。優しいし言うこと聞くし、韓国女は怖いし反抗的です」
キムさんによれば、日本の女の子は韓国人男性に人気だという。日本のことが嫌いな親も、日本人の女性を嫁に連れて帰ると喜ぶというくらい価値があるそうだ。もちろんキムさんが言っているだけで、どれだけ本当かは知らないが。
「私も日本人女性と何人も付き合ってます。なんでもしてくれるし最高ですよ」
薄笑いでうなずくキムさん。なるほど、長身で細身のキムさんは確かにモテるだろう。片言の日本語も母性をくすぐるのかもしれない。何人もとっかえひっかえだそうで、文句タラタラながら日本を満喫しているようだ。キムさんの印象は、昔の生真面目な外国人留学生のイメージとは違う。まあ、今どきの韓国の男性なのだろう。
「日本では大学生でモテるしお金も入る。日本の韓国人の男って仕事と、金と、日本の女の子目当て、これは学歴ない私には韓国で難しいです」
■日本のコロナ対策で失望の念が増した
先にも述べたとおりキムさんの語彙力は低い。誤解されるような言い方に聞こえてしまうのは仕方がないだろう。変に自信家なのもお国柄か。それでも私は韓国人の普通の男子の本音が聞けてよかった。日本でよく聞くのはどうしても日韓友好だの、文化交流だのと上っ面の意見になる。外国人だって日本人と同様に欲望や邪心があるのは当たり前。外国人だから、ましてや韓国人だからと遠慮することはないと私は思う。だから日本人も言いたいことは言うべきだし、我慢する必要も変に気を使う必要はないだろう。それほどまでに日本社会に外国人、とくに外国人労働者や留学生は浸透している。
「コロナでは日本にイライラです。韓国は抑え込んだのに、日本は全然です。10万円もまだもらってません。遅いです。韓国は2週間でもらえました」
そう言われるとなんだか恥ずかしい気持ちになる。とくに新宿区はクラスター多発な上に給付金も遅れている。キムさんは、シェアハウスに住んでいるそうだが、他の外国人も多くは給付金をもらえていないそうだ。またコロナで母国に帰れず不機嫌な人もいるらしい。
■もはや日韓の政治問題は話題にも上らない
キムさんは休憩が終わるとコンビニに戻っていった。バックヤードでもっと話そうよと言われたが、仕事中にそれはさすがにまずいだろう。そんなことしたら怒られると言ったが日本人は怒んないから大丈夫と言っていた。日本人がオーナーなのか店長なのかはわからないが、この大胆なケンチャナヨ(大丈夫)精神はなかなか理解しづらい。
それでも私たちは彼らと付き合っていかなければならない。コロナ禍の東京で働く外国人留学生という体で話を聞いてみたが、それ以外の部分でいろいろと考えさせられた。予定どおりにうまくいかないのもルポの妙味と言うべきか。それにしても、これまでの韓国人留学生といえば「日本はあやまれ」とか歴史問題、政治問題を盾にあれこれ言うのが常だったが、キムさんはもちろん、最近の留学生からはそんな話はあまり聞かない。もうそんなことを言う必要がないほどに韓国は自信をつけたのか。もう日本はそこまで歯向かうような大国でなくなったということなのか。
■卑屈なインバウンド政策が結局分断を生んでいる
ともあれ、コロナによる世界変動は私たちの身近にも起こるだろう。インバウンド事業に固執した日本はコロナで外国人観光客を失い、回復のめども立たないまま倒産や人員整理にあえいでいる。国力の衰退は優秀な外国人労働者からもそっぽを向かれてしまうだろう。キムさんには申し訳ない言い方だが、かつて韓国からの留学生といえばキムさんの言うような「残念な韓国人」ではなく、優秀な国費留学生が多かった。私の学問の師である韓国人教授も1970年代に高麗大学校から同志社、そして東大で社会福祉学を学んだ人だった。近年の日本は韓国でしくじった若者の受け皿になってしまっている。外国人に対してなんてひどい言い方だと非難する人もいるだろうが、私はそういう意見には賛同できない。外国の方だから、ましてや韓国の方だからと特別扱いする必要はないし、日本にもうその余裕はないと思っている。日本人の若者と同様に、普通の若者として接するべきだし厳しいことも言うべきだ。それは嫌韓でも外国人差別でもない。むしろお互いの対等な姿勢である。
卑屈なインバウンド政策の失敗の果てに迎えたコロナ禍における在日外国人との共生は、日本人がへりくだり、おもてなしをしていればいい段階を終えている。むしろその日本人の外国人に対する卑屈さが軋轢(あつれき)を生んでいることを、一部リベラルは猛省すべきである。アメリカのような分断の不幸に陥らないために。
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日野 百草(ひの・ひゃくそう)
ノンフィクション作家/ルポライター
本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。近刊『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)。
韓国人留学生「日本人は日本が好きな外人を見つけて喜んでる」「学びが少ない」
7/23(木) 9:16配信 プレジデントオンライン
■夢のために我慢して嫌いな日本に来る
「私も本音のところ、日本は好きではありません。でも国と私は別問題、仕事と夢のために我慢です」
かつての韓国人留学生、ユンさん。韓国の準難関大学を卒業後、母国の専門学校を経て日本の大学へ。数年前から都内のIT系ベンチャーに勤めている。ユンさんには夢がある。そのために日本で我慢している。夢とは何だろう。
「アメリカの大学院に進むことです。世界的な企業はもちろんですが、韓国の財閥大手に入れれば最高ですね」
なるほど、ここでもアメリカだ。私が以前コロナ禍の新宿を取材中に知り合った韓国人留学生も成績が良ければアメリカに行くと言っていた。それかフランスやイギリスなどのヨーロッパ先進国、日本組は残念賞と。
「それに、韓国の財閥に入社すれば親も喜びます。一族の誇りです」
ユンさんによれば、親を喜ばすことは最高の孝行であり、それは何にも勝るという。ユンさんの親との信頼関係と育ちの良さがうかがえるが、韓国ではそれが普通だという。大手財閥企業に入りでもしたら一族郎党でお祝い、末代まで語り継がれるとは大げさなようで事実。憧れの韓国大財閥の求人はごくわずか、それもSKY(ソウル大、高麗大、延世大)をしのぐコネ組にも勝たなければならない。そのための留学、これもまた韓国のリアルだ。
■本当の「負け犬」は留学すらできない
「韓国にもそんな価値観はやめるべきだなんて人たちがいますけど、あきらめた人たちですね。あなたの記事には『負け犬』とありましたが、本当の負け犬は留学すらできずに安い給料のままです。とくに田舎は悲惨ですね」
韓国語で負け犬は「チジリ」だと教えられた。スラングらしいが、なんだか底辺大学や専門学校に留学する韓国人も高卒や就職浪人で国内にくすぶっている韓国人もみんなチジリ、若者は負け犬だらけに聞こえる。地域格差も日本のそれとは比べ物にならない。
「たぶんそのコンビニの彼は地方の高卒じゃないですか? だから一緒にしてほしくないですね。私はもっと上です。もっと上を目指します」
韓国人エリートやそれを自負する人たちのプライドの高さと上昇志向は日本人に受け入れ難いほどに強烈だ。2000年代、私が仕事で付き合った韓国の商社の若者は、反日デモについて「反日で暴れているのは学歴の低い人たちです」「一緒にしないでください」と同じようなことを流暢な日本語でまくし立てた。「あいつら(デモの団体)はヤクザ」とも言っていたがその真意はわからない。その人だけかと思ったが、意外と韓国人は口にする。それほどまでの学歴社会、エリート絶対主義だ。
■留学生に優しいのは韓国人が要求したわけじゃない
しかし不思議なのは、あまりよく思われていない日本に留学して大丈夫なのかということだ。経歴に傷はつかないのか。素朴な疑問を問いかけると、それは大丈夫なのだという。日本人にはよくわからない考え方だ。
「そうですか? 気持ちと現実を分けるのが韓国人です。日本人は一緒にするから子どもっぽいです」
また新宿で出会った留学生の彼と同じようなことを言う。彼は「幼稚」と言っていた。たった2人とはいえ、この韓国人留学生と元留学生の日本人に対する印象としての一致性は興味深い。結局のところ、エリートも非エリートも変わらないような気がする。
「留学生に優しいのは日本の方針ですし、私たちが要求したわけではないですから。」
文部科学省がコロナ真っただ中に発表した「外国人留学生在籍状況調査」によれば、2019年5月1日時点で韓国人留学生は1万8338人と、中国の12万4436人、ベトナムの7万3389人に比べれば決して多くはないが増えている。日本への就職に関してはそれ以上だ。
文科省は政府目標の「留学生受入れ30万人計画」を達成したと意気込むが、肝心の中身はどうなのか。
■オタク文化はそんなに受け入れられてない
韓国人にとってはもはや「踏み台」「残念賞」扱いの日本、選ばなければ大学に入れてしまう日本、よく考えれば誰でも大学に入れて学位を取得、卒業できてしまう国というのもすごい。そんな日本に、それまでの留学生とは違う、ある意味で「普通」のやんちゃな若者までが学歴と仕事、そしてキャリアを求めて日本にやってくる。他国の留学生は日本に興味があったり好きだったりだが、韓国人留学生の場合そうとは限らない現実。仕方なく来るという韓国人留学生とどう共生して行けばいいのか。私は最後に韓国人にも日本のアニメが好きなオタクがいるから、そういう人は親日で日本に来ているのではと尋ねた。
「大きな勘違いです。韓国でオタクは最底辺ですし、そもそも少ない。ジブリとかポケモンは韓国でも有名です。eスポーツが強いのも国家戦略です。そういうのは韓国ではオタクじゃない。日本独特の萌えアニメとか、そういうのが好きなのは特殊でパオフと呼ばれます。韓国では居場所のない連中です。それに連中も日本が好きと日本のアニメキャラが好きなのは別ですから。日本人はそういう人を見つけて喜ぶことが好きですね、テレビもそんなのばかり」
パオフとはスラングで日本なら「キモオタ」だろうか。確かに、日本の文化が好きで日本に来る外国人を扱った番組が人気だったりする。そこではたまに日本の深夜アニメや萌えキャラが好きな外国人が登場するが、それは韓国に限らず特殊も特殊な人である。別にそういう外国人を大切にすることは悪いことではないが、まるで日本のオタク文化が受け入れられていると考えるのは短絡に過ぎるし、日本でも大多数に受け入れられているかと言えば否だろう。私としては、昔に比べれば市民権を得たほうだとは思っているが。
「学ぶところは少ないけど、仕事はあるのが日本です。政治的な話は別にして私も日本で働いています。大人ですから。アメリカ留学の資金を貯めるまでの辛抱です」
■日本はもはや「踏み台」「残念賞」にすぎない
ユンさんとはその後、互いに仕事上の愚痴とコロナの話題をひとしきりして別れた。ユンさんもまたごく普通の青年、真面目で努力家、趣味より勉強と自己啓発といった少し前の韓国人留学生のイメージそのままであった。「こちらも遠慮なく聞くし書くけどいいですか? 」と断りを入れたが「そのほうがスッキリします」とのことだった。コロナ禍で鬱積したものもあるのだろう。
ユンさんは、日本は街中にハングルが溢れていて便利であること、日本人は親切で余計な波風は立てないこと、他国に比べれば韓国人にとって暮らしやすいことは認めていた。ユンさんに反日という印象はない、ただ日本を侮る意味での「侮日」ではあった。日本は踏み台にすぎなかった。
もう韓国人留学生を他の途上国の留学生と同じ扱いにすることは失礼なのかもしれない。とするなら、これからは当たり前の毅然(きぜん)とした対応と、言うべきことは言う姿勢が日本人に求められるのではないか。言い方は悪いが韓国の「下位層」までが就職難を背景に留学して来る現状で、「めざせ留学生30万人」という数値目標だけで満足している段階は終えている。対等な関係とは迎える側がへりくだることではない。日本に住む外国人というだけで弱者扱いする一部リベラルの姿勢こそむしろ差別的だ。外国人には優しく氷河期世代は自己責任、前者の若さのみが優先されている実態も、要らぬヘイトを生む要因となっている。
■「おもてなし」こそがアメリカのような分断を生む
また、定員割れの常態化した大学や短大、専門学校の存在も問題だ。日本人がほとんど入学しないために外国人で無理やり穴埋め、その結果ほぼ外国人留学生しかいない大学も存在する。試験すらない専門学校に至っては日本語のあやしい留学生ばかり。
「嫌いな国に来る留学生」という、韓国特有の留学事情と真っ向から対峙するには、この国はあまりにピュアで、その裏返しは彼らの言うとおりの「幼稚」なのかもしれない。ある意味、したたかで強い人たちだ。しかしこのコロナ禍、緊急事態の再宣言も取り沙汰される日本にそのような余裕はないし、お人好しも限界だ。
過度の特別扱いは「おもてなし」とは違う。分断とヘイトはこうした安易な受け入れ政策から生まれる。自民党の外国人労働者等特別委員会による外国人コンビニ店員の特定技能化と新たな在留資格の提言(2020年6月17日)もそうだが、留学生に対する若年労働力欲しさのあやまった「おもてなし」を続けるならば、政府の推し進める「留学生の移民化」は新たなレイシズムを生み、アメリカと同様の分断と悲劇の轍を踏むことになるだろう。
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