… 霊的

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夏に

2008年06月13日 17時26分14秒 | ノート note
 泥のように眠った。目覚めの後で、朦朧とした意識の中さまざまな出来事の想念が自動記述のように湧き起こる。
 ああ、夏がやってきたんだ。人間は時をも数値化したので、生きている意識が季節の巡る回数を数えて、わたしは今年五十歳の夏を迎える。夏に産まれたわたしは夏が好きだ。

 デジタルな情報のやり取りの中で文字は、言葉は、記号の閾値を超えた。

 そこに人の心を、魂を埋め込む。それは可能なことだろうか。愛すべき「りさ」はデジタルシステムから追放された。システムから零れ落ちる砂は、砂時計のように堆積する。その幾何学模様。

 冬に狂気をはぐくむ者は放逐される。夏に踊る者は称賛される。わたしの生は歓待される。

 妻は老いを知らない。「わたし思い残すことはないから」とつぶやく妻の眼。その深い海底の静けさの中に消えていく灯り。眼数も計測されて、その方程式の解はデジタルに歪んでいる。雨が降るなら数えることができるくらいの大粒の雨がいい。

 地上の水気がすべて蒸散しきったような砂漠の夏に。夜輝く星々は、小さな少年の目に影を落とした。大きくなったら測量士になりたい。ピラミッドは正確に宇宙の計測によって極点を知らせた。

 昔見たテレビのアニメ番組さ。砂漠と宇宙船は同時にelectric guitarの上を滑ったんだ。ああ、生まれたばかりの目に宇宙線は有害だ。

 モウいい加減にしよう。五十歳になるんだ。あすはとびっきりの写真を撮りに行くんだ......。







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