青空のCafétime

唇にうたを。心に青空を。気まぐれに開店中♫

雨の匂い。恋の色。

2018-11-08 16:16:10 | Poem


“女は黒と白以外のすべての色を考えつく”
ココ・シャネル


雨の匂いがする。

雨が降る前の、水の匂い。

そう彼に言うと、そんな匂いはしないけど、きみの気のせいじゃないかと、いつも訝しげな顔をした。

でも大気に水の匂いが混じると必ず雨になった。


雨の匂いは、不思議なことに男性は気づかないようだ。

男という生き物は、社会生活を送る上でどうでもいいことは気づかないようにできているらしい。

男はいろいろなことに気づかない。自分の身の回りのことや、女の気持ちも。


色。

女には見えるのに男には見えない色がある。色の識別能力が違うそうだ。


空の青。

海の青。

憂鬱のブルー。


わたしの青とあなたの青は違うんだね。

孤独のブルーはあなたには見えない。








ツリバナ

2018-11-08 06:17:43 | Diary



実家の庭先にツリバナの木がある。根元から細い幹が何本も立ち上がっているのは株立ちというそうだ。

スッと伸びたしなやかな風情の幹と枝。嫋やかな葉。秋以外の季節は取り立てて特徴のない落葉樹なのだが、今の季節は重たげにしならせたその細い枝先に変わった形の赤い実をつける。

弾けた実から橙色の種がいくつかぶら下がり、その風情から呼ばれた名がツリバナ。冬になるとよく見かけるピラカンサのようにたわわに実が成ることはなく、薄緑の葉の間にまばらに赤い実を散らした佇まいは和を感じさせる。

前に出ることなく、しかし人の目に留まる存在。

秋の赤。

風に揺れる赤。


ぱっくり割れた実の先端にぶら下がった種は鳥が好むらしく、秋が深くなる前には消えてしまう。

ツリバナの花言葉は、片思い。



秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを

小野小町