この間のブログ「インド映画ニュース混載号」に味を占めて、またまた様々な情報の相乗り回をお送りします。
その1:『花嫁はどこへ?』米アカデミー賞国際長編映画賞のインド代表に選出される
昨日、『花嫁はどこへ?』が来春開催される第97回アカデミー賞の国際長編映画賞部門インド代表に選出された、というニュースが伝わってきました。おめでとうございます! キラン・ラオ監督はとても喜んでいるらしく、彼女と親しい私の友人からは、「昨日、突然、キランのメッセージが飛んできて、『日本公開うれしーーい! オスカー代表になれてうれしいいーー』と早口で叫んでました」という連絡が。アカデミー賞の部門最終選考の5本に、ぜひ入ってほしいですね。配給会社松竹からは、キラン・ラオ監督の顔写真と、喜びのメッセージが届いています。
© Aamir Khan Films LLP 2024
私たちの映画『花嫁はどこへ?』が、アカデミー賞(国際長編映画部門)のインド代表に選ばれ、大変光栄に思うと同時にこの上ない喜びです。
この評価は、私たちチーム全員のたゆまぬ努力の証であり、皆の献身と情熱がこの物語に命を吹き込んだのです。
映画は常に心と心を繋ぎ、垣根を超え、意味ある対話を作り出す強力な媒体です。インドでそうであったように、この映画が世界中の観客の心に響くことを願っています。
選考委員の皆さんとこの映画を信じてくれた方々全員に心からの感謝を表します。特に今年の素晴らしいインド映画の中から選ばれたことは本当に光栄で、どの映画も同じようにこの栄誉に相応しい作品です。
アーミル・カーン・プロダクションとジオ・スタジオに、この映画のヴィジョンへの揺るぎない支援と信頼に深く感謝します。
この物語を伝えるという私の信念を共有してくれた、情熱的で才能豊かなプロフェッショナルなチームと一緒に仕事ができたことは光栄でした。
また、キャストとスタッフ全員にも心よりの感謝を捧げます。彼らの大いなる才能と献身、努力がなければこの映画は実現しませんでした。皆さんとの旅は、信じられないほどの協力と成長の賜物でした。
そして観客の方々、皆さんの愛と支援は私たちにとって大きな意味を持っています。皆さんがこの映画を信じてくださったことが、我々フィルムメーカーのさらなる創造力の限界への挑戦へと導いてくれます。
あらためてこの身に余る栄誉に厚くお礼申し上げます。私たちは熱意を持って本作とさらなる旅を続けられることを楽しみにしています。
キラン・ラオ
『花嫁はどこへ?』 公式サイト
2024年/インド/ヒンディー語/124分/原題:Laapataa Ladies/字幕:福永詩乃
監督・プロデューサー:キラン・ラオ
出演:ニターンシー・ゴーエル、プラディバー・ランター、スパルシュ・シュリーワースタウ、ラヴィ・キシャン、チャヤ・カダム
配給:松竹
※10月4日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネリーブル池袋ほか全国公開
【続いて『花嫁はどこへ?』つながりで....】
『花嫁はどこへ?』には、ほぼ新人と言っていい初々しい3人の俳優――ニターンシー・ゴーエル(行方不明となった花嫁)、プラディバー・ランター(間違えて村に連れてこられた花嫁)、スパルシュ・シュリーワースタウ(間違った花嫁を連れてきてしまった花婿)のほかに、ベテランの脇役俳優がいろいろ出演しています。中でも光るのが、花婿からの訴えで花嫁を探すことになった町の警察署長(ラヴィ・キシャン)と、行方不明というか、列車で知らない駅に運ばれてしまった”行方不明”の花嫁の面倒を見るマンジュおばさん(チャヤ・カダム)のお二人。マンジュおばさんは駅のプラットフォームに小さなスタンドを構え、チャイと軽食、スパーリー(口中清涼剤)などを売っている、一見無愛想で恐いけれど、心根はとってもやさしいおばさんです。演じているチャヤ・カダムは元々マラーティー語映画の俳優で、ヒンディー語映画や最近はマラヤーラム語映画にも出ている、という人なんですが、この5月のカンヌ国際映画祭では、グランプリ(パルムドールに次ぐ賞)を受賞した『All We Imagine as Light』の出演者としてカンヌに行き、世界に顔を知られることになりました。本日のインドの報道によると、チャヤ・カダムは「『All We Imagine as Light』がオスカーのインド代表に選ばれなくて残念」と言っているそうなんですが、まあ、ぜいたくな悩みですね。下写真、右がチャヤ・カダムです。
© Aamir Khan Films LLP 2024
で、この『All We Imagine as Light』の監督は女性監督のパヤル・カパーリヤーなんですが、彼女のドキュメンタリー映画が上映されます。
その2:パヤル・カパーリヤー監督作『何も知らない夜』とノウシーン・ハーン監督作『我が理想の国』上映@<ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2024>
◎YIDFF2023ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)受賞作
『何も知らない夜』 YIDFFサイト
2021年/インド、フランス/ヒンディー語、ベンガル語/モノクロ/100分/原題:A Night of Knowing Nothing
監督、脚本:パヤル・カパーリヤー
脚本:ヒマーンシュ・プラジャーパティ
ナレーション:ブーミスター・ダース
製作:トマス・ハキム、ジュリアン・グラフ、ランビール・ダース
配給:Square Eyes
<上映>10月19日(土)10:00~ @新宿K‘s cinema
11月1日(金)12:00~ @新宿K‘s cinema
11月20日(水)17:30~ @アテネフランセ文化センター
『我が理想の国』 YIDFFサイト
インド/2023年/ヒンディー語、英語/カラー/74分/原題:Land of My Dreams
監督、撮影、編集:ノウシーン・ハーン
提供:ノウシーン・ハーン
<上映>11月3日(日)16:30~ @新宿K‘s cinema’
詳しくは、 <ドキュメンタリー・ドリーム・ショー――山形in東京2024>公式サイトをどうぞ。また、ノウシーン・ハーン監督については、こちらに本年2月末デリーで会った時のインタビューがあります。ドキュメンタリー映画ですが、ぜひ見ていただきたい2作品、お時間を作ってお運び下さい。
【続いてドキュメンタリー映画つながりで....】
その3:ドキュメンタリー映画『パルバティ・バウル 黄金の河を渡って』11月15日(金)よりロードショー
友人の映像作家阿部櫻子さんが撮ったドキュメンタリー映画『パルバティ・バウル 黄金の河を渡って』が、11月15日(金)よりUPLINK吉祥寺にてロードショー公開されます。映画の内容、「バウルってなに?」等の解説、上映の詳細やトークショーのご案内等は、UPLINK吉祥寺のこちらのサイトをご覧下さい。阿部櫻子さんは、以前「インド櫻子ひとり旅:芸術の大地」(木犀社、2009)という本も出している、面白い映像作家です。バウルの音楽や生き方が好きな方はもちろん、インドの大衆音楽、宗教音楽、思想等に関心をお持ちの方は、ぜひご覧下さい。最後に予告編を付けておきます。
『パルバティ・バウル 黄金の河を渡って』予告編