シンガポールで見た北京語版に加え、広東語版も見なくっちゃ、と『捉妖記』をまた見に行きました。場所は、鑽石山(ダイヤモンド・ヒル)にある荷裡活廣場(ハリウッド・プラザ)のシネコン百老匯(ブロードウェイ)です。本当は3D版を見たかったのですが、もうどこもやっていず、同じ2Dなら料金が50香港ドル(800円)と安いここに決めました。
香港の映画料金はついに3D上映は100香港ドル(1600円)となり、普通の上映も85香港ドル(1360円)と日本に近くなっています。朝一の上映だけは10香港ドルぐらい安くなるのですが、気軽に何本かハシゴ、という料金ではなくなってきました。でも、ネットで劇場をいろいろ捜すと、今回みたいに同じ映画でも安い料金で見せてくれるシネコンがあり、800円で見られるならまあまあ、というところです。
ブロードウェイはシネコンチェーンで、ここのブロードウェイには以前にも何度か来たことがあります。確か3階だったよな、と思い、案内所の中年の女性に「戯院係唔係[口係]三楼呀?」と訊ねたら、「戯院? 電影院呀?」と聞き直されてしまいました。「戯院(ヘイユン)」なんて、案内板とかに書いてはあるけど、今じゃ誰も使わないのかも。今度から、「電影院(ティンインユン)」と言うことにしましょう。
今回2、3年ぶりに来たら、嬉しいことにブロードウェイの隣には三聯書店が出現しているではありませんか。文化度が一挙にアップしましたね、ハリウッド・プラザ。実はここ一帯は陳果(フルーツ・チャン)監督の『ハリウッド★ホンコン』(2001)の舞台にもなったところで、あの映画を見てすぐ来てみた時には、まだ大[石勘]村のバラックの一部が残っていたのでした。あの映画の中で周迅(ジョウ・シュン)が窓から叫んでいた高層マンションは、このショッピングモールの背後にそびえています。ショッピングモールはマンション群の一部となっているので、ここへ来るたびにあの作品を思い出す、というわけなのでした。
さて、『捉妖記』、さすが香港ですね、大きなパネルがでん!と置いてありました。屏風方式になっているので、写真写りがちょっと悪いですが、うちに持って帰って飾りたいぐらい素敵なパネルです。実は右側で切れているのは、特別出演の湯唯(タン・ウェイ)の写真。麻雀狂の妖買い取り屋女主人、という設定で、すっとぼけた演技を見せてくれます。彼女が抱いているのが前にも書いた妖の王子で、名前は胡巴(ウーバー)と言います。生まれた時には白百何扮する妖怪ハンター小嵐に、「あれま、大根が生まれたわ」と言われてしまうこの子ですが、表情が豊かで見飽きません。広東語の方がさらにコメディ向きで、とっても楽しかったです。
それにしても7月16日の公開ですから、もう1ヶ月以上ロングラン。この日も親子連れなどで数十名の観客がいて、子供たちの笑い声が響いていました。今のところ2015年の興収トップになっているほか、何でも中国映画としては、『ロスト・イン・タイランド』(2012)を抜いて歴代興収第一位になったとのことです。確かに、何度でも見たくなる面白さではあります。日本でも公開してほしいのですが、使用言語の中に「妖語」が出てくるので、あそこの字幕をどうするのかが見ものですね。<妖語:この子をお願い>とかにするのかしらん?
今回は、『捉妖記』のMVを付けておきます。
[電影MV]《捉妖記》--愛底線(張繼聰)
ところでもう1本、ついでと言っては何ですが、見た作品があります。上の『巴黎假期(パリの休日)』で、監督は脚本家としても知られている阮世生(ジェームズ・ユエン)。主演は古天樂(ルイス・クー)と郭采潔(アンバー・クオ)で、脇も方中信(アレックス・フォン)とか陳友(アンソニー・チェン)とかしっかりした人が出ているのですが、ふわふわした恋物語でいまひとつでした。仕事でパリにやってきた林俊傑(ルイス・クー)が、部屋を頼んでいた友人(アレックス・フォン)に連れられてやってきたのは、古いアパルトマンの最上階。実は前の住人だったカップルが別れてしまい、捨てられた女性の方がまだ居座っているのだとか。結局俊傑はゲイだということにして、その画家のタマゴの女性丁暁敏(アーバン・クオ)と同居を始めますが....。
ルイスの、家事もよくできる男、というキャラは好もしいのですが、アーバンの方のステレオタイプな美術専攻学生くずれ、というキャラが古くさくて、うんざりします。中国のバブル映画という感じですねー。中国映画界も、お金があるんだからもっといい作品を作ってほしいですし、お金を出してもらって作る香港の監督も、もっとがんばらなくちゃダメじゃん! 一応、予告編を付けておきます。
《巴黎假期》PARIS H0LIDAY -HK預告片