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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

12月は『パッドマン』の月!

2018-12-01 | インド映画

いよいよ師走、12月になりました。『バーフバリ 王の凱旋』の大ヒットから始まった2018年を締めくくる作品はこれ、『パッドマン 5億人の女性を救った男』です。本日、劇場用パンフレットが出来上がり、執筆をしたことから送っていただいたものが到着しました。こんなかわいい色合いで、かつ小ぶりなA5判横置きのパンフレットです。カメラ撮りしたので、色がちょっと暗くてすみません。実物は、ひよこみたいなきれいな黄色の地に、グリコの人ならぬパッドマンの明るい笑顔が躍っています。


中はカラーのスチールが豊富に使ってあり、映画をご覧になったあとでパンフを開けば、それぞれのシーンが活き活きと蘇るはず。実は、劇中にないオフショットもあって、そういうシーンを見つける楽しみもあります。美麗スチールに挟まれた中身は、主人公のパッドマン、ラクシュミカント(正確に音引きを付けるとラクシュミーカーントで、名前の意味はラクシュミー+カーント(夫、主人)、つまりラクシュミー女神の夫であるヴィシュヌ神のことです。2つの単語からなるので、前半だけのラクシュミ(ー)が愛称になります。ラクシュミは女性の名前なのに、と疑問に思っていた方、これで疑問は解消したでしょうか)を演じたアクシャイ・クマールと、彼のビジネスパートナーとなり、やがて愛情が芽生える都会の女性パリーに扮したソーナム・カプールのインタビューのほか、R.バールキ監督のインタビューも掲載されています。ちょうど、3人のオフショットがありましたので、付けておきましょう。バールキ監督、いつもメガネ姿、特にサングラス姿が多いのに、珍しく素顔ですね。


実はバールキ監督インタビューは、『マダム・イン・ニューヨーク』を配給したビオスコープ社の方に監督のメールアドレスを教えてもらい、メールで質問を送って答えていただいたものです(ビオスコープ社のO様、お世話になりましてありがとうございました)。バールキ監督は『マダム・イン・ニューヨーク』のプロデューサーであり、『マダム~』のガウリ・シンデー監督の旦那様で、こちらの記事にも書いたように、すでにガウリ・シンデー監督と共に来日済み。今回は来日が予定されていなかったので、メール・インタビューとなったのですが、それは丁寧に答えて下さって、感謝しています。


ほかに内容は、高倉嘉男さんによる長文の解説「インドのナプキン革命と『パッドマン』」で本作のモデルとなったアルナーチャラム・ムルガナンダム氏(上写真)が詳しく紹介されているほか、「現代インド事情」では地理・経済・宗教など、インドの様々な側面が取り上げてあります。後者は私がまとめたので、専門外のトピックスは執筆に四苦八苦しました。このパンフレットの編集担当者の方だけでなく、映画の宣伝担当の方も言っておられたのですが、劇中に出てくる「ナプキン55ルピー」がどうもピンとこない、ということから、すべては始まったのです。ラクシュミは新婚の妻ガヤトリ(正確に音引きを付けるとガーヤトリー。演じているのはラーディカー・アープテー)が生理の時に清潔とは言えない布で始末しているのを見てしまい、薬局でナプキンを買ってきてやるのですが、ガヤトリから「55ルピーもするの? 高すぎるわ、返してきて」と言われてしまいます。そこから手作りナプキンへと突っ走るラクシュミの行動が始まるので、この「55ルピー」がピンと来ないと観客は映画の内容に共感できないわけですね。


というわけで、チラシにもインドの地図の上に物価が書かれたものが使われていましたが、パンフレットでもその図を使いつつ、「55ルピーは、当時のインドの物価水準から考えると現在の日本では1,460円」という計算をはじき出して、説明しています。今の日本で「ナプキン1袋1,460円」と言われたら、「ウソーッ!」ですよね。ま、それぐらいの感覚と思って、映画をご覧下さい。


ほかにも、「インド映画完全ガイド」でお馴染みの夏目深雪さんの映画評や、本作のクライマックスであるラクシュミの国連演説も採録されています。この英語、ものすごいピジン英語で、文法などまるで無視、生徒の英作文だと思って赤を入れようものなら真っ赤っかになってしまう、という代物です。でも、ラクシュミに扮するアクシャイ・クマールがしゃべると、意味がとてもよくわかるだけでなく、感動が押し寄せてくるんですねえ。これはもう、映画を見て体験していただくしかありません。


あと1週間で、パッドマンが飛んできます。上写真はラクシュミ一家の皆さんで、前列が主人公ラクシュミ、後列左からラクシュミの一番下の妹、すでに嫁いでいるラクシュミのすぐ下の妹、ラクシュミの妻ガヤトリ、ラクシュミの母、そして、ラクシュミの二番目の妹です。皆さん、「パッドマン・チャレンジ」のポーズですね。「パッドマン・チャレンジ」というのは、インドでの本作の公開日2月9日に合わせて提唱された運動で、「ナプキンを持った写真をアップしよう」ということから、アーミル・カーン夫妻やつい先日ランヴィール・シンと結婚したディーピカー・パードゥコーン、アーリアー・バットら多数の映画人も「ナプキン写真」をアップしました。ナプキンがこんな風にあからさまに登場するのは前代未聞では、と思います。


日本でも、「生理ちゃん」(マンガ「ツキイチ!生理ちゃん」のキャラ)とのコラボとか、次々と宣伝が繰り広げられています。詳しくは『パッドマン』公式ツイッターを見ていただきたく思いますが、アクシャイ・クマールと生理ちゃんのツーショットマンガとか、素敵な宣伝が見られます。それよりも前、10月には町山智浩さんのラジオでのご紹介が話題になり、文字化された記事もアップされていて拍手パチパチしたものの、その中にちょっと誤解が。町山さんの映画のストーリー紹介の中で、「ベランダに檻があって、そこに入れられるんですよ」というのは、町山さんの見間違いというか、大いなる誤解です。インドでは、生理をいまだに”穢れ”と捉える人が結構いて、生理期間中は家の中=居住空間に”穢れ”を持ち込まないようにするため、その期間中の女性は部屋以外の場所、廊下とかベランダとかで過ごします。その場合、外と接している廊下やベランダは、泥棒よけのための金属の格子や金網が付けられたりしているのです。日本のマンションでも、廊下側の窓には金属の面格子がついているのが普通ですよね。それを町山さんは「檻」と思われたらしいのですが、残念な勘違いでした。

Sayani Ho Gayi Full Video Song.. | From Hitech Milan's Video ||

予告編は公式サイトを見ていただくとして、中に出てくるソング&ダンス・シーン「Ladki Sayani Ho Gayi(女の子が大人になった)」を付けておきます。女の子が初潮を迎えた時に、女性だけで祝う行事のシーンです。ヒンディー語というかサンスクリット語で生理のことを「リトゥ」(「季節」と同じ単語です)と呼び、初潮は「リトゥダルシャン」または「リトゥプラープティ」と呼ぶのだそうですが、こういったお祝いはインド各地で行われているようです。マディヤ・プラデーシュ州の古い町マヘーシュワルが舞台なので、美しいナルマダ(ナルマダー)河の景色と共に、このような伝統行事なども見られます。インド映画は見れば見るほど、インド事情に詳しくなりますね。12月7日(金)はこちらで劇場をご確認の上、『パッドマン 5億人の女性を救った男』へGO! 劇場用パンフレットも、お忘れなくお求め下さいませ~。

 


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