ベネチア国際映画祭も終了、アジア映画はメインのコンペで、中国映画『人山人海』の監督蔡尚君(ツァイ・シャンチュン)が銀獅子賞=監督賞、許鞍華(アン・ホイ)監督の香港映画『桃姐』の葉徳嫻(ディニー・イップ)が主演女優賞を受賞しました。日本の俳優染谷将太と二階堂ふみも、園子温監督作『ヒミズ』でマルチェロ・マストロヤンニ賞=新人賞を獲得しましたね。皆さん、おめでとうございます!
その中で、やっぱり見たいのがアン・ホイ監督の『桃姐』。香港公開は12月の予定だそうですが、東京国際映画祭では上映されないのかしら。とりあえず、予告編はこちら。英語字幕が付いています。
この映画に関しては、「香港電影迷宮+blog」にアン・ホイ監督に関する詳しい記事が載っています。それを読むとますます見たくなってしまいますが、思い出すのは張國榮(レスリー・チャン)と六姐のこと。レスリーの母親が父親の洋服店を手伝うのに忙しく、子供たちの面倒を見られないため雇ったお手伝いさんが六姐。レスリーは六姐を母親代わりにして大きくなり、成長してからも頼っていたと言われており、ちょうどこの映画の桃姐こと鍾春桃と坊ちゃんのロジャー梁羅傑の関係に重なります。
ロジャーを演じるのは劉徳華(アンディ・ラウ)で、下のポスターはアンディの幼い頃の写真をうまく合成したものだとか。ディニー・イップの白い中国服に黒いズボン、長いお下げ髪、という格好は、「馬(媽)姐」と呼ばれた広東省順徳から来た女性お手伝いさんを連想させます。
ディニー・イップとアンディという組み合わせでパッと頭に浮かぶのは、80年代半ばに香港人観客の涙を誘った『法外情』 (1985)。養護施設で育ち、苦労して弁護士になった青年が、殺人罪で起訴された水商売の女性の弁護を引き受けてみると....というお話でしたが、この映画のあとアンディはディニー・イップを”ママ・ディニー”と呼ぶようになったとか(「中華電影データブック」の浦川とめさんの文章による)。そういう2人ですから、今度の『桃姐』もさぞかし息がピッタリだったに違いありません。アン・ホイ監督は演出力もさることながら、キャスティングの妙が冴え渡っていますね。あと、黄秋生(アンソニー・ウォン)、徐克(ツイ・ハーク)、洪金寶(サモ・ハン・キンポー)ら、カメオ出演も豪華メンバーのようです。早く見たいな~。
一方中国映画の『人山人海』は、末弟を殺された兄たちが犯人を捜し求めてあちこちと国中を巡る話のようです。主演は、陳建[文武](チェン・ジエンビン。『孔子の教え』(2009)で孔子のライバル季孫斯を演じた人。本当は若い!)、陶紅(タオ・ホン。『天上の恋人』(2001)で気球に乗って飛んでいってしまった彼女)ら。予告編はこちら。
ポスターを捜してネットをあちこち見ていたら、この映画の「企業賛助策划方案」なるものがいろんなサイトにアップされていました。百度のサイトのを付けておきます。こういうのを作って、企業から出資を求めるのですねー。とても地味な作品のようですが、期待が高まります。この俳優の面子では一般公開は無理かも知れないので、映画祭上映をぜひ。東京国際映画祭か東京FILMeX、いかがでしょう?
そう言えば、9月15日(木)には、早くも東京FILMeXの記者発表が行われます。まだ決まっていない作品もあるようですが、現時点でどんな作品が選ばれているのかワクワクします。東京国際映画祭の方は、9月21日(水)に全貌がわかる予定。またブログでお知らせしますね~。