オランダ人画家、ヘールト・ヤン・ヤンセン。1月8日の読売新聞記事「地球万華鏡」に載ってた。
「戦後最大の偽作画家」の大見出しで、20年近い詐欺歴を振り返る、という記事。アムステルダム大学で美術史を学ぶが絵は独学。経営する画廊が傾いた76年頃、3週間で描いた現存の画家アペルの偽作を競売にかけると20万円で落札される。翌年、もう一作を競売に。この競売目録に「画家の認証あり」と紹介されていた(アペル本人の確認済の意味だそうだが、本当に確認済なのか、美術界のいい加減さゆえなのか、記事からは明らかでない)ところから自信をつけ、次々と制作した著名画家の偽作は1点400万円前後で売れ、今は「作品の3000点は世界に出回っているだろう」(本人談)。94年に偽造した売買記録でフランス語の綴りを一字間違えていたことから犯行が発覚。だが、儲けた画商や、価値が落ちるのを恐れた所蔵家などから被害届は出ず、2件の偽造・詐欺罪で禁固2年(執行猶予5年)の軽い判決を受けて、これを機に偽造から足を洗ったという。
すでに出回っている作品について語った言葉がいい。「偽物だと暴露して何になる。問題しか生じない。持ち主は知らずに満足してる。品質は本物と同じだって、おれが保証するさ」。かっこいいねえ。職人だねえ。まあ、犯罪ですが。
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