国民投票法改正案とは
まず国民投票法改正案は「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」略称になるが、昨日(2020年5月19日)から「#国民投票法改正案に抗議します」というタグがつけられたツイート(5月20日AM11:20現在326,438件のツイートでトレンドに)<追記:5月20日PM3:10現在402,627件のツイートでトレンドに>が目立つようになった
これは、5月19日に自民党・公明党の幹事長と国会対策委員長らが国会内で会談し、「衆議院憲法審査会で継続審議となっている国民投票法改正案について『結論を出すべきだ』として、今の国会での成立を目指す方針を確認」(NHKニュース)したことに多くの人が反応したことによるもの。
検察庁法改正案問題でも言われていたが、「コロナ禍」の中、国民投票法改正案が「それほど成立を急ぐ必要があるのか」「不要不急の法案ではないのか」など、国民投票法改正案・内容(条文)の問題点を検証する「以前の問題」になるが、今回は最も大きな問題点と言わざるを得ない。
「何が不要不急って、改憲ほど不要不急なものももないので、改憲以外に使い道のない国民投票法改正案なんて、コロナウイルス対策で国会がクソ忙しいなか、国会で審議しないでください」(菅野官氏のツイート)
「さんざんの自粛強要で市民経済は既に満身創痍であるにも関わらず、10万円の現金給付どころか申請用紙さえ送られてきていない人々が大半。税金布マスクも届かない。なのに安倍政権が夢中なのは私利私欲の改憲が目的の国民投票法改定。国家ごっこなら無人島でやれと」(異邦人さんのツイート)
国民投票法改正案の内容とは
国民投票法改正案の内容については、(「わかりやすい」とは言えないが)簡単に言うと次の7項目になる。
1 投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設
2 「在外選挙人名簿」への登録の移転の制度(出国時申請)の創設に伴う国民投票の「在外投票人名簿」への登録についての規定の整備
3 共通投票所制度の創設
4 期日前投票関係
5 洋上投票の対象の拡大
6 繰延投票の期日の告示の期限の見直し
7 投票所に入ることができる子供の範囲の拡大
国民投票法改正案の問題点とは
2018年6月27日、日本弁護士連合会は「憲法改正手続法改正案(国民投票法改正案)の国会提出に当たり、憲法改正手続法の抜本的な改正を求める会長声明」を公表し、憲法改正手続法改正案(国民投票法改正案)の問題点を指摘している。
日本弁護士連合会・会長声明では、「当初、この(国民投票法改正案)7項目に加え、憲法改正手続法改正案((国民投票法改正案)では、今国会に提出される予定の公職選挙法改正案の郵便投票の対象拡大も検討するとされていたが、この提案は見送られている。投票環境向上のための方策として、郵便投票の対象拡大も十分に検討されるべきである」と指摘されている。
国民投票法改正案と関連する「公職選挙法改正案の郵便投票の対象拡大」は、今の状況にあっては、尚更重要であると思うので、必ず検討すべき課題だろう。
そして日本弁護士連合会・会長声明は、憲法改正手続法改正案(国民投票法改正案)に関して8項目の見直しを要求している。
日本弁護士連合会・憲法改正手続法改正案(国民投票法改正案)見直し8項目
1 原則として各項ごと(場合によっては条文ごと)の個別投票方式とすること
2 公務員・教育者に対する運動規制は削除されるべきであること
3 組織的多数人買収・利害誘導罪の設置は削除されるべきであること
4 広報協議会は賛成派と反対派の委員を同人数とすべきであること、公費による意見広告は幅広い団体が利用できる制度にすべきであること、有料意見広告については、賛成派と反対派の意見について実質的な公平性が確保されるよう、慎重な配慮が必要であること及び広告禁止が国民投票の期日前14日となることが適切であるか十分に検討されるべきであること
5 発議後国民投票までの期間は最低でも1年間は必要であること
6 最低投票率の規定は必要不可欠であり、また、無効票を含めた総投票数を基礎として過半数を算定すべきであること
7 国民投票無効訴訟の提起期間の「30日以内」は短期にすぎ、また少なくとも全国の各高等裁判所を管轄裁判所とすべきであること
8 合同審査会や両議院の議決が異なった場合に開くことのできる両院協議会は各議院の独立性に反するので国会法の改正部分は削除されるべきであること。
この8項目につづいて次のように記載されているが、「コロナ禍の中、不要不急の法案ではないか」という問題を除くと、このことが一番大きな問題点となる。
「以上の8項目のうち、とりわけ憲法改正手続法成立時の参議院の附帯決議において、施行までに必要な検討を加えることが求められている、テレビ、ラジオの有料意見広告規制及び最低投票率制度については、上記のような見直しが早急に必要である。」
「#検察庁法改正案に抗議します」とタグつきツイートを始めた笛美さんも「#国民投票法改正案に抗議します」というタグをつけて「広告の力を知っているからこそ、マス広告を憲法改正キャンペーンに使うのはやめてほしいです。予算が多い方が華やかな広告が作れるし、露出も増やせるので有利に決まっています。国民は広告よりも改正草案の中身を知らされるべきです。」とツイートしている。