櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

ポルトガル公演報告 2

2006-11-14 | 海外公演の記録 past dance works in EU
ポルトガル公演報告
第2章「ロウレー公演~楽天と熱狂と」
(1)

ファロで一泊、旅の疲れをほぐした翌日、いよいよ僕らは最初の公演地に出発。
そこはファロからハイウェイで数十分の古都、ロウレー(Loule)という街、僕らを受け入れてくれる劇場は、市立劇場の「CINE TEATRO LOULENTANO」です。

【街・人々】
 ロウレーは、ヨーロッパ中世の香りにイスラム文化の雰囲気がミックスされた、異国情緒ただよう街。うんと落ち着いた竹下通り(?)といった風情の通りを中心に、古い城壁で囲まれた旧市街、オフィスや大小の商店がならぶ新市街がひろがる南部ポルトガルの古都です。

 家々の壁は、これでもかといわんばかりに純白かアズレージョ。
 あちこちには、廃墟、そして、やはり真っ白な教会が・・・。
 昼間は強烈な太陽が光と影のダイナミックな会話をつくりだし、夕陽は、それらを淡いオレンジ色に染め上げる。
 そして、夜には街の名所旧跡がライトアッップされ、セルベジャリア(居酒屋兼用のカフェ)からは、ポルトガル特有の「ため息まじりのざわめき」が・・・。

 ポルトガルの人は総じて宵っ張り。連日長時間にわたるディナーに食後酒、一体何を、と思う程えんえんとおしゃべりを楽しんでいます。要するに毎日が飲み会状態。でも、皆おとなしいので、騒いでいる人はほとんどいません。人の集まるテーブルからは、たいてい微笑みと(なぜか)ため息がたくさん・・・。

 ヨーロッパ人にしては小柄な体格、ブルーかグレーの透き通るような眼、なぜか少し戸惑ったような、あるいは、あきらめたような微笑、少し小さめの声。あまり先の事は気にしないで、でも、過ぎ行く一瞬には、なぜかこだわって、ちょっと疲れて、とりあえずフーっと、ため息。
 ポルトガルでは皆よくため息をつく。と、ものの本に書いてありましたが、行ってみると確かにそうでした。なぜでしょう。いまだにわかりません、理性では。でも、この街での数日で、僕もため息をつくようになっていました。たくさん。理性では分からないけれど、身体には染み込んでいったんでしょうか。


「ああ~、今日も日が暮れていく・・・」みたいな、人生を惜しむような宵越しの会話。この感じ、「サウダーデ」っていうんだそうです。僕らの国には無い、とっても不思議な感情の揺らぎを生きている人々。

 街も人々も、う~ん、とてもきれいです。
 この街で、光と影の、けだるく、とりとめもない美しさに迷い込み、いつしか僕は感動していました。
 そして、この感動は、上演作品「タブラ・ラサ」ポルトガル版に多大な影響を与えたと思います。(つづく)
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