櫻井郁也ダンスブログ Dance and Art by Sakurai Ikuya/CROSS SECTION

◉新作ダンス公演2024年7/13〜14 ◉コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー

2011-05-27 | ダンスノート(からだ、くらし)
雨が降っている。
恵みであるところの雨は、放射性物質の不安を運ぶ雨になってしまった。
天の涙にも思えてくる。

いのち、ということばに敏感になる。

テレビでは、メガソーラー計画についての報道。
ダンス白州でしばしばお世話になった北杜市の実証(学校、農地ほか)のことも。

稲田美織さんの「聖地へ」という写真集をながめた。
ネイティブアメリカンの、ロシアの、エーゲ海の、祈りの場所。
祈りは、命の連続の中にいまいちど自らの命を重ねあわせるときでもある。
一枚一枚ながめつつ、いまのような時期だからか、心の中に無数の思いが駆け巡る。
9.11体験をきっかけとして世界の聖地をめぐって撮影されたのだという。
2001年あのときから、多くの祈りが交差していった。あのときから、僕自身も変わっていった。何かしら動物的な嗅覚が目覚めたように得体の知れぬ危機感を感じ、それから、やはり踊りも変わっていった。あれは、単にテロリズムや戦争をめぐるものだったのではなくて、人間全体が人間存在について真剣に考え直さねばならない時期が、ここに来ているという精神的な方位を示すものだったのではないかと、今、この状況の中で思う。

写真たちのなかで僕がとりわけ魅了されるのは、伊勢の式年遷宮をめぐるいくつかのショットだ。
闇に走る一閃の炎。緑なす大地を歩む神官の行列。純白の装束・・・。
20年に一度、神道にいう常若(とこわか)の思想に乗っ取って、すべてを次の世代に受け渡す大切な儀式が式年遷宮。一切の宮は建て替えられ、714種1576点の装束神宝すべて新しくする。
これによって、時の流れにけじめがつけられ、国に新しい息吹が吹き込まれる。

マヤの暦が世界の終焉とする2012年の翌年、2013年に今回の式年遷宮は執り行われる。
いかなる世界が終わり、いかなる世界が始まろうとしているのか。
いま多くの人が胸に秘めているところの祈りや希望の中に、その答えは見え始めているように思えてならない。
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