たまごっち(英:Tamagotchi)
1996年11月23日に日本のバンダイから発売されたキーチェーンタイプの電子ゲームであり、登場するキャラクターのことでもある。
名称の由来は「たまご(Tamago)」と「ウオッチ(Watch、腕時計)」。
企画、開発は横井昭裕。
《概要》
画面の中に登場する「たまごっち」と呼ばれる生物にえさ(ご飯)を与えたり、糞の掃除をしたり「たまごっち」と遊んだりしながら育てていく。こまめにコミュニケーションをとっていれば機嫌がいいが、餌をやり忘れたり、糞の掃除が滞ったりすると機嫌が悪くなり最悪の場合には死に至ることもある。こうして育てていくと、ある程度時間が経てば「おやじっち」や「にょろっち」など様々な生物に変身する。どの生物になるかは、生物のその時の体重や機嫌に左右されるよう設定されている。その他、名称の由来どおり単なる時計としても利用することができる。 大きさは高さ53mmで、白黒液晶画面の下部に3つのボタンを備えている。ボタンは左からコマンドの選択・決定・キャンセルに割り当てられ、この操作体系は同社の『デジタルモンスター』、他社の『ドラゴンクエスト あるくんです』など多くのゲームに引き継がれた。
■第1期(誕生期)
企画段階 編集 第1期たまごっちは、1995年6月、ウィズの横井昭裕がバンダイの本郷武一に原案となる企画書を提出したのが発端である。これは横井が1996年の年末商戦用にバンダイに提案した企画であり、女子高校生をメインターゲットとして開発された。
第1期たまごっちは「携帯ペット」と銘打っていたが、開発者の横井昭裕が動物好きであったことから「ペットを育てる」という発想が生まれたものである。
携帯に便利ということで時計型にする発想が生まれ、「卵型の玩具は売れる」ということで卵型にする発想が生まれた。
当初は名称の由来どおり腕時計型にしてベルトも付ける予定であったが、安い電子製品を使い製造するとかさばるという理由から撤回し、最終的にキーチェーン型となった。1996年11月23日、初代たまごっちが正式発売された。
▼社会現象化
1997年を中心に、社会現象になるほど爆発的な人気を誇った。人気は本来想定していた女子高生以外にまで広まった。
口コミの評判にマスコミの煽りが相まって異常人気となり、入荷の情報を聞きつけた人々が徹夜で店に並ぶ様子が連日新聞やテレビで報道された。
入荷の情報はテレビでは取り上げられず、もっぱらインターネットとラジオ番組によって発信された。
その結果、たまごっちを持っていることが一種のステータスとなり、街には数個たまごっちを所有していたり、忙しい人向けの「たまごっち託児所」なる預かり所が登場したりもした。「飼育」していたたまごっちの「死」によってペットロス症候群に似た現象が一部のユーザーで見られるようになるなど、たまごっちブームは社会現象化した。50個のたまごっちの抽選販売に対して、抽選整理券が4000枚配られた所もある。 ブームの火付け役は、音楽番組で安室奈美恵が持っていたからだとも、テレビドラマ『踊る大捜査線』で和久平八郎(いかりや長介)が育成していたためだとも、スチュワーデスが持っていたからだとも言われる。
初代たまごっちの初回オーダーは当初6万個を予定していたが、販売価格を引き下げるため30万個に変更した。
その後テストセールスの結果、大きな反響があったため100万個に再変更された。
しかし正式発売後、人気の過熱により慢性的な品薄状態が続き「生産調整をしている」という噂も流れた。バンダイには問い合わせの電話が1日に5000件かかり、バンダイの公式ウェブサイトは1日に1万件を超すアクセスが殺到した。
バンダイに直接出向いてたまごっちを求める人まで現れたが、実際にはバンダイやウィズの社員でさえたまごっちは入手できないほどだった。
1997年6月のバンダイの株主総会では株主にたまごっち1個が贈呈された[20]。 1997年2月にはニッポン放送のラジオ番組で行ったたまごっちのプレゼント告知に15万通の応募が殺到した。
たまごっちのパロディ本として『新ネタ発見!!ブッたまごっち』も扶桑社から出版され、話題になった。
ウィズは前述のように当時のたまごっちを女子高校生向けに開発していたが、タイアップした雑誌は小・中学生向け少女マンガ雑誌の『なかよし』(講談社)と『ちゃお』(小学館)、男子小学生向け雑誌『コミックボンボン』(講談社)『月刊コロコロコミック』(小学館)に限られていた。
日本以外にも世界30カ国で発売され、アメリカやアジア各国でも大流行[要出典]。アメリカの人気ドラマ『ER』にも登場した。1997年、「数百万人分の労働時間を仮想ペットの養育に費やさせた」功績により、ノーベル賞のパロディ的な賞であるイグノーベル賞の経済学賞を受賞している。
また、同年には新語・流行語大賞のトップテン、DIMEトレンド大賞を受賞している。
▼さまざまな社会問題
たまごっち欲しさに恐喝を働いたり、詐欺事件が発生するといった数々の社会問題も報道された。
ブームの全盛期には、白いデザインのたまごっちが非常に稀少だとして特に人気が集中したことがあったが、横井は「単なる噂」としている。
実際には他にも生産量の少ないたまごっちは存在していた。横井は、稀少価値があるとされた白いデザインの商品が1個9万円で取引されたり、色を塗り替えて稀少品であるように見せかけた商品が1個18万円で取引された話を聞いたという。 仕入れをした販売店によっては、100個仕入れたうちの50個だけ定価で店頭販売して、プレミア価格がついた5~20万円以上になっている人気のたまごっちは裏で売りさばいていたという。
さらに転売屋が、たまごっちを組み立てていた韓国の工場から直接たまごっちを卸してもらって密輸し、20億円もの利益を得たケースもあったという。
1997年2月14日には、日の丸タクシー・イースタンモータース・宮園自動車・東京コンドルタクシーが東京都内で新たにスタートさせる初乗り運賃1kmまで340円のタクシーの愛称を「たまごっちタクシー」と発表したところ、バンダイから「商標の無断使用」と警告される事態も発生した。
▼ブーム終息による赤字
しかし、1998年に入るとブームが沈静化。それまでに経験したことがない大ブームに大増産を行ったバンダイは不良在庫の山を抱えることになり、在庫保管費などが経営を圧迫、1999年3月にメーカー在庫250万個を処分。不良在庫の処分により60億円の特別損失を計上し、最終的に45億円の赤字となった。大ヒットしたにもかかわらず、社内では失敗という声も出た。
これを上回る赤字を出したものは、損失額270億円を出した「ピピンアットマーク」がある。 本郷武一によれば、第1期たまごっちシリーズがブーム定着に失敗した理由は「社内で情報を共有できなかったことに尽きる」という。関係各部門が独断で出荷を決め、品薄状態の店舗に追加出荷したものの、たまごっちを欲しがっている一般顧客は複数店舗にそれぞれ予約しており、実際の需要は予約件数よりずっと少なかった。
発売元のバンダイによれば、これら第1期のたまごっちシリーズは全世界で4000万個(日本国内で2000万個、日本国外で2000万個)を販売したという。
■第2期(ツーしん期)
▼企画段階
横井昭裕によると2001年頃に杉浦幸昌(当時バンダイ会長)が横井に「たまごっちを復活させよう」と働きかけたことがシリーズ復活の一つのきっかけだという。
2002年末頃からバンダイ社内でのたまごっち復活の動きが本格化。
さらに2003年頃、当時の高校生の間で初代のたまごっちが再燃しているという情報をバンダイの開発チームが聞きつけたことがきっかけとなって開発が始まった。
第2期では小学生がメインターゲットとなった。
これは「今の女子高生は携帯電話ばかりで玩具が生活に入り込むのは難しい」との開発側の判断によるもの。
以前の「たまごっち」に赤外線通信を追加している。
第1期はブームの過熱によりかえって短命化を招いたことの反省から、メディア露出を従来より控えめにして人気の長期持続を狙った。
▼販売開始
第2期たまごっちシリーズは「かえってきたたまごっちプラス」として2004年3月20日に発売された。 第1期に登場したキャラクターも一部登場している。
また、第1期と同名だが別のキャラクターも登場している。たまごっちの基本設定が全面的に一新された。 また、第1期ではタイアップする出版社が講談社・小学館と出版社2社体制で展開されていたが、第2期では小学館のみとなっている。アニメ映画の配給会社が第1期の東映から第2期では東宝に変更された。
1990年代のブームほどではないが小学生を中心に受け入れられ、国内外での売上個数は2007年6月末までに3000万個を超えた。
そして、本来のターゲットだった小学生の上や下の世代にも人気が拡大した。
2004年11月23日には「祝ケータイかいツー! たまごっちプラス」(ケーたま)が発売された。 その人気に応えて、2005年に玩具屋店頭に通信機能を使ってアイテムのダウンロードや連動ミニゲームのできる「でかたまごっち」(後に「おうちのでかたまごっち」の商品名で一般にも販売)を設置、さらに「超じんせーエンジョイたまごっちプラス」(エンたま)を発表、2006年にはゲームセンターにはデータカードダスシリーズに属するトレーディングカードアーケードゲーム機『たまごっちカップ』などの展開を始めた。
▼ブームの収束
2007年、『たまごっちカップ』の後継である『たまごっちコンテスト』は、『オシャレ魔女♥ラブandベリー』や『きらりん☆レボリューション ハッピーアイドルライフ→クルキラアイドルDays』など他社のゲーム機に押されて売り上げ不振が続いていた。同年秋、一部の筐体は『Yes!プリキュア5』をキャラクターとして起用した『うたって!プリキュアドリームライブ 〜スピッチュカードでメタモルフォーゼ!?〜』に置き換えられ、残った筐体は『たまごっちとふしぎな絵本』にリニューアルされたが、稼働不振は止まらず、2009年2月から3月に男児向けの『仮面ライダーバトル ガンバライド』や『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』に置き換えられる形で稼働終了した。 2007年8月10日には、初のたまごっちオフィシャルショップ「たまごっちデパート」が東京ドームに開業した。同年11月23日には「いぇー!ふぁみりーイロイロ!たまごっちプラス」(ふぁみたま)が発売された。同年12月15日には、本格的なアニメ映画「えいがでとーじょー! たまごっち ドキドキ! うちゅーのまいごっち!?」が公開された。 2008年頃からは人気が沈静化し、玩具店・量販店によっては商品の在庫処分が行なわれた。
▼第3期(カラー期)
たまごっちプラスカラー 編集 2008年9月25日に「たまごっちプラスカラー」を発表。シリーズで初めて液晶がカラー化されるとともに、ドット数が大幅に増え複雑なキャラクターが描写出来るようになった。電源がボタン電池から単四電池2本へ変更。また2009年には、人気ユニットであるEXILEとコラボレーションをしたモデルも発売された。
同年12月20日には、映画第2作目「映画! たまごっち うちゅーいちハッピーな物語!?」が公開された。 2009年10月12日にたまごっちシリーズとしては初の30分テレビアニメ「たまごっち!」が放送を開始し、2015年9月24日までの6年間放送された。
▼たまごっちID
(Tamagotchi iD)
2009年11月23日(初代たまごっち発売日から14年目)には「Tamagotchi iD(たまごっち iD)」が発売された。ダウンロードにより、自分だけのオリジナルたまごっちを作れるようになった。「産卵期」が「フレンド期」に変更され、また「フレンド期」においては世話を怠った際の演出が死亡から家出に変更された(幼児期〜思春期については従来通り、死亡する)。
発売同日の2009年11月23日には『たまごっち大感謝祭』と称して、これまでのたまごっちシリーズをいずれか1つでも持参した者に、感謝状とたまごギフト券が配られた。
2010年3月には、2009年の稼働終了以来の1年ぶりのデータカードダス、「カードでちゃくしん!たまごっち!」の稼働が開始した。システムが大幅に一新され、キャラクターデザインがアニメ「たまごっち!」に準じる物となった。今までのカードとの互換性がない。
2011年3月19日にはiDのマイナーチェンジ版、「Tamagotchi iD L(たまごっち iD L)」が発売され、一部の機能が強化された。 女児をターゲットに絞った[40]iDは、2010年のバンダイこどもアンケートレポートでは4年ぶりに女子部門第7位にランクイン。
さらにiDは2010年12月末までに累計80万個を出荷、これは2008年の前機種出荷数の3倍に上り、店舗によっては品薄となる人気になっている。
▼たまごっちPs
(Tamagotchi P's)
2012年11月23日(初代たまごっち発売日から16年目)には「Tamagotchi P's(たまごっち P's)」が発売[43]。本体の大きさは前作とは変わっていないが、育てるキャラクターの種類が大幅に一新された。
別売りの「たまデコピアス」(拡張ROM)を付けることによってキャラクター、アイテム、ゲームなどの追加が出来る。 2012年12月13日には、「たまごっちリズム TamaRiz」が稼働が開始され、Tamagotchi iDLとP’sとの連動ができる。
▼たまごっち4U
(Tamagotchi 4U)
2014年9月27日には「TAMAGOTCHI 4U(たまごっち 4U)」が発売された。通信方法が赤外線通信から、NFC通信に変更されており、タッチすることで通信ができる。また、ダウンロード機能が大幅に拡張され、これまでの服、アクセサリー、食事、ゲームなどに加え、キャラクターや、店で使えるクーポンもダウンロードできる。
2015年7月18日には、マイナーチェンジ版の「TAMAGOTCHI 4U+(たまごっち 4U+)」が発売され、一部の仕様変更や、通信機能の強化、一部キャラクターの個性が追加された。 2015年10月1日、バンダイによる公式YouTubeチャンネル「たまごっちTV」が開設された。
▼たまごっちみくす
(Tamagotchi m!x)
2016年7月16日に「Tamagotchi m!x(たまごっち みくす)」が発売された。
同年11月23日に初代たまごっち発売20周年を迎えることから育成ゲームとしての原点回帰をコンセプトに開発された。
新たにたまごっち同士が結婚すると両親の遺伝子を受け継いだ孫から子孫を残す事ができるようになった。また、結婚した親から生まれたたまごっちは両親の姿を受け継いだ姿になる。遺伝の要素を盛り込むにあたり、たまごっちiD以後にみられた家出の演出が死亡に戻された。
また、通信方法がNFC通信から赤外線通信に戻された。 2017年4月28日には9年ぶりに短編映画作品「映画 たまごっち ヒミツのおとどけ大作戦!」が公開された。
▼たまごっちみーつ
2018年11月23日に「たまごっちみーつ」が発売された。
▼Tamagotchi Pix
2021年7月1日に「Tamagotchi Pix」が発売された。
▼たまごっちスマート
2021年11月23日に「たまごっちスマート」が発売された。シリーズ開始25周年を経て、当初の企画案であった「腕時計型」の機種が発売されることになった。
また、なつきアイコンも登場した。たまごっちみくすから変更された死亡の概念がある他、なつき度が低いまま放置していると、手紙を残して家出してしまうイベントもある。
たまごっちが結婚するか死亡すると、部屋に新しい卵が現れ次のたまごっちを育てるシステムになっている。なお、たまごっちの結婚は結婚相手とキスをして、卵を残す事で表現されている。たまごっちの性別により、結婚相手が異なる。
〔ウィキペディアより引用〕