□作品オフィシャルサイト 「アントキノイノチ」
□監督・脚本 瀬々敬久
□脚本 田中幸子
□原作 さだまさし
□キャスト 岡田将生、榮倉奈々、松坂桃李、原田泰造、染谷将太、檀 れい、
鶴見辰吾、柄本 明、堀部圭亮、吹越 満、津田寛治、宮崎美子
■鑑賞日 11月19日(土)
■劇場 チネチッタ
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)
<感想>
同じ“痛み”を持つ者が、たまたま遺品整理業という特殊な職業につき、
心の傷を癒しきれずに、死に行く人たちの遺品を片付けながら、傘ね合わせる自分の過去と、
見ず知らずの死者の暮らし向きと、残された家族への届かぬ想いを感じていく。
心の傷は同じ悩みを持つもの同士の、誰かに伝えたいと言う同じ想いが、
満たされない日々の中で、また亡き人の人生の片鱗に触れることで、
少しずつ本来の己自身を取りもどしていく。
『おくりびと』とはまた別の切り口だが、死者を送る立場と、旅立った者の過去を清算する立場。
微妙に違いはあるものの、残された家族の見えなかった人生の縮図を共に見ることになる。
杏平(岡田将生)とゆき(榮倉奈々)
出会ったときから、同じ糸で繋がれた同様の過去を少しずつ手繰り寄せながら、
そして、よじれた糸を少しずつに修正しながらも、微妙な距離を保ちながら、
少しずつそれぞれ本来の姿を取り戻していく。
「アノトキノイノチ」がゆきに引き継がれ、
そのイノチがまた違う少女に引き継がれていく。
結末はあまりにも突然で、かつ杏平の気持ちの整理もつかないままに、
ゆきの部屋の遺品整理をしていく過程で、初めてゆきが語らなかった
ゆきのそれまでの人生を垣間見ることになる。
人生なんてはかないもの。
運命は変えられるが、宿命は変えられない。
誰が決めるイノチの灯火の長さ。
死は決して無駄ではなく、何かの形で引き継がれていくもの。
「アントキノイノチ」を何度繰り返し呟いてみても、
決して「アントニオ猪木」にはならないけれど(笑)、
今一度、おそらく自分より先に逝く両親のそれまでを
生きているうちに辿ってみてもよいのではないか、そんな気持ちでいっぱいになった。
普段、お笑いの原田泰造も、こういうシリアスな役では存在感のある演技を見せてくれる。
それは吹越 満や津田寛治も霞むほど・・・。
そして柄本 明、ワンカットでもその役どころのポイントを外さず付いている。
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