砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

コドク岬

2004年03月23日 | ログ
コドク岬に船は来ない

それはこの岬から身を投げた女の呪いだとも言われているし

この地方独特の「もがき嵐」のせいだとも言われている

そんなコドク岬に少女が一人住んでいた

少女も岬と同じく一人だった

いつからとも知れず少女は岬の一番先に小さな小屋を立て

毎日毎日、船が来るのを待っていた

だがコドク岬に船は来ない

毎日、毎月、毎年

いくら待っても船は来なかった

少女は女になり、老女となった

そして老女は死ぬ間際

老いた体を必死に動かし 小さな石の塔を作った

そこにありったけの油をかけて火をつけた

石の塔はゆっくりと燃えた

老女はそれを満足げに眺め

少女の笑顔で死んだ