砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

ドナドナ

2004年06月03日 | ログ
荷馬車は揺れる。 僕らを乗せて。

幸いにも僕は子牛でなく人間だったけれど残念なことに用意された結末は子牛と大差なかった

僕は奴隷

売買可能なニンゲンだ

揺れる荷馬車の向うが先は帝国が首都、ダレスのブラックマーケット 僕らはそこに納入される

距離にして約50タール 時間にするならば鐘七つ半

それが僕ら隷属民に与えられた最期の自由時間だ

ダレスに着けば僕らは腕の鎖を外され代わりに値札を貼られる

それから先の運命は購入者の手に委ねられるが運命は大抵二通りだ

愛玩されて生きるか、嗜虐の対象として死ぬか

第三に労働という選択肢も一応考えられるが可能性は低い

ダレスには既に十分な数の奴隷がいるし僕らアイシャの一族は元来容貌に恵まれており「そちら」専用に扱われる

僕が買い手なら重労働には北方のガンズラーの民を

小間使いの仕事ならハーフのグラスランナーを買うだろう