『偶然は存在しない』
二十日鼠はそう答えた
-本当に?-
『少なくとも現実の世界ではね』
私にはその言葉は信じがたかった
『確かに偶然は存在する。だがそれはこの世界ではなく、そう空想や仮定の世界に生きる存在だ』
彼は器用に体を擦りつけカードを拾った
『このカードはダイヤの3だ』
表にしないまま言葉を続ける
『何の情報も与えられていない段階ではこのカーは52の可能性がある』
-だけど情報があれば-
『そう、そこに条件と仮定による推理が加われば可能性は減少する』
-じゃあ-
『だが』
彼は強く語る。世界の真実を告げるが如く
『現実は可能性に依存しない』
カードをめくる
『たとえ確率が0だとしても』
数字は示される
『確率はこの数字を変えられない』
二十日鼠の偉大な予言詩
『それが必然だ』