砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

ホリエイズムについて

2005年02月15日 | ログ

「新聞・テレビを殺します」 ~ライブドアのメディア戦略~を読んでの読書感想文です。

この堀江社長のインタビューですが私は賛成半分反対半分ですね。

具体的に言うとこのインタビューで堀江さんは大きく分けて二つのことを言っています

それが「メディア改革の加速化」と「市場原理主義メディア」です。

私はこれに対し前者は賛成で後者は反対なんですね。

まずは前者から。

メディア改革の加速化を堀江さんは「新聞とかテレビを、我々は殺していくんですけど」と述べています(過激な言動はこの人の問題点であり最大の武器ですね)

ネットを日常的に利用してる私から見ればこの「テレビはネットに取って代われる」って考え方は至極当然に思えるのですが

一般の人々やメディア上層部ではこの考え方はまだまだ浸透していません。

まぁ当然ですよね。私も三年前にこの発言を見てたら「何言ってんだコイツ」と思ったでしょう。

それで堀江さんはこのテレビからネットへ、という流れを加速させようとして手始めにニッポン放送、ひいてはフジテレビを傘下に置こうと今回のニッポン放送株買収に至ったわけです。

これ自体は素晴らしい事だと思います。

取得方法がTOBでないのは残念ですが正式に名乗りを上げて買収しようとしたら

近鉄買収の二の舞だったでしょう。

むしろ彼の出演番組を放送中止にしたフジのやり方の方が気に入らないですし。

放送中止理由くらい嘘つかずに言えよと。「視聴率強化のため」て。

さて、彼の未来予想図自体には賛同する砂蜥蜴ですが逆に彼が運営しようとするメディアのスタイルには首をかしげます。

それが「市場主義メディア」です。

これは簡単に言えば「視聴者が見たいものを放送する。見たい記事を載せる」という非常に当たり前かつ、どこのメディアでも多かれ少なかれやってる事ですが堀江社長の考えは極端です。

「人気がなければ消えていく、人気が上がれば大きく扱われる。完全に市場原理。我々は、操作をせずに、読み手と書き手をマッチングさせるだけ」

「いいじゃないですか、それで。そういうもんじゃないですか、情報って」「読者の関心が低いゴミみたいな記事を無理矢理載せたってしょうがない」


とのこと(やっぱり過激な人だなぁ)

勿論このやり方にはメリットもある訳で。

一つには単純に普通のやり方より読者が増えるというのがありますね。

当然です。需要があるものを供給すれば儲かるなんてのは経済の基本ですし。

更には特定の政治思想に染まらない

ご存知の通り、日本の新聞には新聞ごとの根幹思想というのがあり

簡単に言えば朝日は左翼で読売右翼と新聞社ごとのカラーがある訳です。

その為に自説の主張に走るあまりこういうことをする訳ですが

このシステムならば理論上、人気、書き手の説得力さえあれば複数の思想、意見が一つの新聞で読めるという非常に優れたメリットがあります。

また堀江さんの言葉を信用するならば人気さえあれば上からの検閲もないシステムで

信頼性という観点から見ても既存のメディアを超える可能性を持っています。

しかしこの市場原理メディア。これは同時に大きな危険性を孕んでいます。

極端に言えばメディアとしては成功しても日本が滅びる可能性があります

何だかMMRみたいな言い方ですが私は本気でその可能性を危惧しています。

この私の考えの根底にはみんなが知りたいこと=みんなが知るべきこと、知らなければならないことではないというのがあります。

堀江さんはこれに対し(イラク問題などの政治的ニュースが大きく扱われない可能性について)

いいんですよ、(そういうことは)みんな興味ないんですから。興味ないことをわざわざ大きく扱おうとすること自体が思い上がりだと思うんです。

と述べています。

この考え方にも一理ありますが、これを踏まえて作られるメディアは極端なワイドショー型になってしまうと思うんですね。

まず政治。保守中立の記事は載りません

普通に考えて人の目を惹きつけるのは極端な意見、異色な意見です。

また、とりあえず政治家の悪口書いとけば喜ぶだろ的記事が爆発的に増えそうです。

いや、確かに好きですけどそういうのは朝日だけでお腹一杯ですよ。

芸能面ではフライデーとか女性自身とか週間新潮とかも真っ青な記事が載りそうですね。

あと本当に読者人気だけで作られるなら政治1 芸能9なんて比率になりそうです。

経済面ぐらいかな?このシステムで確実に良質化するのは。

経済面読む人が知りたいのは正確かつ詳細な情報ですから。

堀江さんはインタビューでもなぜ紙で書いてるというだけでみんな、新聞に書いてあることを信じてるのか分からないと言っていますが

新聞とは本来、利益の追求のみを目的とせず、社会倫理に則り、公正かつ公平な情報を読者に伝える精神の元に発行されていますまぁ、今は違うけど

私は極端に走らず、既存の新聞の要素も取り入れてバランスを取った方がいいと思いますけどねぇ。

ちなみに砂蜥蜴がライブドア新聞の編集長になったら

テレビ欄つけて一面に「小泉またもご乱心」て載せて残りは全部水着姿のきれーなお姉さんの写真ばかり載せた新聞を作ります。

これは売れるぞぉ(既に新聞ではありません)