「思いつきで仕事をする上司」、確かな本のタイトル(新聞の下段広告で見たのですが、違う名前だったかな?)だったと思うのですが、本当にそういう上司が多いですね。それに振り回されるわれわれ下っ端は大変な思いをするわけです。やれやれ。
でも、そうではない上司も中にはいます。私が前の会社に入社して、最初の1年間お世話になった上司がそうでした。
最初は、私たち部下に話しかけることも少なくて、冷たいなという印象でした。しかし、一つのプロジェクトで部下を動かすときは、時間をとって入念に打ち合わせをして、それぞれの能力や特技に応じた仕事を割り振っていました。仕事がうまく進んでいないと、上司に呼ばれて的確な指示をくれました。その上司はいかにすれば、仕事がうまく進むかをよく考えていて、部下の我々は非常に働きやすかったです。実際、他の上司が受け持つプロジェクトは期日までにできないなんてことがしばしば起こっていたのですが、その上司が受け持つプロジェクトはどの仕事もおおむねスムーズに進みました。「思いつき」で上司に振り回されるということは、彼に関しては皆無でした。その上司の下で働いて、一般の平社員が抱く理不尽さを感じることはなぜかなかったです。
その上司の下で仕事をしているうちに分かってきたことですが、その上司は論理的に物事を考えるタイプの人でした。自分でもそうだとおっしゃっていました。またいろんな意味で賢い人でした。頭の回転の速い、判断力の高い人でした。それに、仕事に関して様々な知識を持っていて、会社の知恵袋的な存在でした。他の管理職の人も、分からないことがあれば彼に相談によく来ていましたし、他の営業所からも問い合わせの電話があるほどでした。
論理的であるが故に、仕事についてはドライでしたね。優秀な部下には重要な仕事を、そうでない部下にはそれなりの仕事を割り振っておられました(私は後者(泣))。とはいえ、人材を育てることには熱心でした。できる人間には、チャンスを与え、より責任の重い仕事を任せてました。自分も忙しいにもかかわらず、時間を割いてその人に熱心にアドバイスをしていました。部下もそれに答えて、元々士気も高かったこともあり、めきめきと成長している人が多かったです。
さらにできる人間だけでなく、できない私にさえチャンスを与えて下さいました。当時同期より成長が遅れていて、もう必死になって仕事をがんばっていました。それを上司が見ていたのでしょうか、顧客のシステムのバグを調査するという、責任のある仕事を私に任せられました。内容は私のレベルにあった、簡単なものでしたが、調査結果は顧客に報告されるという非常に重要な仕事でした。こんな機会はもう二度と巡ってこないと思った当時の私は、もう必死で取り組みました。結果を上司に報告し、上司はそれを顧客に電話で伝えていたのですが、顧客はそれでは納得していない様子。「ああ、もうだめか!」、この仕事も別のできる奴に振られてしまうと絶望していました。しかし、上司は私に再調査するように命じました。最初はあっけにとられていたのですが、すぐに仕事に取りかかりました。2度目の報告で何とかうまくいきましたが、調査に時間がかかり顧客に迷惑をかけたという無様な結果に終わってしまいました。後で上司に呼ばれました。怒られるのを覚悟していましたが、彼はほとんどしかることをせず、今度同じ仕事が来たときどう対応したらよいか、人より遅れているという劣等感を持っているんだったら、人より長い時間働いて取り戻せばいいじゃないか・・・など、忙しいにもかかわらず時間を割いて、助言を下さいました。私はこのとき、この上司はただ者ではないなと思いました。普通なら、仕事に失敗した時点で当然その人間を仕事からはずすでしょう。顧客を待たせているのならばなおさらです。なのに、そうせず、自身の責任や評価に響くにもかかわらず、できない部下の成長のためにそこまでできる上司はほとんどいないと思います。最初の冷たいという印象はどこかに吹き飛んでしまいました。プライドを傷つけることなく最後まで責任のある仕事をさせてくれたこと、仕事はできないけれど仕事に一生懸命取り組んでいたことだけは分かっていてくれたこと、あれほどうれしかったことはないです。一生懸命やっていれば、誰かがそれをちゃんと見てくれていて、チャンスをくれて、助けてくれるんだとわかり、やる気が非常にわきました。
その上司は、今まで述べてきたように非常に有能な人材でした。しかし、かわいそうなことに病弱でたまに会社を休むことがありました。それで、私たち部下が困ることはなかったのですが、会社の業務は平日に休むと支障が出るものだったので、会社は同じクラスの人と比べて低く評価していました。彼が休んだことで顧客に迷惑がかかったということは、私が見る限りではありませんでしたし、休んでいるマイナスをカバーして余るくらいの良い仕事をされていました。とはいえ、会社も個人の細かいところまでは評価できないでしょうし、書類上の数字で判断してしまうところが大きいのでしょう。そのあたりは理不尽ですね。
私は、彼のような頭が切れて、理論的に物事を考えるタイプではないので、彼のような上司になることはできません。しかし、私が上司になったときには、彼の良いところを盗んで、私なりのよい上司を目指したいと思います。「思いつき」で部下を動かすことはせず、バカな私は私なりに知恵を絞って、部下が働きやすいようにしていきたいです。部下の失敗のために、さらに上の上司や顧客の怒られ役を買って出るような懐の広い上司になりたりです。
でも、そうではない上司も中にはいます。私が前の会社に入社して、最初の1年間お世話になった上司がそうでした。
最初は、私たち部下に話しかけることも少なくて、冷たいなという印象でした。しかし、一つのプロジェクトで部下を動かすときは、時間をとって入念に打ち合わせをして、それぞれの能力や特技に応じた仕事を割り振っていました。仕事がうまく進んでいないと、上司に呼ばれて的確な指示をくれました。その上司はいかにすれば、仕事がうまく進むかをよく考えていて、部下の我々は非常に働きやすかったです。実際、他の上司が受け持つプロジェクトは期日までにできないなんてことがしばしば起こっていたのですが、その上司が受け持つプロジェクトはどの仕事もおおむねスムーズに進みました。「思いつき」で上司に振り回されるということは、彼に関しては皆無でした。その上司の下で働いて、一般の平社員が抱く理不尽さを感じることはなぜかなかったです。
その上司の下で仕事をしているうちに分かってきたことですが、その上司は論理的に物事を考えるタイプの人でした。自分でもそうだとおっしゃっていました。またいろんな意味で賢い人でした。頭の回転の速い、判断力の高い人でした。それに、仕事に関して様々な知識を持っていて、会社の知恵袋的な存在でした。他の管理職の人も、分からないことがあれば彼に相談によく来ていましたし、他の営業所からも問い合わせの電話があるほどでした。
論理的であるが故に、仕事についてはドライでしたね。優秀な部下には重要な仕事を、そうでない部下にはそれなりの仕事を割り振っておられました(私は後者(泣))。とはいえ、人材を育てることには熱心でした。できる人間には、チャンスを与え、より責任の重い仕事を任せてました。自分も忙しいにもかかわらず、時間を割いてその人に熱心にアドバイスをしていました。部下もそれに答えて、元々士気も高かったこともあり、めきめきと成長している人が多かったです。
さらにできる人間だけでなく、できない私にさえチャンスを与えて下さいました。当時同期より成長が遅れていて、もう必死になって仕事をがんばっていました。それを上司が見ていたのでしょうか、顧客のシステムのバグを調査するという、責任のある仕事を私に任せられました。内容は私のレベルにあった、簡単なものでしたが、調査結果は顧客に報告されるという非常に重要な仕事でした。こんな機会はもう二度と巡ってこないと思った当時の私は、もう必死で取り組みました。結果を上司に報告し、上司はそれを顧客に電話で伝えていたのですが、顧客はそれでは納得していない様子。「ああ、もうだめか!」、この仕事も別のできる奴に振られてしまうと絶望していました。しかし、上司は私に再調査するように命じました。最初はあっけにとられていたのですが、すぐに仕事に取りかかりました。2度目の報告で何とかうまくいきましたが、調査に時間がかかり顧客に迷惑をかけたという無様な結果に終わってしまいました。後で上司に呼ばれました。怒られるのを覚悟していましたが、彼はほとんどしかることをせず、今度同じ仕事が来たときどう対応したらよいか、人より遅れているという劣等感を持っているんだったら、人より長い時間働いて取り戻せばいいじゃないか・・・など、忙しいにもかかわらず時間を割いて、助言を下さいました。私はこのとき、この上司はただ者ではないなと思いました。普通なら、仕事に失敗した時点で当然その人間を仕事からはずすでしょう。顧客を待たせているのならばなおさらです。なのに、そうせず、自身の責任や評価に響くにもかかわらず、できない部下の成長のためにそこまでできる上司はほとんどいないと思います。最初の冷たいという印象はどこかに吹き飛んでしまいました。プライドを傷つけることなく最後まで責任のある仕事をさせてくれたこと、仕事はできないけれど仕事に一生懸命取り組んでいたことだけは分かっていてくれたこと、あれほどうれしかったことはないです。一生懸命やっていれば、誰かがそれをちゃんと見てくれていて、チャンスをくれて、助けてくれるんだとわかり、やる気が非常にわきました。
その上司は、今まで述べてきたように非常に有能な人材でした。しかし、かわいそうなことに病弱でたまに会社を休むことがありました。それで、私たち部下が困ることはなかったのですが、会社の業務は平日に休むと支障が出るものだったので、会社は同じクラスの人と比べて低く評価していました。彼が休んだことで顧客に迷惑がかかったということは、私が見る限りではありませんでしたし、休んでいるマイナスをカバーして余るくらいの良い仕事をされていました。とはいえ、会社も個人の細かいところまでは評価できないでしょうし、書類上の数字で判断してしまうところが大きいのでしょう。そのあたりは理不尽ですね。
私は、彼のような頭が切れて、理論的に物事を考えるタイプではないので、彼のような上司になることはできません。しかし、私が上司になったときには、彼の良いところを盗んで、私なりのよい上司を目指したいと思います。「思いつき」で部下を動かすことはせず、バカな私は私なりに知恵を絞って、部下が働きやすいようにしていきたいです。部下の失敗のために、さらに上の上司や顧客の怒られ役を買って出るような懐の広い上司になりたりです。
会社を去る日には、「君はSEには向いてない」って、はっきり言われましたからね。やはり理由を教えてくれて、それは省略しますが、なるほどと納得しました。あのアドバイスも今の就職活動に役に立っています。