【271】弥谷寺(千手院)第七十一番
住所 三豊郡三野町
宗派 真言宗善通寺派
山号 剣五山
開山 行基菩薩
本尊 千手観世音菩薩
備考 獅子之岩屋
行基菩薩により弥谷山からは四国中国の八力国が望めたことから、東の峰に阿弥陀如来、西の峰に釈迦如来を安置し、蓮華山八国寺と名付けたのが始まりです。唐から帰国した大師が、空から五柄の剣が降り金剛蔵王権現の霊を感じられ剣五山と号し千手観世音菩薩を本尊として弥谷寺と改名した。その後、兵火により全山焼失した。
昔、ふもとの村で死者が出ると、死霊を背負った格好をして寺へ参り、境内で霊おろしの作法をする風習があったといわれ、死者の霊の行く仏の山寺と民間信仰が定着していた。そのような雰囲気のあるうっそうとした木立の参道と石段を上がり仁王門をくぐると實の河原があり小さな石積みが多く並んでいます。本堂の岩窟を含めて弥谷寺の全山で死者の霊が漂っていて、四国88ヶ所霊場で他に類を見ない雰囲気があります。
石段と坂道を繰り返し上がり最後の階段を上がると本堂になります。全370段の石段を上がる難所です。岩山と一体となった本堂は、岩窟そのもので阿弥陀三尊など多くの仏が刻まれており、大師自ら刻まれたものもあるそうです。大師堂の奥に獅子が口を開いた形の獅子之岩屋があります。大師像と阿弥陀如来像、弥勒菩薩像が安置され、曼荼羅壇や護摩壇を三方に囲んで、岩壁に阿弥陀如来座像と大日如来座像、地蔵菩薩座像を左右対称にして刻まれています。
1998.08.20
2020.12.23