百字ノート 芯の太い優しさ
1
ひとはどうやって生きて二十歳を越えるのか、ただ優しくて―という詩を書
いたことがある。そのときのわたしはウジウジしていて、ノーと言えなかっ
た。それが他者には「優しさ」と映ったようで、自己理解とのギャップを感じ
ずにはいられなかった。「自分の無さ・ひ弱さ」が「他者を受け入れられる寛
容さ、他者を援けられる優しさ」と誤解されたのを知って、「本当にオレは大
丈夫か、堂々とした大人になれるのか」と、拳で膝を打ったのだった。
2
「優しくね、優しくね、優しいことはつよいのよ」
ねむの木学園を創られた宮城まり子さんの言葉である。己の弱さ・だらしな
さを棚に上げて、すぐひとを裁いてしまう心の荒いわたしには、澄んだ蒼空を
仰ぐような言葉である。毎日、もろさも、ずるさも人前にさらしている者なの
に、ひとの弱さに目が冷たくなってしまうのだ。芯の太い優しさの棒を呑みこ
みたい、大きく両腕を広げるほどの寛容さを胸板に貼りつけたい、ひとの失敗
や過ちをドンマイ、ドンマイ! 大丈夫、大丈夫! と、ニッコリ微笑むこと
のできる者に変えられたい。
★いつも読んでくださり、ほんとうに有難うございます。