野菜の声 パプリカ
1
ピーマンは緑
そう決めつけていた親父だった
黄色や赤いのもあるよ
そう言ってきたのは息子だった
頑固で自信家の親父は息子に言った
―そんなばかな! おれはずっと前からピーマンを食べてきた
おれの食べてきたのは緑のピーマンなんだよ
息子は困った顔でつぶやいた
―パプリカっていうピーマンがあるんだ
僕はね、自分の好きなピーマンを見つけたんだよ、オヤジ
2
息子はパプリカが好き
なんとなく甘い味 それに何といってもその肉の厚さ
ちょっとみりんを加え ちょっと醤油をかけ
熱々に炒めて食べる
親父はパプリカが苦手
なんとなく甘い味 それに何といってもその肉の厚さ
くちゃっと舌に来る食感がいただけない
色はきれいでカラーボールみたい そうは思うのだが
3
息子が自立して八年ほど
親父はまだパプリカが苦手だが
薄く切ると緑のピーマンみたいになるのがわかった
ときたま
赤と黄色とオレンジのパプリカを薄く切って炒める
みりんと醤油をちょっとかけ 息子の味を舌で確かめる
●ご訪問ありがとうございます。
カラーピーマンのパプリカ。一時はやった歌ではありません。赤や黄色だけでなく、実は緑もあると知ったのは最近です。そればかりか、白や紫などもあるそう。店頭で見たことがないので、未確認ですが。