前作『Shiggy Jr. is not a child』から8カ月、早くも2ndアルバムをリリースしたのが、2014年ポップシーンの台風の目であるShiggy Jr.です。
Shiggy Jr.
『LISTEN TO THE MUSIC』
2014/7/16リリース
レーベル:MONA RECORDS
ディストリビューター:ULTRA-VYBE
SLMN-1036
前作の時、こんな絶賛レヴューを書きました。そして次作を楽しみに待っていました。
一年も経たないうちに届けられた今作が、こんなにも素晴らしいモノかと驚き、そして毎日楽しく聴いている私がいます。
何よりも驚かされたのは、前作とかなり違う音楽の方向性。今回は打ち込み多用でディスコチューン主体となっております。しかし、曲調は違えど根底に流れるポップネスは相変わらず素晴らしい。極端に言えば、シギージュニアというバンドの軸がしっかりあるから何やってもシギージュニア(この辺りはヴォーカルの池田さんがインタヴューで仰られていました)なんだなと。
あと、前作とリズム隊が代わってて、より強いリズムを感じられる。特にM2「summer time」2:45辺りのスラップベースソロなんか15秒しかないのに凄くインパクトあって大好きだし、タイトルと曲調のギャップにニヤッとしてしまうM4「oyasumi」のパワフルでドライヴするドラムもまた素敵(いや、このドラムも打ち込みだったりするのか?)。
もうね、全部の曲に彼らのポップミュージックに対する真っ直ぐさが溢れてて、気持ちイイことこの上ないんですよ。往年のディスコチューンやユーロ、モータウンリズムやロックディスコ、オールドテイストのシンセやソフィスティケイテッドブラコンや90年代~ゼロ年代J-POP・・・・あらゆるモノがデジャヴュの様に透けて見えるのに、それが全く気にならず彼らの音楽として成立している。それは、見事に消化し昇華させる音作りの才能だと思うのです。
だから、彼らの音楽がこの先どんな風に変わっていっても、好きでいられるんだろうなという確信がある。彼らがやれば大丈夫。そんな風に思わせてくれる説得力がこのアルバムにはあると思うのです。
インタヴューを読んでると私がハマる要因となる言葉が色々と出てきます。
曰く
“「いい曲」って言われるものって大体進行が決まってたりするわけで、“baby i love you”について言うと“Just the Two of Us”なんかがモチーフ”(「レジ―のブログ」より)
“本当はライブにもコーラスの人がいて、アコギの人がいて、鍵盤の人が2人くらいいて、ドラムがいて、さらにシンセドラムの人がいて、っていうそれこそ角松敏生みたいな編成でやれるのが一番いいとは思ってはいるんですが”(「レジ―のブログ」より)
“(インタヴュアー)歌詞もリズム重視なんですね。
(原田)そもそもリズムにはまってることが前提で、内容はその後ですね。”(「OTOTOY」より)
もうね、見てみたいですよ。角松敏生の様な編成で演るシギ―ジュニア・・・・・堪らんです(笑)
あ、閑話休題。
唯一、今回のアルバムに何か言うとすれば、前作にあった「Saturday night to Sunday morning」の様な200点クラスのウルトラキラーチューンが無いってコトくらいかな。でも、その分アルバムとしての纏まり、アルバムトータルの完成度は格段に上がってますけど。
個人的に今回の一押し曲はM5「baby I love you」です。Bメロからサビのメロディ展開とヴォーカルのケミストリー具合がゾクゾクするくらいイイです。あと、ギターのカッティングとラスサビのコーラスの重ね加減が絶妙。何度聴いても胸が締め付けられるセツナ感が堪りません。
最終的にアルバムを聴いて思ったのは、彼らはインディーズだけど、メジャー感がハンパないと思うんです。それは楽曲とか売り方とかそういうモノではなくて、彼らのポップミュージックに対する姿勢とか立ち位置のメジャー感。今、10万枚売る人って一握りしかいなくて、でもそーいう方の中にはメジャー感が無い人も多くて(苦笑)
彼らには、古の音楽界に多くいた不特定多数に訴求するポテンシャルを持ったメジャーミュージシャンのニオイを感じずにはいられない。
どうか、真っ直ぐにポップの王道ど真ん中を突き進んで、大きな存在になって欲しいと願わずにはいられないのです。