日本グルーヴチューン振興会

椎名林檎「長く短い祭/神様、仏様」

いきなりだけど、4日の火曜日に見た原田茶飯事バンドのライヴは最高だった!もはや言葉にならないのでライヴレポみたいな事はできないのだけど、とりあえず6人のエネルギーがソウルフルに音の塊と化して襲いかかってくる感じ。特にサックスの田中優至くんが素晴らしかった。一曲目の音色から泣きそうになった。そして、吹いてない時の動きと表情がめちゃくちゃ楽しそうでテンション上がる。もちろん原田茶飯事くんの歌声も他のプレイヤーの方々も最高だったのは言うまでもないんだけど。普段、自分が好んでるグルーヴチューンとは少し違うベクトルだけど、コレはコレでグルーヴィだなと感じた次第。

 

という訳で軽くライヴを振り返った所で本題(笑)

 

 

椎名林檎

「長く短い祭/神様、仏様」

2015/8/5リリース

ユニバーサルミュージック

UPCH-89233

 

 

 

実のところ、椎名林檎のCDはリリースされたら必ず買っているという訳ではない。東京事変の時でも、買って聴いてみたものの、その後棚の奥に仕舞われて殆ど出番のない作品もあったり(苦笑)

このCDにしたって、リリースされるという情報は薄っすら知ってはいたものの、CMで断片として聴くくらいなもので、ちゃんとしたヴォリュームで試聴するという事もなく過ごして来たのです。

 

そして迎えた7月31日のミュージック・ステーション。浴衣姿で演奏を始める林檎嬢と、浮雲こと長岡亮介。持っていかれる意識。画面から目が離せない&耳が捉えられて身動きとれない。

なんだ?この吸引力。オーラ。粋に、熱く、エロスとカオスを振り撒くパフォーマンス。

こんなモノが地上波のゴールデンタイムに、しかも生放送で見られる驚きと幸せ。王道なのに時々エッジィな事をやってくれる番組だなと感謝した。

 

 

という訳で発売日にCDを買いに行ったのです。

音源としてCDをキッチリ聴いてみて、その楽曲のクオリティの高さとアレンジの素晴らしさにノックアウトされました。

ベーシックアレンジは林檎嬢本人。ホーンアレンジはSMAPの「華麗なる逆襲」でも最高にカッコいいアレンジを聴かせてくれたトロンボーンプレイヤーの村田陽一氏です。

ドラム:玉田豊夢、ベース:鳥越啓介という「華麗なる逆襲」と同じリズムセクションにMATARO氏のパーカッションを加え、ブラジリアンテイストを強化。印象的なウーリッツァー&ピアノはヒイズミマサユ機。炸裂するホーンは西村浩二&菅坡雅彦のトランペットに村田氏のトロンボーンというシンプルな構成。このホーン編成、スペクトラムと一緒だな~なんて思って少し目頭を熱くしたり(苦笑)

まぁ、このホーンがホントに最高なんです。序盤はウーリッツァーの後ろで控えめに鳴ってるんですけど、後半手前くらいから徐々に圧が増してきてラスト40秒のピアノとの絡みがメチャメチャカッコいい。この夏の暑さと混じり合って脳みそ蕩ける(笑)

あと、3:46に差しこまれる浮雲氏による、東京事変「能動的三分間」のフレーズに思わず顔が綻んだりと、実に聴き所が多い一曲。

 

 

ちなみにダブルAサイドのもう一曲「神様、仏様」もベーシックアレンジは椎名林檎。ホーンアレンジは村田陽一です。VOXに盟友:向井秀徳。タブラにユザーン。ホーンは前述の三人にサックスとフルートで山本拓夫を加えた編成。ヒイズミマサユ機はクラヴィネット、浮雲はギターとシタールを演奏。リズム隊は前述のとおり。素晴らしくエネルギーに溢れた演奏が堪能できます。

決してキャッチーではないし耳に残るフックが効いたフレーズがあるという訳でもない。しかし、洗練されすぎないザラっとした手触りが擦り傷の様に身体に残る感じがします。

この曲もラスト50秒で聴ける怒涛のホーンが強烈。

 

 

 

椎名林檎という人の音楽を最初に聴いた頃、ちょっと変な女性SSWだと思ってました。しかし、キャリアを重ねる毎に色んなファクターを呑み込んで今は“椎名林檎”という世界を確立した様に思います。

何っぽい、とか、誰っぽい、という印象が見えず、“椎名林檎の音楽”を生み出す。確かな人脈と、そこから吸収する力、インプットを自分のフィルターを通して吐き出す能力。凄いと素直に思える人です。


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