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ほいほいとぼとぼ日記・爺爺刻々

小樽のラーメン屋​ 麺亭見晴らし坂ばなし 第二話

今日も不味いラーメン食いに来たぞ。和田さんの席は、いつもカウンターの一番奥。古いスポーツ紙と漫画が交互に積み重なっている。これもほとんど和田さんのためにあるかのように、なれた手付きで何度も読んだはずのスポーツ紙を取り出す。

この女知ってるか?旦那の金目当てで結婚してすぐに旦那が死んで遺産がっぽりだとさ。若い子が金目当てって言い切ってるけど、すごいね。これじゃ、俺のとこなんて誰も来るわけないよな。貧乏目当てっていう女はいないかね。あたしのお金使ってよ。好きなだけ。って。そうか、ヒモはそうゆうことだけど、でもな、ヒモじゃガッポリじゃないよ。がっぽりくれる女を探すかな。 うん、不味いね、いつもながら。「がっぽり女」がいれば、こんな不味いラーメン食わなくていいんだけどね。残念ながらでございますな。いったい、この世ってどういう仕組で動いているんだろうな。俺らは、先が短いからいいけどさ、政治とやらは。すっかり安くなった給料、覚えてるかい?俺らの初任給と変わらんよ。大変だよ。でも、誰も文句言わないね。デモでもやればいいじゃないかい? さあて、今日のチャーシューまずまずか。お墓代、稼ぎに行ってくるか。またな。

何度も読んだはずのスポーツ紙を丁寧に畳んで、元のところに置く。これは俺の大事なものだからと。でも、また来るまでにたまには、他の人に読まれておけよなぁ、と言っているようで捨てられない。

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