ほいほいとぼとぼ日記・爺爺刻々

燻製は旨い!

おいおい、与太郎、なにやってんだよ。口の周りが白いぞ。汚い顔に白い唇じゃ、気持ち悪いじゃないか。

やあやあ、おおやはん。かなりの八へえさんからもらったいかくんたへてるの。いは、いかくんをくふぃにひれようとひたときにおおやはんがきたから、たへながらあいはふするのはひふれいなので、くふぃひるにふぉりつけていたんだよ。(翻訳:やあやあ、大家さん。隣の八べえさんからもらった「いかくん」食べてるの。今、「いかくん」を口に入れようとしたときに大家さんが来たから、食べながら挨拶するのは失礼なので、唇に貼り付けていたんだよ。)

おい、おい、何をいってんだか分からないよ。唇のところは「いかくん」じゃないか。おお、そういえばちょうど口の形をしているね。でも、ややっこしいことをしてるじゃないか。これ、真ん中から舌をだすんじゃありませんよ。だらしないね。いいから早くお食べよ。

あい、食べました。美味しいでしね。いかくんを八べえさんにもらったんでし。いい人でし。

ああ、八べいさんにもらったのかい。それは良かったね。でも、こんなこといっちゃあ失礼だが、本物の烏賊燻じゃないだろうな。本物は一味も二味も違うぞ。

え、もっと美味しいのがあるでしかい?それじゃ、今食べたのは偽物ってことは「いか君」じゃなくて「イカサマ」でしね。でも君より様のがえらいのに「烏賊様」とはこれいかに。

あはは、「烏賊様」とはうまいね。与太郎や、「いかくん」のいかは烏賊だけど、「くん」というのは燻すという意味なんだよ。本物の燻製は塩やスパイスなんかで下ごしらえした材料を短ければ数時間から長いときは1週間くらいも木の煙で燻すんだ。そうすることで水分を抜くのと煙の中にある殺菌成分で表面をカバーするから保存食になるというものなんだ。それに旨味も良い香りもつくから一石二鳥ってもんだな。与太郎も知ってるだろうけど、日本の代表的な燻製ったら鰹節だな。スモークサーモンなんて「煙鮭」だぞ。ベーコン、茶色のソーセージも燻製なんだぞ。
そうだ、この間北海道の小樽ってとこへ行ってきたんだがね、あそこにホルモンの燻製があったんだよ。珍しいんで、ちょいと買って食ってみたが、これはこれでなかなかの食いもんだね。

テッポウ(直腸)の燻製 脂が少なくて食いやすい

地元小樽の深澤精肉店が作っているんだが、これの他にもレバー、ガツ、トントロ、軟骨、タン、サガリなんかもあって、ホルモン系の燻製が充実してるな。当然、ベーコン、ソーセージもあったよ。
小樽だけじゃない、世間じゃ、燻製醤油やオリーブオイルもあるそうだし、大根漬けの燻した「いぶりがっこ」じゃないが、色々野菜の燻製もあるらしい。今に、チョコレートとかアイスの燻製もでるかもな。燻製米ってのもあるかもな。アタシも色々作ってみるかね。煙が素材をもっと旨くしてくれるんだな。ますます、燻製ワールドは広がるぞ、与太郎。うん、これは商売にもなるな。なんかいま流行の食い物を燻製にしちまえばもっと売れるぞ。なんだ、今売れてるのは?

あらら、すごいこと言っちゃって、大家さんも言うことがだんだん燻製になってきてましね。

言うことが燻製ってどういうことだい、与太郎。

はい、煙に巻かれないうちに帰ります。

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