旧京都中央電話局西陣分局舎の今(会報No4への投稿から該当の部分を抜粋し、このビルの今の紹介として、写真と共にブログに再掲しました。)
日比谷総合設備 代表取締役社長 黒田 長裕
(投稿当時 (株)NTTファシリティーズ 代表取締役副社長)
旧京都中央電話局西陣分局舎は1921 年、逓信省技師岩元禄によって設計され、2006年に重要文化財となった電話局を共働スペースとして活用するプロジェクトです。
今回、改めて耐震診断を行ったところ、木造部分のIw 値が0.18 と低く、耐震性を確保することが求められました。また、既設天井内の木組や、二重床下の空間等、この建物が1920年代前半に設計された電話局特有の空間のポテンシャルを持っていることが分かり、新たに要素を加えることよりも歴史を紐解いていく中でそこにある空間に意味を見出し、その空間を生かす設計を行いました。
3 階は約100 年前の木造小屋組みを露出させると共に天井面のブレースによる耐震改修を行い、外観を保存しつつ、京都の山並みへの眺望を保存しました。
2 階は電話交換室の配線のための高さ450mm の二重床を床スラブまで部分的に下げ、レベル差によって緩やかに仕切られる共働スペースとしました。各階ともに隠れていた建物の成り立ちの一部を表出させることで、電話局の歴史の重層性が感じられる空間とし、電話をつなぐ電話局としての機能が失われた既存の空間に新たな価値を見出し、人と人とをつなぐ場を目指しました。
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