母方おじいさん一家は(まだ母は生まれていない)戦前、会社の転勤で朝鮮半島で暮らした時期があった。
おじいさん一家は、戦争が始まる前に運よく日本に帰ることが出来た。
たいへんな時代を生きた方は、人生を他人の何倍も濃く生きられたと思う。
先生のキムチ
おじいさんは会社で平社員であったため、近所に暮らす朝鮮人の同僚の家族は、家族ぐるみで親しんでくれたようだ。おじいさんの子供たちも朝鮮人の同僚の子供たちにお世話になった模様である。
おじいさん一家は、戦争が始まる前に運よく日本に帰ることが出来た。
同じ会社の、おじいさんより年下の幹部コースの方は、戦争の後半から戦後まで朝鮮半島に残っておられた。
その時の体験を著された本があったが、既に絶版になっていて、国会図書館または中古を買って読むしかない。
たいへんな時代を生きた方は、人生を他人の何倍も濃く生きられたと思う。
一方、おじいさん一家の時は戦前のことで、朝鮮半島では経済的余裕もあり、お手伝いさんを雇えたし、近所の朝鮮人の同僚の家族からキムチ作りを教わったり、のどかな時代であった。当時、近所に美しい白い砂浜があり、チヌがよく獲れたそうだ。海が近いから魚介類の多く入ったキムチを漬けていたようだ。
日本に帰国し、戦後だいぶ経ってから、おじいさんは、キムチの材料が売られている情報を聞くとすぐに買いに行き、家でキムチを漬けて食べた。
しかし、おじいさん一家の誰も、朝鮮半島で暮らした時期の話をすることはなく、キムチ作りの方法も伝わらなかった。
先日、夕方のテレビで、たまたま白菜キムチの話をしているのを見た。テレビは浅漬けだったが、塩漬けがいちばん大切だと言っていた。ペットボトルで重しをし、塩水に漬けて時々ひっくり返す。後、二度くらい水洗いし、よく絞って水をきる。白菜の水分が抜け、白菜の体重は半分になる。すると、白菜の旨味成分グルタミン酸が濃縮されて、水分が抜けた所へは唐辛子の辛味成分などが入る。浅漬けは時間の経過で乳酸菌発酵して酸味が出て、白菜の(?)甘味も加わり、辛味、酸味、甘味がキムチの美味しさの理由だ。テレビのキムチには烏賊の切り身が入っていた。
韓国のテレビドラマ「追跡者」の中では、キムチを漬けるとき、まず10時間以上、塩水に白菜を漬けてから、冷水で洗うと言っていた。
2010年頃の韓国映画「食客2」では、キムチの味は、五味あると言っていた。また、この映画中、唐辛子で発酵を促さない白衣のキムチなるものがあると言っていた。
さて、2021年12月、家の近所で私もついにキムチを習えることになった。
先生のキムチ
私のキムチ
料理教室で習ったとき、アミ塩辛と野菜などミキサーにかけた薬味の残りを分けていただいた。それで、12月に家で漬けた2回は、몋치액젓と매실청とミキサーの薬味を使った。
その後、7回分は、몋치액젓と매실청、アミ塩辛の代用に새우액젓を使った。代用後に漬けたキムチから、合成調味料的な風味になってしまったが、すぐに馴れた。
アミ塩辛は手に入りにくく、あっても20回分くらいの大容量の商品。合成調味料っぽい새우액젓は7回で使い終えた。
よって今シーズンのキムチ作りはこれで終わりである。
来シーズン、もし20回くらい漬けるなら、アミ塩辛を買ってみてもいいと思う。