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能面

2014-04-11 10:42:38 | 今日子詩集


「能面」

見渡す限り 雪一色の山村
田畑には 人も そして動物の足跡すら
何一つ 痕跡が無い

唯一 熱い息遣いを感じさせる
雪深く埋もれた
古い 古い神社・・・

極寒の如月の末
年に一度の「蝋燭能」

村の人々が
近県 いや全国から集う
老若男女たち

煤けた匂いと 微かなお香の香りが漂う
大小様々な蝋燭の灯りが
妖しく揺らめく・・・
笛と鼓と唄の流れに
小町が 童子が 鬼が其々に想いを重ねて
語り 唄い 踊る

人前では
その喜びはもちろんのこと
哀しみも 怒りも せつなさも全て
深く深く 見の内に沈める

いつしか 根雪のように固まり
人の言葉尻から 手の指先から
微かな湯気をあげて
雫となりて 滴り落ちる・・・
て)


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