母⑥

老健に入所できたのは1月末日

今まで入院していたところから歩いても3分とかからない所
目と鼻の先とはまさしくこれ

アットホームな感じで良かったと思った
4人部屋だが一人の居住空間が凄く広い
それと圧倒的に女性が多い。男性は5～6人いたか？ないか？

そんな少ない男性もやはり、ここでも、勝手に部屋に入ってくる人がいて
母はすり足の男性が入ってくる音がすると
「ここは女性部屋ですよ！」と毎回怒鳴っていた

その男性も部屋のドアをスーっと開けて、母が声を出すと
間仕切りのカーテンをそーっと開けるのでまるでホラー映画のようで
私自身怖かった

その時の母は手は動かなかったけれど、拳を振り上げているつもりだったようだ

母にとって落ち着かないし、不安だし…
そのうろうろしてる（徘徊）男性を部屋に入れない方法って無いんですか？と
聞いたこともあったけど、
「注意します」と言っただけだった。仕方無いのかな…

こちらから要望を出すと「ご自宅に戻る予定は無いんですか？」と言われた
これは（不満があるなら自分で面倒を看ろということなんでしょうね）

友人にも
「昔はどこの家でもボケたじいちゃん・ばあちゃんの面倒を看ていたもんだよね」
別の友人にも
「親の面倒を見るのは子供として当然のこと。むしろお世話できることを感謝するべき」
と言われた

親の介護の必要は無いこの二人…説得力ないと思う

たしかに、仕事もして、親の介護もして（それも複数とか）という方もたくさんいますよね
私なんか恵まれていると思います

ただ常に（姥捨てしたような）罪悪感はあります

母⑤

その後、微熱が続き
トイレへの介助も難しくなったので紙パットから完全に紙おむつに

それでも「トイレに行きたい。連れて行って」
「大丈夫なパンツ履いているから行かなくてもいいのよ」
「漏れちゃうよ～早く～トイレ～」

もちろんリハビリも兼ねて連れて行ける時は連れていきました

「パンツ中にするなんて嫌」と母
うん。確かにね。嫌だよね。気持ち悪いよね。

排泄が苦痛のようで
「これ食べるとてきめんにトイレ行きたくなるから食べない」と言う

もともと便秘気味だったので３日に一度というかんじだった

施設に入っても大の方はトイレでさせてもらっていた
特養に入る前の老健では「トイレに行きたい」と言うと
介護士は「はぁ～い」と返事はすぐにするのだが
（紙おむつなんだから中でして）と思っていたのか
間に合わないでしてしまうと
「出て良かったですね～」と言われた

いや。違うでしょ。おむつの中でしたくないから言ったのに
というのが何度もあった

手が足りない。トイレが入所者20人に対して4個…これはどうなの少ないの？

私が連れて行った時に大失敗してしまい
「排便の時は必ず職員に声をかけてください」と怒られたこともある

母は「お前もいつかこうなるんだ」と言った

8月に入り5月からお世話になっていた医者が転勤するので別の先生を紹介すると言われた

物忘れ外来がある老人病院・老健も併設していた

予約がいっぱいだったのだけど、なんとか2週間後に診てもらった
認知症のテストやCT等の検査に母は声を荒げた

「なんでこんな小学生がやるようなテストして！馬鹿にしてんのか！」
CT（MRIだったかも）の時は
「うるさいー。人/殺しー。ギャー」と大声を出し、技師さんが3人がかりで撮った

脳の方は梗塞・萎縮も無く年相応の脳内との診断
（じゃぁなんでこんな病気になったの？って思った）

検査の結果で特別新たに解ったことは無いけど
微熱・私と父の介護疲れもあって1か月入院することになった

入院の日
医師や看護士との面談中
母は病室で休憩の予定が急に一人ぼっちにさせられた不安感からか
「誰かきて～助けて～」と大きな声を出した

仕方なく同席することになる

その後、医師が「ここがどこかわかりますか？」と問うと

「私一人が我慢すりゃいいんだろう！」と吐き捨てるように言った

母は自分がどこにいるのか解らないようだったが、
不安を取り除く為、2日置きに面会に行った

9月の敬老会をやった時、職員さん達が歌った「ふるさと♪」
この時何故か泣けて困った
母は歌や踊りを観ているのが苦痛のようで
「もう帰ろう」と何度も言った

10月に入って娘が成人式の前撮りの写真を撮ることに…
写真を撮って、母に着物姿を見せに行った

「綺麗だね～」と言ってはくれたが誰だか解らないようだった

本番の1月の成人式にも行ったが「誰？この娘？」だった

系列の老健が入所できる1月末まで入院していた

この時の看護婦さんや介護士さんは皆さん良い方ばかりで
たくさんアドバイスしてもらったりした
母も少しはリハビリをしたのだが
「こんなことして何んになる」と半ばリハビリ自体を拒否していた

なので、ほぼ寝たきり・食事の時だけ車椅子の生活になった
偶然にも隣の家のおばあちゃんが母と同じフロアーに入院してきた

だが、母に言っても誰の事だか解らなかったようだ
（そのおばあちゃんも同様）
食事のテーブルも隣同士にして貰ったのだが全介助の母と
自分で食べられるその人では介護士さんも介助が難しいようだった

夢を見た

今朝見た夢

何故か私は成人式
（髪の毛だけセットしてる。今で言うアゲ嬢みたいなヘアスタイル）
そして、隣の席には元気な頃の母が座っている（付き添い？(笑)

式が終わり「お昼ごはんでも食べて行く？」と
とぼとぼと会場から駅まで歩いて行く二人

突然母が「ほら！あそこの木の上にネコがいっぱい！」
何を言い出すのかと心臓がドキーンとして母が指さす方向を見たら

いた…ネコ…３匹も…ほっと安心…

可愛いね～としばしネコを鑑賞

ふいっと居なくなったので　再び歩き出す

どうしようかな～何食べようか～なんて考えていて
横にいる母に話しかけようとしたら

…いない…えっ？…あれ？…お母さん？

慌てて振り返ると成人式帰りの若者達に囲まれている

若者一人が「迷子だって言うんですよ」

「あっ。私の母です。ありがとう」

恥ずかしい気持ちもあって
肩を抱き抱えるようにして急いで歩く

「そんなに早く歩けないよ。もうどこでもいいからご飯食べよう」と母

1階がパンや2階がレストランのお店があったのでここは？
あ～でも足が痛いから階段は辛いかな等々考えていたら

母が勝手にパンを手当たり次第に食べている

「ちょっと！お母さん止めて！」必死で止める私

口の周りにアンコやパン屑がたくさんついている

「お母さん！！！」と大きな声を出す私

精気の無い顔で「あんた　誰？」と言う母…

その後、泣き叫ぶ自分の声で目が覚めました

何かあれば施設からすぐに連絡がくるんですが
今のところ電話もないし…

今日の夢は「会いたいから来て」との夢なのかな？

26日に父の病院の付き添いの帰りに寄るつもりでしたが
今日にでも面会に行こうと思っています