ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩するのか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

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医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

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創を合わせる ーTLHへの私のこだわり6ー

2025-01-21 | 腹腔鏡
前回は、TLHにおける腟断端縫合の重要性についてお話しました。今回は、腟断端がきれいに治癒するための私の推奨していることを解説していきます。

腟断端縫合の3つのポイント
腟断端が十分な強度をもって治癒するためには、以下の3つのポイントが重要です。
  1. 腟粘膜と腟粘膜をきちんと合わせる
  2. 腟筋膜と腟筋膜をきちんと合わせる
  3. 創部と創部をきちんと合わせる


これらのポイントを満たしていれば、どのような縫合法を用いても問題ありません。しかし、実際にそのようにやってみようとすると意外と難しいです。

ですから、ビデオクリニックや技術認定ビデオを観察すると、これらのポイントがきちんと守られていないケースが多いのが現状です。特に、腟断端を一層で縫合する人に多いのですが、膣壁をうまく全層で縫えず、粘膜面を拾いすぎているために粘膜面が腹腔内に内反している場合があります。(他にも、う〜ん、という縫合はあります)



粘膜面は縫合しても創部ほどはしっかりと接着しにくいので、後で傷が開いてしまうリスクが高くなるかもしれません。また、粘膜面を大きく拾いすぎると、腟が短くなってしまう可能性もあります。縫合自体は一層でも二層でも構いませんが、創部をきちんと合わせることが、腟断端縫合の基本だと思っています。

私は、きれいに縫合された腟断端を見るのが好きです。それは、手術が無事終了した証とも言えるからです。

(注:腟断端縫合については、いろんな意見の方もいらっしゃいます。今回の内容は、あくまで私の推奨している方法ですが、自分のこだわりには自信があります。)
コメント
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